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患者さんの声

紹介している内容は、個人の体験にもとづく感想や印象であり、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。
個々の患者さんの診断及び治療方法については、必ず医師とご相談ください。

ご家族が語る、レノックス・ガストー症候群との
向き合い方と未来への希望

幼少期から小児期に発症することが多く、さまざまな発作を起こし、精神発達障害や運動障害を来すレノックス・ガストー症候群。6歳の時にこの病気と診断され、現在24歳となる息子さんと同居するCさんご夫婦。今回、この病気と向き合う家族の現実、治療に対する不安や期待などをお母さんに伺いました。

1歳2か月の時、睡眠中にしゃっくりが毎日出るようになりました。

近くの小児科を受診すると、先生から「大きな病院で脳波をとったほうがいい」と指摘されました。すぐに大病院で脳波検査を受け、ウエスト症候群と診断されました。

重い病気だと知り、「いますぐ専門性の高い病院で診てもらおう」と決意しました。

ウエスト症候群やレノックス・ガストー症候群という病気の知識はほとんどありませんでした。医学書やインターネットで調べ、重い病気で予後不良だと知り、とても驚きました。主人と「いますぐ専門性の高い病院で診てもらおう」と決意し、小児のてんかん診療を専門とする医療機関を直接受診したところ、即日入院となって治療が始まりました。この時の判断と行動が非常によかったと感じています。

6歳の時に外科手術検討のためセカンドオピニオンを受け、レノックス・ガストー症候群と診断されました。

抗てんかん薬による内服治療が始まったものの、良くない状態はずっと続きました。ACTH療法など、さまざまな治療も一通り試しましたが、発作のコントロールは思うようにできませんでした。その中で、ケトン食療法は発作を一時的に消失させ、情緒が安定したので2年間続けました。その後、発作が再発するようになり、激しい強直発作も見られるようになってきました。6歳の時に、主治医から「セカンドオピニオンを受けてみては」と提案され、遠方の専門医療機関を受診すると、レノックス・ガストー症候群に移行していると診断されました。※:ACTHについて - WEPiLi てんかんアドバンスド(外部サイト:ノックオンザドア株式会社が運営するサイトです)

頻繁に繰り返す激しい発作は、見慣れている私たち夫婦でも恐怖を感じました。

当時、頻繁に繰り返す発作に加え、中には唇が真っ青になるほどの激しい強直発作もありました。すぐにでも手立てを打たなければ日常生活を送ることができなくなりつつありました。発作は見慣れている私たち夫婦でも怖かったですし、療育園や学校で知識のない人たちが見た時は、ものすごく恐怖心を抱いたのではないでしょうか。そういう状況になり、外出も難しい状態になっていました。

ウエスト症候群もレノックス・ガストー症候群も難治で予後も不良なので、「発作を減らすにはどういう治療法があるのか。どんな薬があるのか」を、ただ知りたいという気持ちでした。セカンドオピニオンで、外科手術適応と診断され「脳梁全離断」という頭部の外科手術を受けました。※:脳梁全離断(脳梁離断術) - WEPiLi てんかんアドバンスド(外部サイト:ノックオンザドア株式会社が運営するサイトです)

様々な治療に挑戦するものの、発作は再発を繰り返しました。

手術後は症状が治まり、 急に全身の力が抜ける脱力発作によって激しく転倒することもなくなりました。発作が消失すると発達が進み、生活の質も大きく向上しました。しかししばらくするとまた発作が徐々に増えていき、 小学6年生の頃、今度は抗てんかん薬の治験に参加しました。服薬を開始して半年くらいから発作が消失し、生活の質も向上し、しばらく落ち着いた状態で過ごすことができました。しかし、やはり徐々に発作が増えていき、薬を3剤併用するものの、発作を完全には抑えることができなくなっていきました。

「強い発作、生活のしづらさ、日々の発作によるダメージを改善したい。試せるものは何でも試したい。」

24才の当初、強直発作は月に2〜4回くらいと回数は少なめでしたが、1回毎の発作が強く顔色も悪く唇も青くなり、ダメージはとても大きくなっていました。口がピクピクしたり、手足が勝手に動いたりと、不随意運動が毎日出るようになっていました。

そこで主治医から、「別の薬も試してみませんか」と提案されました。その薬は始める前に心エコー検査を受ける必要があるとのことでしたが、そんな不安や心配より、「強い発作、生活のしづらさ、日々の発作によるダメージを改善したい。試せるものは何でも試したい」という気持ちが強く、お願いしたのです。

今までは乏しかった表情が、発作が消失したことで笑顔を見せるように。

既存の2剤とともに別の薬を始めると、発作はすぐに消失しました。これまでの薬では経験したことのない確かな変化を初めて実感したのです。

診断を受けたばかりの子供の頃に比べ、発作が消失したことで意識レベルが格段に上がり、それまではボーっとしたり表情が乏しい状態だったのが、目がぱっちりとして笑顔を見せるように。明らかに元気になり、平日に利用しているデイサービスのスタッフさんからは「何かあったんですか?」と驚かれるくらいになりました。

ただ一方で、服薬後ほどなくして下痢が突然始まりました。外出は難しく、デイサービスもしばらく休むほどでした。主治医に下痢止めを処方してもらい治まりましたが、今後、新しい薬を増やしていく可能性もあり、不安がないわけではありません。ただ、いまのところは下痢止めで対処できているので、治療薬と併せて服用していくものだと理解しています。

発作を止めてあげたいという一心で治療に取り組んだ幼少期。今では発作が消失し、すごく楽になっています。

1歳2か月までは元気に育っていたのが、発症によって障害が表れ、普通の生活を送ることが難しくなりました。てんかん発作は激しく、昼夜問わずそばで見守る必要がありました。発作を何としても止めてあげたいという一心で、治療にずっと取り組んでいた幼少期でした。

それが今では発作が消失したので、家ではすこし離れていても問題なく過ごせるように。私たち夫婦の緊張感は減り、すごく楽になっています。

入院ばかりしていた子どものころとは比べられないほど、元気に過ごせています。

知的障害は最重度で、身体障害も1級です。現在は平日はデイサービスを利用し、自宅前まで送迎してもらっています。今後の状況がどのように変わっていくのか分かりませんが、入院ばかりしていた子どものころとは比べられないほど元気に過ごせているので、いまの生活に満足しています。

治療に不安を感じるみなさんへ:
子供の症状に合った治療法を根気よく見つけていくことが重要と思います。

これまで抗てんかん薬からケトン食療法、脳梁全離断など主治医の先生と相談しながらいろいろな治療を一つずつ試してきましたが、その子供の症状に合った治療法を根気よく見つけていくことが重要と思います。発作の記録はスマートフォンのアプリで簡単に詳細にできるようになりましたし、情報検索もしやすくなっています。難治性のてんかんであっても、発作が減少すれば患者本人の発達が順調に進むこともあります。発作と向き合い続けるという現実はありますが、新しい治療への期待や希望をもち、この病気とうまく付き合っていくことが大切だと思っています。

街並みのイラスト