- 初めての発作は5歳の時。その後、ウエスト症候群と診断されました。
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娘は生まれつき染色体に異常があり、小脳の未発達や大脳の発達の遅れがありました。そのため、「いつかは何かしらの影響が出るのかな」と考えていた中、5歳の時に初めて発作を起こしました。それはてんかんによる発作で、症状や検査からウエスト症候群と診断されました。
- 治療を始めたものの、発作が落ち着かないまま6年が経ちました。
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薬物治療を始めたものの、発作は落ち着かず、頭を一瞬カクンと垂れるような発作が多く見られました。発作が十分に落ち着かないまま治療を続けて6年。娘が11歳の時に発作の形が変わり、全身に力が入るような発作が増えました。その様子を動画に撮って主治医に確認してもらうと、レノックス・ガストー症候群に移行しているとのことでした。
- 「病気自体は治らないけど、成長に伴って病名も変わった」
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ウエスト症候群からレノックス・ガストー症候群に移行しても、治療は変わらなかったことで少し安心でき、むしろ「病気自体は治らないけど、成長に伴って病名も変わった」と、発作の形の変化を成長の証として前向きに捉えました。また、主治医からは、ウエスト症候群と違い、発作の時間が短くなることや、意識レベルがクリアな時間も増えると聞いたので、「もっと成長できるような展開があるかも?」と、期待を抱きました。
ただ一方で、娘と同じように先天異常をもつレノックス・ガストー症候群の患者さんは少なく、分かっていないことも多く、主治医の先生も手探りで治療を進めるしかありませんでした。
そのため、他の方との比較はできず、娘が先頭に立って病気の解明につながるよう情報を発信、提供していくのが望ましいと考えるようになりました。
- もう使える薬がない。そんな時…
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それまでの治療薬では発作を抑えられず、頻度もそれなりにあり、眠りっぱなしになることも。もう使える薬がなく、脳梁離断術※という外科手術の話も出ていました。そんな時、主治医から別の治療薬を教えてもらいました。すぐにでも試したいという気持ちでいっぱいでしたが、服用の難しさがネックだと感じました。服薬のサポートを学校の先生にお願いしなければならなかったからです。しばらく悩みましたが、学校の先生方に事情を説明したところ、理解と協力を得ることができ、他に選択肢となる治療薬がないことから、この薬を使うことに決めました。※:脳梁離断術 - WEPiLi てんかんアドバンスド(外部サイト:ノックオンザドア株式会社が運営するサイトです)
- 大きな発作が少なくなることで、心理的な負担もかなり軽くなりました。
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いちばんのネックだった服薬の難しさは、周りの理解と協力で解消できています。ほかに、娘はおむつで過ごしているため、下痢の副作用も心配でしたが、もともと便秘気味のせいか、いまのところはそうした副作用が出ることなく過ごせています。
現在、この薬を含めた3剤で治療を継続しています。今ではとても活気が出て、起きている時間も長く、寝転がりながら腹筋を使って足を上げたりするようになりました。寝ている時間が長く、活発に動くことが少なかったいままでとは対照的なので、とても驚きました。それに、感情表現が豊かになったのは、成長を感じる瞬間でもあります。
強直発作やガクガクとけいれんしたりする強直間代発作を目の当たりにすると、分かっていてもかなり動揺します。そうした発作が少なくなることで、私たち家族の心配や不安は減り、心理的な負担もかなり軽くなりました。
- レノックス・ガストー症候群の先にある未来を知りたい。
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追加した薬による副作用はいまのところなく、活気ある社会生活、学校生活を送れています。ただ、レノックス・ガストー症候群の先に、また別の疾患に移行したり、状態が変わっていったりするのかなどは、やはり知りたいです。そして、それを予防できるような対策があれば積極的に取り入れたいですし、薬の服用方法も何か工夫できることがあれば教えて欲しいと思っています。
- 未来輝くたくさんの夢。何かをあきらめるつもりはまったくありません。
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病気だからといって何かをあきらめるつもりはまったくありません。娘も家族もそう思っていますし、私たちには夢がいっぱいあります。娘はこの春、工業高校の理数工学科に進学します。友達をたくさん作って欲しいのはもちろん、自分の強みを知る3年間にしてほしいと願っています。進学する高校には、さまざまな学科があり、医療と福祉を結びつけるような役割を見つけるチャンスがたくさんあると思います。娘がパイプ役となり、一緒に学ぶ生徒さんたちとアイデアを出し合い、何か形にできたら嬉しいです。それが3年間の目標です。そしてその先には、大学進学の夢もあります。
- 治療に不安を感じるみなさんへ:
副作用が出たのであれば、早期に見つけることが重要です。 -
薬には効果があれば、副作用もあります。それでも、その薬を使うと決めたのは私たち家族です。副作用が現れるのか、現れないのかは、試してみないと分かりません。もし副作用が出たのであれば、早期に見つけることが重要です。たとえば、下痢をしたことがないのに軟便になった、泥状便になったなど、些細な変化に気付くのはお母さんや家族です。普段の様子をよく知っているからこそ分かるサインを見逃さず、医師に相談することが大切です。薬が合えば子どもも家族も楽になれるはずです。あきらめずに挑戦していきましょう。