最新の前立腺肥大症の治療 -トイレの悩み解消-

症状に合わせ広がる治療の選択肢

時計を見ながら排尿時間の測定を

 男性に特有の前立腺肥大症を中心にお話しさせていただきます。尿のトラブルで勢いが悪い、時間がかかる、力まないと出ないといった症状はありませんか。これらは前立腺肥大症の典型的な症状です。
 前立腺は膀胱の下にある男性の生殖器でこれが加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫するため、こういった症状が現れます。また、前立腺が大きくなくても周囲の平滑筋が縮まり、尿道が閉塞(へいそく)すると、同じ症状が現れます。代表的な検査は超音波エコー検査で、前立腺や膀胱の体積、残尿量を測ります。尿の勢いを調べる尿流測定という検査もあります。これはご自身でもできるので、時計を見ながら排尿してみてください。30秒以上なら、尿の出が悪いということになります。
 薬剤についてですが、今まで治療の第一選択薬は、平滑筋の収縮を抑えるα1ブロッカーでした。平滑筋はα1受容体という交感神経のアドレナリンに反応し、筋肉を収縮させるので、この働きを止めれば、平滑筋がリラックスして尿道が広がり、排尿もスムーズになります。そこに昨年、新しい治療薬としてPDE5阻害薬が登場しました。PDE5阻害薬は従来、ED治療薬として厚労省から承認を受けています。今回、同じ成分で用量を減らし、排尿障害改善剤として承認を受けました。排尿障害に対しては、前立腺や尿道の平滑筋をリラックスさせたり、血流を良くすることで効果が期待できます。また、前立腺が大きい場合、昔は男性ホルモン全体の働きを抑制する薬しかありませんでしたが、今は男性ホルモンの働きを限定的に抑える5α還元酵素阻害薬も使用されています。
 薬を飲んでも症状が改善しない場合は手術が必要になります。近年は内視鏡を使って前立腺の組織を電気メスでくり抜いたり、レーザーで焼き焦がす方法が登場し、開腹しなくても済みます。

前立腺とはどのような臓器でしょうか?
栗くらいの大きさで、全体は筋肉と精液の一部である前立腺液をつくる腺などからなり、生殖器としての役割をもちます。
イラスト
前立腺肥大症の予防法はありますか。また、改善すれば、服用を中止してもいいですか。
明確な予防方法はありませんが、前立腺肥大症と相関関係にある糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病を予防することが重要です。症状が改善して服用を中止しても、約3割の患者さんはあまり困らないというデータが最近出ています。排尿の症状は、いい時と悪い時の変動があります。だから調子がいい時に薬をやめてみるのも一つの選択肢ですが、残りの7割の方はやめると症状が元に戻っていることも知っておく必要があります。

夜間頻尿は心臓病やメタボも関係

 一方、過活動膀胱は我慢できない尿切迫感があり、間に合わずに漏らしてしまう切迫性尿失禁が特徴です。現在、約810万人の患者がいると推計され男性の場合、前立腺肥大症と合併することも多いです。治療には抗コリン薬やβ3作動薬を用いますが、前立腺肥大の症状がある場合、抗コリン薬を安易に使うと尿が出なくなることがあり、まずα1ブロッカーを使って残尿を減らし、それでも過活動膀胱の症状があるときは抗コリン薬を併用します。ここが男女の決定的な違いになります。
 最後に夜間頻尿ですが、4500万人以上の人が夜1回以上トイレに行くために起きています。まずは寝る前の飲水量を減らすことが重要です。
また、心臓や腎臓、メタボリックシンドロームの症状が原因で起こることもあるので、注意が必要です。
 男女を問わず、年を重ねれば、トイレの悩みが増えるのは当たり前で恥ずかしがらずに受診しましょう。

夜間頻尿に苦労しています。対策法は?
頻尿が昼夜ともあるのか、夜だけなのかで治療の目安が立ちます。夜だけ頻尿の場合、夜の尿量が多い夜間多尿か、眠りが浅いため、さほど強くない尿意でも目が覚めてしまう睡眠障害のいずれかです。ご自身でできる対策としては就寝の3、4時間前までに水分摂取は済ませておくことです。また、過剰飲水を避けるうえで塩分を控えることも大切です。そうすれば尿を多く出す必要がなくなり、効果があるはずです。
監 修

日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野

髙橋 悟 主任教授
(たかはし さとる)

群馬大学医学部卒業。米・メイヨークリニック・リサーチフェロー、東京大学医学部泌尿器科講師、助教授を経て2005年より現職。14年から日本大学医学部附属板橋病院副病院長。日本排尿機能学会理事、日本老年泌尿器科学会副理事長などを務める。

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