発作症状と対処法
レノックス・ガストー症候群でよく起こる発作症状や、
発作が起こった際の対処法・注意点について解説しています。
レノックス・ガストー症候群で起こりやすい発作症状
主に強直発作や脱力発作、非定型欠神発作がみられます。
他にも、ミオクロニー発作、強直間代発作、焦点発作がみられることもあります。
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強直発作
身体が固くなる発作。睡眠中に目が開いて眼球が上転する、口を開ける、頭を少し起こすなどの軽い症状から、両腕が上がる、うなり声が出る、身体全体を反り返らせるなどの強い症状までさまざまみられる。
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脱力発作
身体を支えている筋肉の緊張が突然低下・消失し、崩れるように倒れてしまう発作。
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非定型欠神発作
数⼗秒間にわたりぼーっとする。話しかけても反応しない発作。⽬をパチパチする。
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ミオクロニー発作
⼿⾜や顔、身体の⼀部が⼀瞬ピクッと収縮する発作。物を落としたり、転んだりする。寝起きや寝⼊りに起こりやすい傾向がある。
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強直間代発作
突然発症して、強直発作から間代発作に移行する。発作後にもうろう状態になったり、眠ったりすることがある。
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焦点発作
患者さんの意識はあり、手足などが突っ張る、ピクピクしたりする発作。視覚や聴覚の異常がみられることもある。
発作が起こるきっかけ
睡眠不足、疲労、ストレスなどによって誘発されることがあり、日常生活のさまざまな刺激がきっかけになる可能性があります。規則正しい生活を送ること、抗てんかん発作薬を決められた通りに服用すること、睡眠不足に気をつけることが大切です。
寝不足や疲れ、ストレス
睡眠不足で、多くの人に発作が起こりやすくなります。
規則正しい生活を送ることと、慣れない場所や環境に注意し、十分な休息をとることが必要です。睡眠不足にならないよう、寝室に携帯電話を持ち込まないなどの工夫をして睡眠環境を整えることも大切です。

抗てんかん発作薬の飲み忘れ
抗てんかん発作薬は処方された通りに服用してください。
薬を飲み忘れたときはどのように対応すべきか、事前に主治医や薬剤師に確認しておいてください。

発作時の対処法
⽬の前で発作が起こると、とても慌ててしまうと思いますが、まずは、落ち着いて⾏動することが⼤切です。
1〜数分で治まるけいれん性発作であれば、その後10~20分程度で意識が回復することが多いので、安全を確保しながら経過を観察してください。
レノックス・ガストー症候群ではてんかん重積状態に注意が必要です。けいれん性発作が5分以上続く場合は、レスキュー薬が処方されている場合は適切に使用し、処方されていない場合は救急車を呼び病院に行くようにしましょう。
また、非けいれん性てんかん重積状態は、日常的に繰り返すことがわかっている場合は緊急に病院を受診する必要はありませんが、初めて長時間の意識消失が続いた場合やいつもと違う症状がある場合などは病院に行くようにしましょう。
発作が起こったらやるべきこと
- 周囲の危険物を取り除き、安全な場所で横にする
- 呼吸しやすいように服のボタンを外し、ベルトをゆるめる
- 食事中であれば、食べ物や吐いた物がのどに詰まらないように顔を横に向ける
- 発作が起こった時刻を確認し時間を計る、てんかんの様子を観察する(動画を撮る)
- 口の中にタオルや箸などの物を入れない
- 叩いたりゆすったりしない
観察するポイント
- 起こった時間:「いつ」
- 起こった場所:「どこで」
- 起こった状態:「なにをしているときに」
- 発作のタイプ:「どんな発作が」
- 発作の持続時間:「どのくらいの長さの時間」
救急車を呼ぶ必要がある状態
- 意識が回復しないまま、同じ発作を繰り返す(てんかん重積状態)
- けいれん性発作が5分以上続く(けいれん性てんかん重積状態)
- 非けいれん性発作で長時間反応が乏しくなり回復しない(非けいれん性てんかん重積状態)
救急車を呼ぶとき
慌てず落ち着いて、状況を伝えるようにしましょう。
1.緊急搬送可能な、かかりつけ医への連絡時に伝えるべきこと
- 患者の名前、主治医名
- 患者の状態
- 使⽤した薬(レスキュー薬など)
これから向かって
いいですか?

2.「119」への救急要請時に伝えるべきこと
- 患者の名前、病名、住所
- かかりつけ病院名、主治医名
- 上記、かかりつけ医への連絡情報
- 薬剤アレルギーの有無
てんかん重積状態のため
迅速な対応が必要です!

緊急受診時の持ち物
緊急時にいつでも持ち出せるように、日ごろからひとつにまとめておきましょう。
また、日常的に服用している薬、発作時に服用した薬があれば、きちんと伝えるようにしましょう。
受診に必要なもの
- 診察券
- 健康保険証(またはマイナ保険証)
- 医療証
- これまでの発作や治療を記録したもの
- お薬手帳
処置中や入院に必要なもの
- 常備薬
- ミルク
- 哺乳瓶
- オムツ
- おしりふき
- タオル
- 着替え
- 歯ブラシ
- コップ
- ストロー
- スプーン
- 印鑑
- 付添人の着替え など

日本てんかん協会のホームページから「緊急カード※」をダウンロードすることができます。
※緊急時にてんかんであることを周囲に知らせたり、搬送先の病院で正しく対応してもらうために持ち歩くことのできるカードです。
緊急カード [日本てんかん協会](外部サイト)