手をつなぐサイトアイコン Lennox-Gastaut syndrome 治療情報サイト レノックス・ガストー症候群と、あゆむ

監修:埼玉県立小児医療センター 神経科 科長 菊池健二郎先生
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レノックス・ガストー
症候群の治療

てんかん発作が長く続いたり、回数が多くなったりすると、からだや脳の
機能に影響し、発達や運動機能の障害を引き起こします。
そのため、できるだけ早期から、お薬、食事、リハビリテーションを組み合わせた
方法で、てんかん発作を抑える治療を開始し、継続することが大切です。

お薬による治療

てんかんの治療には、てんかん発作が起こったときに発作を止める薬(レスキュー薬)と、てんかん発作を起こさないようコントロールする抗てんかん発作薬が用いられます。

レノックス・ガストー症候群は、数種類の発作がみられるため、複数の抗てんかん発作薬を併用します。一方で、一般に使用される抗てんかん発作薬ではコントロールできないことがあります。また、一部の薬は、症状をかえって悪化させるため使用を避けたほうがよいとされています。

男の子のレノックス・ガストー症候群患者さんが薬を服用している様子のイラスト
レノックス・ガストー症候群の治療薬
  • てんかん発作が起こったときの薬(坐薬、飲み薬)
  • レノックス・ガストー症候群で使われる抗てんかん発作薬

手術による治療

脱力発作などの発作をもつ場合に、てんかんの外科手術が行われることがあります。

左右の脳をつなぐ脳梁と呼ばれる部分を切断する方法(脳梁離断術)や、迷走神経と呼ばれる脳神経を一定間隔で刺激する方法(迷走神経刺激術)などがあります。

食事療法

もっとも代表的なてんかん食事療法はケトン食療法です。ケトン食療法は糖質を減らし脂質を増やした食事で、脂質が分解されてケトン体が体内で作られ効果を発揮します。
糖質制限を中心とする修正アトキンス食も効果があると報告されています。

これらの食事療法は、入院のうえ、医師や栄養士の指導を受けて開始します

ケトン食(ケトン指数 脂質:糖質+タンパク質=3〜4:1)

炭水化物とタンパク質の摂取量と総カロリーを制限する食事療法で、血液の中のケトンの量を増やすことでてんかん発作を抑えます。

具体的には、砂糖や米だけでなく、パン、パスタなども厳しく制限し、脂質:糖質+タンパク質を3〜4:1(ケトン指数)にします。

修正アトキンス食(ケトン指数 脂質:糖質+タンパク質=1~2:1)

糖質のみを10~20g/日までにして、脂質を多く摂取する食事療法で、タンパク質の制限がないため、肉や魚、豆腐、卵は味付けに糖分が加わらなければ食べることができ、比較的負担が少なく食事療法を行うことができます。

リハビリテーション

てんかんのリハビリテーションでは、発作のコントロールを⾏いながら、機能障害(⾝体障害や知的障害)を軽減させる必要があります。⾝体障害や知的障害に対するリハビリテーションは、てんかんの有無によって内容が変わるわけではありません。

さらに、就労・⽣活⽀援、患者教育、てんかん発作へのリスク管理などさまざまなてんかんケアもリハビリテーションに含まれます。

リハビリテーションスタッフと
それぞれのかかわり

てんかんのリハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士などが協力して実施します。

理学療法士

合併身体障害に対し、関節稼働訓練、坐位保持・立位保持・歩行等の訓練、坐位保持装置や車いす等の作製を行う。

リフター・階段昇降機・福祉車などの移動用福祉機器を導入する。

転倒時の外傷予防に頭部保護帽があり、日常生活具として公費負担制度の利用が可能。

作業療法士

運動機能、感覚知覚機能、⼼肺機能、摂⾷嚥下機能、精神機能の低下、更⾐・⾷事・コミュニケーション等の⽇常⽣活動作の低下に対して、諸動作・創造的活動・教育活動・レクリエーションなどの作業や活動を⾏い、機能障害を軽くする。

運動機能訓練、認知訓練、⽇常⽣活動作訓練、感覚訓練等を⾏う。

柄を⼯夫したスプーン・⾃助具を導⼊する。

理学療法⼠と協⼒し、リフターや⼊浴機器などの福祉機器を導⼊する。

言語聴覚士

⾔語障害と摂⾷嚥下障害にかかわる。

⾔語障害
→ ⾔語検査を⾏い⾔語訓練を⾏う。
必要に応じてコミュニケーション機器を導⼊する。
摂⾷嚥下障害
→ 多職種連携により機能評価と訓練を⾏う。
医療ソーシャルワーカー

自立支援医療費、就労等の社会資源に関する情報を提供する。

臨床心理士

心理検査を行い、知的面・精神面を評価する。

問題部分への遊戯療法・行動療法・認知リハビリテーションを行う。

てんかん患者と家族への心理面からの支援をする。

街並みのイラスト