フィンテプラ®を服用される患者さんとご家族へ

患者さんの声

紹介している内容は、個人の体験にもとづく感想や印象であり、すべての患者さんにあてはまるわけではありません。個々の患者さんの診断及び治療方法については、必ず医師とご相談ください。

“ドラベ症候群”のお子さんと、
そのご家族が描く未来の実現に向けて

Aさんご夫婦は、9歳の娘さんと、ドラベ症候群と診断されてから3年が経過した5歳の息子さんを育てています。ドラベ症候群は、1歳までに発症することが多い難病で、息子さんも発症後、発作に悩まされてきました。しかし、最近では発作のコントロールがうまくいくようになったとのことです。今回は、これまでの治療経過や子育てにおける苦労、周囲との関わり、そして未来に向けた思いについて、お母さまにお話を伺いました。

生後6か月の頃、お風呂上がりに突然、激しいけいれんを起こして反応がなくなりました。それが最初の発作でした。

生後5か月を過ぎた頃から、お風呂上がりに一瞬ピクピクすることが何度かありました。「少し気になるね」と主人と話していたのは生後6か月のことです。その後、お風呂上がりに突然、激しいけいれんを起こして反応がなくなりました。それが最初の発作でした。20~25分ほどでけいれんは抑えられ、救急隊員や病院では「熱性けいれんでは?」と言われました。確かにお風呂で体温は上がっていましたが、入浴前から発熱していたわけではなく、親としては納得できない気持ちでした。

てんかんと診断されたのは、意識消失を伴う発作を初めて起こした生後9か月のときです。

その発作から2週間後、再びお風呂上がりにけいれんを起こし、搬送されて検査入院をしましたが、診断はつきませんでした。そして生後9か月のときに、片側けいれんから全身けいれん、意識消失を伴う発作を初めて起こし、現在の主治医でもある先生にてんかんと診断されました。

治療が始まってしばらくの間、発作は落ち着いていました。しかし…

薬物治療が始まってしばらくの間、発作は落ち着き、発熱しても発作を起こさなくなりました。しかし、風邪などで体調を崩したときに発作が起こるようになり、薬の増量や別の薬を追加しても、あまり効果は見られませんでした。

そして1歳6か月の時、これまでとは異なる無熱の非けいれんの発作と、久しぶりにてんかん重積状態を起こしました。服薬量の調節や薬の追加・変更を行いながら様子を見ていましたが、無熱発作やてんかん重積状態は続きました。

2歳7か月のとき、遺伝子検査を受けてドラべ症候群と確定診断されたのです。

そんな中、主治医の先生から「これまでの経過からドラベ症候群かもしれない」と指摘されました。ちょうど遺伝子検査が保険適用であることを知り、私たち両親も含めて検査を受け、息子が2歳7か月のとき、ドラベ症候群と確定診断されたのです。

その後、別の治療薬が追加されましたが、病院に到着するまで抑えられないような発作が初めて起こりました。増量しても発作の頻度も、てんかん重積状態も相変わらず多かったため、半年後、また別の薬を追加することに。副作用に悩まされたものの、3か月間は発作がなく落ち着いていました。でも、しばらくすると搬送が必要なほどの止まらない発作を繰り返すようになり、そのたびに主治医の先生と相談しながら薬の増量をしつつ、様子を見ていきました。

様々な治療を行いましたが、思うように進みませんでした。ちょうどその頃…

これまでの治療が難渋していたこともあり、主治医の先生にも診ていただきながら、3歳になった年の3月から年に1回、遠方のてんかん専門医療機関を受診し始めました。そこで薬の調整を行っていたのですが、無熱の非けいれん性のてんかん重積状態が続いていたため、それまで服用していた薬の一つを別の薬に変更することになりました。薬の変更は元の薬を少しずつ減量していきながら行いますが、服用を中止すると発作のタイプが無熱発作から全身けいれん発作にかわってしまいました。

ちょうどその頃、主治医の先生が「学会である治療薬の成果が紹介されていた」と教えてくれました。私もドラベ症候群の患者家族会などを通じて、その薬を服用しているお子さんが多いことを知り、興味が湧きました。もちろん副作用が気になりましたが、息子だけでなく、家族みんながつらい思いをしていたため、試す価値はあると考えました。そして、てんかん専門医療機関の先生と地元の主治医と相談し、新しい薬に変更することを決めました。慎重に増量しながら経過を見ていった結果、現在はこの薬を含む3剤の併用で、それまで週1〜2回起こしていた無熱発作はほぼなくなり、発作は発熱時や体調不良時のみになっています。

年少の頃は、園まで車で送り迎えしていましたが、今ではバスを使って通園できています。

息子は年中になり、年少の時から通っている市の療育園に平日毎日10時から15時まで元気に通っています。年少の頃は「てんかん重積状態が起きたら迷惑かけるかも」と心配で、1年間は車で送り迎えしていました。しかし、年中になると行きはバスを使えるようになり、最近では体調が良ければ帰りもバスに乗れるようになりました。園では薬の管理もしてもらえるので、私たち夫婦の体力的・心理的負担はずいぶん軽くなりました。

今まで行くことができなかった買い物に行けるようになり、トイレトレーニングにも成長がみられました。

現在の治療で発作が落ち着きだした頃のこと。自宅でふざけていて転び、肩を骨折したため通園できなくなりました。それまでの息子は、しっかり手を握って常に声をかけていないと、目を離した隙にどこかへ行ってしまうので、買い物は休日に家族全員で行くか、平日に私一人で行っていました。でも、息子が毎日家にいるので仕方なく連れていくことに。すると、私の言うことをちゃんと聞いて、ずっと手をつないでいてくれたのです。大型のショッピングモールはまだ難しいですが、近所のスーパーなら問題なく行けるようになり、息子にとって大きな進歩です。

さらにトイレトレーニングにも変化が。いままで難しかったトイレでのおしっこが、園でも家でもできるようになってきました。園で1日ズボンを濡らさずに過ごせる日が増えました。

他には、患者会に入会して情報収集や、他の患者さんご家族との交流を行っていました。

ドラベ症候群の患者家族会の存在は以前からインターネットで知っていて、診断後しばらくして入会しました。会にはグループLINEがあって、全体グループや地域別グループのほかに、4歳未満の子どもを持つ親向けの乳幼児グループなどがあります。特にこのグループでは些細な悩みも気軽に相談でき、とても心強かったです。そこで出会ったママたちとは、その後もInstagramなどを通じて交流を続けています。また、関西で開催される家族交流会はここ2年ほど参加しており、今年はスタッフとしてお手伝いもしています。交流会で仲良くなったママたちとはランチに行くなど、プライベートでもつながりがあります。

息子の成長や新たな興味に気づかされる毎日。驚きと発見に満ちた日々を過ごしています。

発作が落ち着いてきたので、先日、家族みんなで道の駅に出かけてきました。そこで、息子は初めてジェットコースターに乗り、大喜びでした。近いうちに一泊旅行も計画しており、さらに「動物園や水族館にも行きたいね」と話しています。

お出かけができるようになり、息子の成長や新たな興味に気づかされる毎日。驚きと発見に満ちた日々を過ごしています。

治療にお困りのみなさんへ:
薬の見直しを検討することも一つの方法です。

薬の効果には個人差があり、服用量だけでなく、種類や組み合わせによっても結果が異なります。専門医の指示に従って治療を進めることが大切ですが、しばらく続けても発作がよくならない場合は、医師と相談して薬の見直しを検討することも一つの方法です。

治療がうまくいかない時期は、本人だけでなく、家族にとってもつらい日々が続くことがあります。より適した薬を見つけるには根気が必要な場合もありますが、不安や心配事は医師や家族会、周りの人に相談できることを忘れないでください。前向きな気持ちで治療に取り組んでいってほしいと思います。