考えよう!!生活習慣病とおしっこのこと

講演 <2> おしっこと血管の意外な関わり!?

排尿のトラブルのことを「下部尿路症状」といいますが、実は血管と深い関係があります。高血圧、脂質異常症、糖尿病に加え、生活習慣病の一つと私はとらえています。特に循環器の立場からすると、心不全や脳卒中などの循環器合併症の隠れた危険因子であり、これに血管の障害が関わっています。体のどこかの血管に障害が起こると、ほかの血管にも異常がある可能性が高いのです。
 改めて血管には動脈と静脈があり、動脈は全身に酸素や栄養を運び、静脈は二酸化炭素や老廃物などを回収する役割があります。脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気の多くは動脈に関係しています。動脈は内膜、中膜、外膜の三層構造からなる血管壁でできています。膀胱、前立腺にも血管がすみずみまで行き渡っています。
 特に一番内側を覆う血管内皮細胞は、人体最大の内分泌器官として重要な役割を果たしています。血管内皮機能には、いわゆる血液サラサラや血栓の調節、血圧調節、血管の肥厚調節などがあります。この血管内皮機能が低下すると、動脈硬化が進行します。下部尿路症状も血管内皮の障害が一因とみられます。つまり下部尿路症状は全身の動脈硬化の一つの表現型ともいえるのです。
 実際に動脈硬化のある人は下部尿路症状が強いというデータがあります。生活習慣病予備軍ともいわれるメタボリック症候群の人は下部尿路症状が改善しにくいし、糖尿病や肥満がある人は前立腺が大きい傾向があります。また下部尿路症状のある人は心筋梗塞や脳卒中を発症しやすいようです。
 下部尿路症状がある方は一度、血管内皮機能測定(FMD)をお勧めします。超音波で血流依存性血管拡張反応をみる簡単なもので、動脈硬化の程度を評価することができます。保険診療も適用されています。ただ、どの病院でも受けられるわけでないので、事前に確認してみてください。
 そして、髙橋先生からも説明があった、新しいPDE5阻害薬は下部尿路症状の改善だけでなく、血管内皮機能の改善という観点からも私は期待しています。もともとED治療薬として承認されたPDE5阻害薬は、血管を拡張させる効果が評価されており、肺高血圧症の治療薬としても認められています。この血管拡張作用が下部尿路症状を改善しながらも他の心血管系の合併症にもプラスに作用する可能性があり、そのエビデンスが待たれます。
 もちろん薬による治療以上に重要なのは生活習慣の改善です。生活習慣病の危険因子を減らすことが、下部尿路症状の改善にもつながります。運動量を増やし体重を減らしたり、アルコールや塩分、コレステロールの摂取を制限するなど食生活を見直したり、喫煙はもっての外で、定期的な検査も大事でしょう。生活習慣病も下部尿路症状も生活の質に大きく影響する病気なだけに、あきらめずに少しでも症状を改善する努力を続けていきましょう。

83歳。健康維持のために水分摂取を心掛けていますが、夜間のトイレ回数が増えました。適量はありますか。
基本的に飲む量が増えたら、回数が増えるのは当然です。脳卒中予防で水分を取って寝ると良いなどといいますが、実は水分摂取が健康維持にいいというエビデンスはありません。喉が渇けば飲むという程度で良いのではないでしょうか。むしろ高齢の方は過剰な水分摂取が心不全の危険因子になります。
高血圧で血圧の薬を飲んでいる影響か、夜トイレの回数が多くて困っています。何か良い薬はありますか?
確かに高血圧のお薬の中には利尿薬もあります。ただその場合、夜間だけではなく昼間も増えるはずです。むしろ高血圧で夜間頻尿の方は、心不全の可能性が心配されます。もし夜間だけ多いなら、一度先生に相談されるといいでしょう。
監修

広島大学循環器科内科

東 幸仁 未来医療センター長・教授
(ひがし・ゆきひと)

広島大学大学院准教授、同大学院再生医療部部長を経て、08年から現職。

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