前立腺がんと排尿障害について

早期のPSA検診が重要

前立腺は、精液の一部を作り射精の発射装置に当たる役目と、排尿の基点という2つの役目を担っています。
若いときは20以下の前立腺ですが、加齢とともにだんだん大きくなり(50~100)、前立腺の中央を貫いている尿道を圧迫。その結果、排尿困難をきたすのが前立腺肥大症という病気です。60歳を過ぎるころから夜間頻尿や残尿感などの症状が出はじめ、昼間の頻尿へと進み、最終的には尿閉になります。

イラスト

イラスト直腸指診、血清PSA(前立腺特異抗原)測定を受けて前立腺がんではないことを確認した後、前立腺肥大症と診断された場合は、「国際前立腺症状スコア(IPSS)」で症状を点数評価します。12点以上は要治療。20点以上は重症とされています。症状が軽い場合は、尿道を拡張するα-ブロッカーや植物製剤などの投与で経過を観察。ぼうこうが縮んでぼうこう容量が減少したため排尿障害をきたしている場合は、ぼうこうを弛緩(しかん)させる抗コリン剤を治療薬として用います。重症の場合は、尿道から切除鏡を挿入して前立腺を電気切除する手術(TUR-P)を行い治療します。
前立腺肥大症と同様の排尿困難を呈する病気に、前立腺がんがあります。前立腺肥大症よりもやや早い50歳ごろから発生するようになり、初期には症状がありません。
前立腺がん罹患(りかん)率は10万人に21.7人(平成11年)で、昭和50年の7.1人の3倍に増加。発症には遺伝因子と、環境因子(高脂肪・高タンパク食など)が影響しているようです。
直腸指診や超音波で測定するほか、前述の血清PSAが4ng/ml以下は正常値、10以上が異常値、その間がグレーゾーンです。年代によっても異なりますが、4ng/mlより高ければ前立腺がんを疑い、生検をします。最近は前立腺に12本針を入れ、そのうち1本でもがんが見つかると手術をするようになりました。
また、前立腺がんの指標の一つに、米・グリーソンが提唱した「グリーソン・スコア」がありますが、これがグレード8以上になると深刻です。また、がんの臨床域別にステージA(微小がん)~D(転移が認められる)に分類されています。
近年は、やや進行したがんでも、前立腺全摘後にホルモン療法を併用すれば10年以上生存できる人が90%にも達します。しかし、約10%はがん死しているので、早期のPSA検診が重要です。さらに、親・兄弟に前立腺がん患者がいる場合も、危険度は2倍になるといわれているので、一度PSA検診をおすすめします。

血清PSAの数値が低くても、前立腺がんを発症することはありますか?
血清PSAが1~2ng/mlでも17%はがんがあるというデータもあり、信頼性は100%とはいえません。PSA測定や直腸指診などの相互補完が大切になります。
排尿障害はあるが、生検で前立腺がんではないと診断されました。今後の留意点は?
3ヵ月~半年に1回はPSA測定をして、数値が右肩上がりなら1年1回は針生検を。その間は前立腺肥大症の薬で経過を見るのがいいのではないでしょうか。
監 修

社会福祉法人あそか会 あそか病院 院長

北村 唯一 氏
(きたむら・ただいち)

1973年東京大学医学部卒業。同大附属病院勤務、米・テキサス大学内科研究員、三井記念病院泌尿器科医局長、東大附属病院分院泌尿器科外来医長、東大大学院医学系研究科泌尿器外科学教授を経て2008年から現職。

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