排尿の不思議
オシッコが語る「女性らしさ」のしくみ

■ レディは立って用を足す!?
「お母さまがいま、何をなさっているかあててごらん」「お花を折っていらっしゃる」「おしっこよ」。太宰治の小説「斜陽」の一場面、上流社会の母と娘の会話です。このとき、この上品な婦人は庭の植栽の脇で立ったままでオシッコをしていたのです。その姿が「しんから可愛い」と娘が感じ入るところ。女性は座位、男性は立位という排尿のスタイルができたのはそう古いことではなく、明治の終わりには「女子学生立ち小便の是非」について教育関係者が議論をしたというほどですから、現在のスタイルが定着してからまだ80年そこそこの歴史。そして、糞尿を植物の肥料として大切に扱ってきた先人は、尿はただの排泄物ではなく、体と自然のサイクルを守ってくれる大切なものとして愛情を注いでいたに違いありません。
■ 尿にも大切な透明感
健康な尿は麦わら色。そして透き通っています。この色、排尿の時間や体の状態によって濃淡があるのは、尿の量によってウロクロームという尿色素の濃度が変わるから。朝一番、汗をかいた後、水分を制限したとき、熱があるとき、下痢をしたときは濃く、水分をたっぷり取ったときには薄くなります。原因は一日に排泄される色素の量が決まっているからで、長時間排尿しなかったり水分が不足すると一回あたりの色素の量が増えるというわけ。また、ビタミン剤や便秘薬の影響で黄緑や紫になったり、みかんの食べ過ぎで橙色になったなどということもありますから、色だけで健康状態を判断するのは早計です。問題は「濁っているかどうか」。濁りは腎臓や尿路に生じた何らかの病気のサインですから、放置は禁物です。
■ 「女性だから・・・」のハンディも
男性に比べ膀胱の許容量が小さく尿道も短い女性は、男性より排尿回数は増えがち。男性の尿道は16~18センチメートル、女性は3~4センチメートルと大きな差があり、しかもすぐ後部の子宮が膀胱を圧迫します。妊婦が頻尿になる理由もここにあります。夜間に尿意をもよおさないのはADHという抗利尿ホルモンが夜にはたくさん出て尿量が減るからですが、これも老化によりバランスが崩れたり、心臓や腎臓の機能が衰えて尿量が増え、夜間に排尿回数が増えます。頻尿となり、残尿感や排尿痛があれば「膀胱炎」の疑いも。尿道から侵入した大腸菌などが原因で、圧倒的に女性に多い病気です。そのワケは女性の体の構造。つまり、尿道-膣-肛門が隣接しているため、感染しやすいのです。菌が腎臓までいけば高熱が出る「腎盂腎炎」となりますが、この病気の予防は膀胱炎の段階でのケアが決め手。体を温め、400~500ccほど水分を余分に取り、それでダメなら専門医へ。
■ 「骨盤底筋体操」を習慣づけて
最近話題の「尿失禁」は女性に多く、40歳以上の女性の4人に1人ともいわれています。なかでも、縄跳びをしたりくしゃみをすると漏れる「腹圧性」、トイレまでガマンできない「切迫性」のものがほとんどで、これはお産による骨盤底筋力の低下や尿道の短さが主な原因。つまり、尿道を締める括約筋のゆるみや腹圧をモロに受けやすい体の構造のためですが、「骨盤底筋体操」という簡単な体操でかなりよくなります。要領は“オナラをガマンする”あの感覚。日に50回程度の体操を習慣づけ、便秘と肥満を避けることがポイント。あわせて腹筋と背筋を鍛えることも効果的な尿失禁の予防となります。

















