花粉症とステロイド点鼻薬

はじめに
「ステロイド」と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。
「効果は強そう」だけど「副作用も多そう」というイメージはありませんか。そのため花粉症などアレルギー性鼻炎の治療で処方された「ステロイド薬」の使用を自ら中止してしまったりしていませんか。
ここではアレルギー性鼻炎の治療に使われるステロイド薬、特に「ステロイド点鼻薬」について解説しております。ステロイド点鼻薬は正しく使用すれば効果が高く、副作用の少ない良いお薬です。あなたが感じているステロイド点鼻薬に対する不安や心配が減り、少しでも早くつらい鼻炎症状が改善して快適な毎日を送れることを願っております。

大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻 荻野 敏

花粉症とステロイド点鼻薬

アレルギー性鼻炎の治療に使われるステロイド薬の種類

一般に「ステロイド」とは生命の維持に不可欠なホルモンのことで、正常な人でも副腎、精巣、卵巣などから少量分泌されています。このステロイドホルモンは大きく「糖質コルチコイド」、「鉱質コルチコイド」、「男性ホルモン」、「女性ホルモン」の4つに分類されます。
アレルギー性鼻炎の治療に使われる「ステロイド薬」は、合成の糖質コルチコイドです。ステロイド薬には多くの作用がありますが、主な作用としては炎症を抑える作用、アレルギーを抑える作用があります。アレルギー性鼻炎の治療には鼻噴霧用(点鼻)、経口、注射のステロイド薬が使われます。

■ステロイド点鼻薬
鼻に直接噴霧する薬で粉末タイプと液体タイプがあります。また1日1回の使用でよいものから1日複数回ステロイド点鼻薬使用のものまでさまざまな種類があります。くしゃみ、鼻水、鼻づまりに等しく効果があり、現在のアレルギー性鼻炎治療薬の中では症状改善効果が強い薬です。
■経口ステロイド薬
抗ヒスタミン剤との合剤がよく使われます。よく効く薬ですが、副作用のため、短期間(1~2週間を限度として)の使用にとどめます。
経口ステロイド薬

ステロイド点鼻薬のアレルギー性鼻炎に対する効果

ステロイドはステロイド受容体に結合することによってその作用を発揮します。
このステロイド受容体は全身の組織・細胞に分布しています。このことが逆に副作用として問題となっています。ステロイドを結合した受容体はその組織ごとに異なった蛋白質を増加させたり減少させたりします。
アレルギー性鼻炎の鼻粘膜では炎症を引き起こす細胞が集まり、炎症性の蛋白(サイトカインなど)がたくさん合成されています。ステロイド点鼻薬は鼻粘膜局所に直接噴霧するので少量でこの炎症を引き起こす細胞に作用して、その数を減らしたり、炎症を起こすサイトカインの産生を抑制する効果があります。

ステロイド点鼻薬の使い方のポイント

用法用量を守りましょう
病院・診療所ではあなたの症状や治療希望(症状シート)に基づいてあなたに合ったお薬を必要な量だけ処方しています。従って医師に指示された用法用量を守ることが大原則です。自分の判断で量を増やしたり減らしたりしてはいけません。また、鼻がつまっているのは片側のみだからといって片側のみに噴霧することも間違いです。アレルギー性鼻炎を引き起こす抗原を鼻から吸い込んでいるのであれば、アレルギー反応や炎症は当然両側に起こっていることが予想されます。
勝手にやめない
ステロイド点鼻薬は血管収縮薬とは異なり、噴霧してすぐに効果があらわれるお薬ではありません。また使い続けることでよりよい効果が得られるといった特徴があります。すぐに効かないからといって自分の判断で薬をやめてはいけません。また、症状が落ち着いてきたからといってやめてもいけません。病気としては続いていることがあります。薬をやめることで以前よりひどい症状になってしまうこともあります。特に花粉症の場合は花粉の飛散が終わるまで油断できません。
鼻をかんでから、または鼻が通っているときに
鼻水が多かったり鼻がつまりすぎたりしているとお薬がうまく届かない場合があります。鼻をかんでから、また、1日1回のお薬はお風呂上りなど比較的鼻が通っているときに使うことがポイントです。

アレルギー性鼻炎症状がひどくなる前から治療を開始することもポイントです。
ひどくなってからではちょっとした点鼻の刺激でもくしゃみや鼻水が出てしまいます。

ステロイド点鼻薬の副作用

経口のステロイド薬のように全身性の副作用はほとんどないといわれています。
鼻局所の副作用として鼻刺激感、乾燥感、鼻出血などが時々見られます。眠くなるといった副作用はありません。
ただし、異常が現れたらすぐに医師・薬剤師に相談しましょう。

ステロイド点鼻薬の副作用

さいごに
国民の1/4以上が花粉症といわれています。花粉の飛散が多くなり、あなたの症状がひどくなってから病院・診療所へ行っても混んでいて治療の希望がうまく伝えられなかったり(症状シート)、処方される薬の説明を詳しく受けられなかったりすることもあるかも知れません。症状がつらくなるまで我慢せず、混む前の早いうちに治療を行うと、お薬の種類も少なくすむこともあり、お勧めします。(詳しくは初期療法について

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