女性の尿失禁と骨盤臓器脱について

今まで知られていない女性特有の悩み

骨盤臓器脱は、一般に耳慣れない病名ですが、女性の膣が外に飛び出てくる病気の総称です。ぼうこう瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤などに分かれますが、いずれも膣を支えている筋肉を中心とする「支持組織」が弱くなり、徐々に膣が下がってきて起こる病気です。
自覚症状は、脱そのものがもつ不快感のほか、排尿困難や尿失禁などの排尿に関するトラブル。くしゃみをしたり、重いものを持ったり、階段を駆け下りたりすると、尿が漏れるというのもその一端です。

症状が進むと、ちょうど「なす」が下がっているような様相を呈することから、昔は俗に「なすび」といわれていました。古代の記述にも残されているほど古く、発症率も高く、20~59歳の女性のおよそ3割が発症するという海外のデータもあります。
国内では、正確な患者数のデータはありません。骨盤臓器脱を総合的に診察できる医師が少ないため、適切な診断・治療が受けられず一人悩んでいる人もかなり多いのが現状です。
原因は加齢が挙げられますが、若い人にも起こります。その一番のリスクは、経膣分娩。3500以上の巨大児の分娩や、かん子分娩などの異常分娩、会陰切開、さらに、便秘、ぜんそく、肥満などが原因となります。
治療は手術が基本ですが、手術ができない場合はリングペッサリーを入れて脱を持ち上げることが行われます。

従来の手術法は再発して手術を繰り返すことが多かったのですが、最近は、ポリプロピレンのメッシュを埋め込む手術法が行われ、再発率が5.8%(2003年調べ)に低下。最近の当院のデータでは、再発率1 %の好成績が出ています。
超高齢化社会の到来とともに、骨盤臓器脱の患者数は今後急増が予想されます。女性特有の病気ですが、同時に男性の問題でもあります。10年間この病に苦しんでいたのに、そのパートナーがまったく気付かなかったというケースもあるのです。男性にもぜひ知識をもっていただきたいと思います。

排尿における正常と異常の見極めは?
尿失禁に限れば、「持続的な尿漏れがあり、社会的・衛生的にこれが問題となる状態」との定義(国際尿禁制学会)があります。たまに尿が漏れる程度では正常の範囲ととらえてよいでしょう。
TVTスリング手術の安全性やコスト、副作用については?
尿失禁治療手術としては、世界でもっとも広く行われているもので、簡便かつとても安全な手術です。コストは3~4 日の入院で7~8万の自己負担(3割負担の場合)。尿道の下につけるテープの緊張具合で、緊張が強すぎると尿が出ない、弱すぎると尿が漏れるということがあります。
監 修

昭和大学横浜市北部病院 泌尿器科学教授

島田 誠 氏
(しまだ・まこと)

1976年昭和大学卒業。東京船員保険病院勤務、昭和大学泌尿器科講師、ハワイ大学病理学および泌尿器科留学、昭和大学横浜市北部病院泌尿器科助教授などを経て2002年から現職。日本泌尿器学会、日本癌治療学会、日本透析医学会、日本E&E学会ほか会員。

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