1万人のうち9,999人は必要のないくすり1万人のうち9,999人は必要のないくすり

独自の道を、歩く中で STORY02独自の道を、歩く中で STORY02

2000年半ばから、くすり創りの世界は大きく変わりました。
まだ治療法が見つかっていない病気への医療ニーズが高まり、これまで治療が困難とされていた疾患に向けた新薬が求められるようになってきたのです。しかし、大手製薬企業が難病や希少疾患というニッチな領域に手を広げるのは難しいことでした。
それでは誰が、そのような厳しい領域で新しいくすりを創るのか。

日本新薬は、自分たちの進むべき道を定めました。
「たとえ患者さんが少なくても、病に苦しむ方が本当に必要とするくすりを届ける。」
こうして日本新薬は、難病や希少疾患に向けたくすり創りに取り組む覚悟を決めたのです。

そんな中から生まれたのが、骨髄異形成症候群(MDS)の治療剤「ビターザ」でした。
MDSは白血病へと移行する確率の高い難治性疾患で、日本国内でのMDS患者数は約9,000人と言われていました。当時、この病気への選択肢としてはアメリカで販売されているくすりが一つあるだけで、日本国内にMDS治療剤はありませんでした。日本新薬はこのくすりの導入へと踏み切り、国内外で厳しい審査や試験を経て、治療を待つ患者さんのもとにくすりを届けることができました。

MDSへの取り組みを重ねる一方で、患者が国内で数百人という時代から、希少疾患の肺動脈性肺高血圧症治療剤の研究・開発にも取り組んできました。ビジネスとして考えると、狭過ぎるターゲットかもしれません。でも、社員みんなの気持ちが、患者さんのために一つになっていたからこそ、開発は予想以上に良い結果を生みました。

大きな売上は望めないと思われていたこれらの新薬は今、日本新薬のトップ製品となっています。「ビターザ」はMDSの画期的医薬品として売り上げ100億円を突破し、自社創薬のPAH治療剤は2015年に「ウプトラビ」としてアメリカで承認され、現在では50を超える国々で販売されています。

そして2020年、まだ治療法が確立されていないデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療剤「ビルテプソ」を日米で発売。患者数5万人以下の疾患を指して希少疾患と言われるなかで、この疾患の国内患者数は約5,000人。多くの会社にとって、そもそも開発対象にもなり得ない市場規模です。そんななかで発売を迎えた「ビルテプソ」は国産初のアンチセンス核酸医薬品として、患者さんにとって大きな希望の光になると期待されています。

1万人のうち9,999人は必要のないくすりでも、世界のどこかでくすりを待ち望んでいる人がいるかぎり、日本新薬は諦めずに挑み続けます。

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