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日本新薬の取り組み
患者さんの声【新】
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患者さんの声

紹介している内容は、個人の体験にもとづく感想や印象であり、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。
個々の患者さんの診断及び治療方法については、必ず医師とご相談ください。

vol.04「発作が起こらない日をめざして」
− 家族で分かち合うことの大切さ −

10代後半のHさんは、ご両親と暮らしながら平日は就労支援作業所で働いています。3歳すぎにてんかんと診断されてから長年にわたって発作は落ち着かず、日常・学校生活に大きな影響が及んでいました。転機が訪れたのは高校3年生の時。レノックス・ガストー症候群の確定診断がつき、治療薬方針が見直されたことで発作の軽減につながったといいます。今回、お母さまに息子さんのこれまでの発作の経過や治療の変遷、日々の暮らし、将来への思いについてお話を伺いました。

はじめてのてんかん発作
初めての発作は保育園でケガをした翌朝のこと。ケガが引き金だったかどうかは不明ですが、すぐにてんかんと診断されました。

息子が3歳3か月の時のことです。保育園で歯磨き中に他の子に押されて口の中を切り、保育士さんに付き添われ大学病院で処置を受けました。翌朝5時頃、突然手を挙げながらガタガタと震え、目は上を向いて白目になる発作を起こしました。慌てて救急車を呼び、前日と同じ大学病院に搬送されると即入院に。詳しい検査はしませんでしたが、発作の様子や発熱がないことなどから、「てんかんですね」と主治医に告げられました。すぐに薬物治療が始まり、2泊ほどで退院できましたが、ケガとの因果関係は結局分からないままでした。

改善しない発作と不安
「成長とともに自然になくなる」と説明を受けるも発作は落ち着かず、日常生活では心理的負担を減らす工夫が必要に。

その後はちょっとした発作が一度あっただけで、落ち着いていました。しかし、ひと月半ほど経った朝方に、前回と同じような発作が起こりました。15分以上続き、再び大学病院に救急搬送され、2日間の入院となりました。主治医からは「薬をきちんと服用していくことで、小児期のうちに発作は自然になくなるでしょう」と説明され、成長に合わせて薬の量を調整していました。ところが小学生になっても月に1回程度、これまでと同様、朝方に同じような発作が10分程度続く状況は改善しませんでした。

また、小学1年生の夏休みには、登校日と、休み明け初日と立て続けに発作を起こしました。「明日は登校する日」という本人の不安やストレスが引き金になっていたようでした。そこで2年生以降はイベントなどの予定はできるだけ直前まで伝えず、心理的な負担をかけない工夫をしていました。

試行錯誤の薬物治療
小学校高学年から発作パターンが多様化し、大きな発作も起こることも。薬物治療は試行錯誤の連続で安定した状態にはなりませんでした。

薬の量を調整したり粉薬から錠剤に変更したり、さらに4年生の時には別の薬を追加したのですが、暴れるといった副作用が出たため、すぐに中止し、再び単剤治療に戻りました。この頃から新たにボーッとする発作が現れて早退を余儀なくされることが増えました。また、冬の登校中にはピクピクする発作の後に嘔吐することがあり、ノロウイルスなどの感染症と間違われて登校を控えるよう求められたこともありました。さらに、これらのボーッとする発作、ピクピクする発作が2週間毎日続き、その後2か月ほどは発作がないというサイクルを年4回程度繰り返すようになっていきました。従来からの朝方10〜20分の発作もこれまでと同頻度で起こる中、5年生の夏、宿泊行事の説明会の朝に、かつてないほどの大きな発作を起こしました。いつもなら様子を見ているうちに発作が収まり眠ってしまうのですが、この時は1時間以上もガクガクと震え、その後、意識なくピクピクするといった状態が続きました。大学病院に救急搬送され、MRIなどの検査をしたものの原因は特定できないまま、2泊で退院となりました。

その後、6年生の時に他の薬を追加したものの、発作はコントロールできず、副作用でしゃっくりが強く現れたため長く服用することなく、再び1剤での治療に戻りました。

レノックス・ガストー症候群の診断
発作パターンはさらに複雑化して家族の悩みも深刻になる中、高校3年生でレノックス・ガストー症候群の診断が確定しました。

中学生になると、2週間毎日続くボーッとする・ピクピクする発作と2か月ほど落ち着くサイクルは年4回から6回ほどに増え、朝方の発作も月1回ほどの頻度で続いていました。中学1年生の頃はまだ登校できていたのですが、2年生で新型コロナウイルス感染症にかかり、2週間欠席したこともあり、発作による登校渋りが増え、本人も私たち夫婦も今まで以上に深く悩む日々を過ごすようになりました。

定期的な受診時に症状を詳しく伝えていましたが、主治医も診断に苦慮されていたのだと思います。そんな中、高校3年生になった4月の受診で、レノックス・ガストー症候群の診断がつきました。診断名が明らかになり、レノックス・ガストー症候群の薬を試せることがわかり、主治医の指示で服用前に必要な検査の予約をすぐに取りました。帰宅後、レノックス・ガストー症候群について調べると、これまでの症状がすべて当てはまっており、ようやく診断がつき、適切に治療が始められることに家族みんなで安堵しました。

レノックス・ガストー症候群の治療薬を開始
レノックス・ガストー症候群に対する治療薬で発作が落ち着くまでの時間が短くなり、回数も減っていきました。

主治医から既に服用している薬に追加する形で、レノックス・ガストー症候群の薬を処方いただき、段階的に量を増やしていきました。すると12月には発作の回数は変わらないものの、朝に起こるガクガク・ボーッとする・ピクピクといった複数のタイプの発作が落ち着くまでの時間が1時間から30分程度に短くなりました。

高校卒業後は、生活介護事業所に併設される作業所で就労の機会を得て働くことになりました。継続して薬の量を調整していただき、週2〜3回あった発作が週1回週末にあるかないかにまで減り、平日5日間連続で事業所に通えるように。「今週は発作がなかったね」と家族みんなで喜び合い、私自身も仕事を休まなくて済むようになり、精神的な安定につながっています。寒さによる発作の増加は若干ありますが、全体的な改善は続いています。

一方で、レノックス・ガストー症候群の薬を飲み始めてからは発作時の失禁が増えました。以前は発作が起きても自力でトイレに行けていましたが、現在はおむつや防水シートを準備し、発作時にはすぐ対処できる体制を整えています。

現在
就労機会が本人の前向きな姿勢を育み、家族全体に安らぎをもたらしています。

作業所での活動は、息子の意欲を高めているようです。体調がよくない時は別室で休憩させてもらいながらも、普段行っているタオル畳み以外の作業に興味や関心を示し、週1回でも新たな作業に参加したいと積極性をみせています。また、作業の対価として支払われる工賃が増えることも大きなモチベーションになっているようで、本人は「コンビニでジュースなどを購入するのが楽しみ」と話しています。

かつては「学校に行きたくない」という言葉を聞くのがつらく、私自身も心を痛めていました。しかし最近は前向きになり、将来への希望を語る機会が本当に増えました。発作なく働ける日が一日でも多くなることは、私たち夫婦にとって何よりの願いです。

メッセージ
同じ境遇にいるご家族へ:
機会を逃さず挑戦することが最善の道につながります。

薬には効果もあれば、副作用もあります。新たに別の薬を試すときには、主治医とよく相談し、納得できる形で進めることが大切です。医師は、診断や薬の選択のためには慎重になりますし、とりわけ難治性のてんかんで指定難病にもなっているレノックス・ガストー症候群であればなおさらでしょう。だからこそ、主治医との信頼関係を築いて協力し合うことが、長い治療の道のりの中で、最終的にこの病気と向き合うお子さん・ご家族に最善の結果をもたらすのではないかと思っています。

街並みのイラスト

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