尿路結石症を知る

検査と治療

尿路結石症の検査

尿路結石症の診断のための検査には、尿検査、腹部単純X線検査、超音波検査、CTなどが行われます。
尿検査では、血液が混じっていないかを調べます。血尿以外に結石の成分を示す結晶の存在を調べます。白血球や細菌を認めると尿路感染症を合併している可能性があります。
結石の診断にはCT検査が最善の方法です。CT検査では結石の位置を特定でき、結石による尿路閉塞(水腎・水尿管)の程度を評価することも可能です。また、CT検査では尿路結石に似た症状をおこす他の多くの病態も検出できる利点があります。
腹部単純X線検査は、CT検査に比べて放射線を浴びる量ははるかに低いのですが、結石の診断精度は劣り、カルシウム結石以外のもの(尿酸結石など)は検出できません。しかし、カルシウム結石では結石の位置確認にCT検査の代わりに行われます。
超音波検査は放射線を浴びることがないのが最大の利点ですが、CT検査に比べて、小さな結石を検出できません。ただし、尿路閉塞の観察や妊婦には有用な方法です。

尿路結石症の検査

結石の治療

自覚症状、尿路閉塞、感染症を伴わない小さな結石(5mm以下)は、一般に治療は必要なく、しばしば自然に排出します。運動をすると排石されやすくなります。特に、縄跳び、ジョギングなど、からだを上下に動かす運動が効果的とされています。
小さな結石でも尿管に詰まったら植物エキス製剤、漢方剤などを使用します。尿酸結石やシスチン結石には溶解を目的としてアルカリ化剤が処方されます。
疝痛発作には各種の鎮痛剤(内服、座薬、注射など)で対応します。激痛には麻薬系薬剤も使われます。
一般に薬剤の効果は小さく、薬物療法で排石効果が期待できない場合には、外科的治療が必要になります。

外科的治療

名称 方法 利点 欠点
体外衝撃波結石破砕術
(ESWL)
体外からの衝撃波によって結石を砕く
  • ・日帰りで行うことが出来る
  • ・痛みが少なく、ほぼ麻酔をしなくてもよい
  • ・破砕してすぐに取り出せず、尿と一緒に排出される
  • ・大きい結石や硬い結石を一度に破砕できない
  • ・TULやPNLに比べて残石率が高く再発しやすい
経尿道的結石破砕術
(TUL)
尿道を経由して、レーザーを用いて結石を砕く
  • ・硬い結石も破砕できる
  • ・破砕してすぐに取り出せる
  • ・全身麻酔をして行い、数日から1週間程度の入院を要する
経皮的結石破砕術
(PNL)
背中に小さな切開を入れ、レーザーを用いて結石を砕く
  • ・大きい結石や硬い結石も破砕できる
  • ・破砕してすぐに取り出せる
  • ・全身麻酔をして行い、1、2週間程度の入院を要する
  • ・腎臓に穴を開けるため、出血に注意しなければならない

今日まで広く行われている治療法は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)です。原理は体外の装置によって発生した衝撃波(音波の一種)を結石に集中させ、その強力なエネルギーによって結石を砕く方法です。砂状あるいは小片状に破砕された結石は尿と一緒に体外へ排出されます。大きな結石、複数の結石、硬くて破砕困難な結石などは、一定期間を置いて再度施行します。体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は患者さんには負担のない方法で、血尿、疼痛、発熱、皮下出血などが時々みられますが、重篤なものはほとんどありません。
尿管は上中下に分けられますが、中部尿管および下部尿管の結石には、尿管内に細径の尿管鏡(内視鏡の一種で硬性と軟性がある)を挿入し、砕石用の装置により結石を破砕する治療法が行われます。この方法は経尿道的尿管砕石術(TUL)と呼ばれています。砕石の手段としては、ホルミウムレーザーが最もよく用いられています。
大きい腎結石は、経皮的腎砕石術(PNL)で除去することがあります。この方法は、背中に小さな切開を入れ、トンネルを作成して腎盂鏡(内視鏡の一種)を挿入し、ホルミウムレーザーを用いて結石を砕いて破片を回収します。

レーザー発生装置

レーザー発生装置

近年、内視鏡の進歩と周辺機器の開発によって内視鏡を用いた治療法が広く普及しています。この手技を行うには入院が必要ですが、残石がなく治療が完了する利点があります。ただし、経尿道的尿管砕石術(TUL)の合併症としては、尿管穿孔、還流液の溢流(漏れ)、尿管狭窄などがあげられます。
尿路結石の治療は、患者さんの症状や身体的状態、結石の位置と大きさ、尿路閉塞(水腎症)の有無、感染の合併など総合的に判断して適切な治療法が選択されます。