女性の頻尿と尿失禁 診断と治療

専門医を受診して快適な生活を

自分の状態を知り病院を受診

 加齢とともに尿失禁の患者さんが増え、成人女性の約25%、つまり4人に1人は尿漏れの経験者です。尿漏れは大きく分けておもに腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つがあり、該当する方は自分がどちらなのかを知っておけば、病院を受診する際も症状をはっきり伝えることができます。
 腹圧性尿失禁はせきやくしゃみ、笑ったり重いものを持ち上げたりするなどしてお腹に力が入ると尿漏れを起こします。大きな原因は妊娠出産。骨盤底の筋肉がゆるんで膀胱などの臓器を支えられなくなり、尿道がぐらついて尿が漏れてしまうのです。肥満や更年期の女性ホルモン低下も原因となります。
 こうした方にはまず、ご自身でできる骨盤底筋訓練(図参照)と減量をお勧めします。骨盤底筋訓練はイスの背に持たれず、姿勢よく腰をかけ、膣や肛門を10秒ほど収縮させてからリラックスさせる。これを10回、1日5回を目安にやってみてください。
 薬物治療としては尿道の閉じる力を高める薬がありますが、効き目が弱い方や重症の方はやはり手術が必要になります。尿道の下面に1センチ幅のテープを埋め込んでぐらつきを支えるもので、テープをU字型に埋め込むTVT手術とV字型に埋め込むTOT手術の2つがあります。成功率は高く、数日の入院で済みます。

イラスト

女性特有の疾患 骨盤臓器脱

 次に切迫性尿失禁ですが、これは膀胱が過剰に収縮してしまう過活動膀胱によって引き起こされ、突然尿意を感じるのが特徴です。日中だけでなく夜間の排尿回数も多くなります。男女を問わず起こりますが、男性は前立腺肥大症の影響で尿漏れが少ないのに対し、女性は慌ててトイレに駆け込んでも間に合わず漏れてしまうことが多い。いつ起こるかわからないので外出を控えてしまうなど、腹圧性失禁よりもQOL(生活の質)を低下させる度合いが高いと言われています。
 切迫性失禁にも骨盤底筋訓練は有効です。もう一つは膀胱訓練。尿意を感じても少し我慢してから行くようにする訓練です。過剰な飲水も控えましょう。1日の尿量を知るために排尿日誌をつけることをお勧めします。
 この治療に使われるのが副交感神経の働きを抑制し、膀胱の異常な収縮を抑える抗コリン薬。もう一つが膀胱の筋肉を弛緩させて広げるβ3アドレナリン受容体作動薬で、現在この2つが治療薬の柱になっています。
 最後に女性特有の疾患である骨盤臓器脱について。これは臓器が下がって骨盤の外に脱出するもので膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、膣断端脱などがあり、排尿障害のほか、過活動膀胱も合併します。治療はドーナツ状の輪を膣の中に入れて臓器の脱出を防ぐリングペッサリー装着のほか、下がった臓器をメッシュで支えるTVM手術などが行われ、最近では腹腔鏡で臓器を挙上する手術も行われます。年だから仕方がないとか、恥ずかしいと諦めずに専門医を受診し、快適な生活を手に入れてください。

平均尿量は?1日何回ぐらいトイレに行くのが正常なのでしょうか?
1回200㏄から400㏄、1日の尿量は1500㏄くらい。トイレに行く回数は1日4回から7回が正常といわれています。ただ、夏場にビールを多く飲んだ場合、1日の尿量が2500㏄であっても異常ではありません。好きでビールを1リットルも飲んだのですから、水分を多くとれば、それだけ尿量やトイレの回数も増えるということです。
トイレが近いのですが、少しでも我慢したほうがいいですか。
尿意がなかったり、少し尿意がある程度ではすぐにトイレに行かず、少々我慢してから行く習慣をつけましょう。過活動膀胱に有効な治療法で、膀胱訓練と言われるものです。例えば、家でテレビを見ているとき、今すぐトイレに行けるという状況の中でも、もう5分、もう10分と次のコマーシャルまで我慢してみる。そういう癖をつけることが重要です。できる範囲でやってみてください。
監 修

東京 女子医科大学東医療センター 骨盤底機能再建診療部/泌尿器科

巴 ひかる 教授
(ともえ・ひかる)

東京女子医科大学医学部卒業。同大学院修了、医学博士。同大学東医療センター泌尿器科講師を経て2011年より現職。日本排尿機能学会理事、日本女性骨盤底医学会理事などを務める。NHK「きょうの健康」「あさイチ」、日本テレビ系「ミヤネ屋」などメディアへの出演も多数。

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