フィンテプラ®を服用される患者さんとご家族へ

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監修:東京女子医科大学 小児科 准講師 伊藤進先生

フィンテプラ®について

フィンテプラ®(一般名:フェンフルラミン塩酸塩)は、
レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を抑えるチェリー風味の飲み薬(経口液剤)です。
他の抗てんかん発作薬で十分な効果が得られなかった場合に、併用療法として使用されます。

治療のゴール

レノックス・ガストー症候群の治療のゴールは、てんかん発作をコントロールすることです。
必ず、主治医や看護師、薬剤師の指示にしたがい、お薬を服用してください。

フィンテプラ®は、発作と副作用の状況を確認しながら、服用する量を徐々に増量します。服用する量や、服用する期間については、患者さんの発作記録や各種検査をもとに、主治医が判断を行います。

そのため、患者さんとご家族は、発作が抑えられているかどうかを主治医に伝えられるように、日誌をつけるなどして発作の状態を記録してください。

自己判断によるフィンテプラ®の服用中止は危険です。ご自身で判断する前に、治療での困りごとや服用中止の希望などは、必ず主治医や看護師、薬剤師に相談してください。

服薬日誌はこちら

フィンテプラ®の働き

てんかん発作は、脳内の抑制性と興奮性の神経系のバランスが崩れ、神経の過剰な興奮によって起こると考えられています。

てんかん発作の治療薬は、抑制性神経の働きを促進し、興奮性神経の働きを抑制し、神経系のバランスを調整します。

神経の過剰な興奮

フィンテプラ®は、脳内のセロトニンやイオンチャネルなどに働きかけ、抑制性と興奮性の神経系のバランスを調整します。

神経系のバランスを調整

フィンテプラ®の服用量

フィンテプラ®は、1日2回決められた時間に服用します。

服用する量は、フィンテプラ®の投与を開始してから段階的に増量します。

※本剤1mL中には、お薬の成分(フェンフルラミン)が2.2mg含まれています。以下の図では、フェンフルラミンの量を記載しています。

スチリペントール(ディアコミット®)と併用しない

自己判断による減量や中止は危険です。
必ず主治医の指示にしたがって、服用してください。

フィンテプラ®の服用方法

本剤の付属器具の確認と投与方法
  • フィンテプラ®内用液2.2mg/mL入りボトルと経口投与用ピペットを1本準備します。
  • 投与を開始する際、アダプターがボトルに装着されていることを確認してください。
  • 付属の経口投与用ピペット(3mL用または6mL用のいずれか)で処方量を正確に量り取り、他の飲料、食品および他のお薬と混合せずに服用してください。
フィンテプラ®内用液ボトル 1本
内用液ボトル
再使用可能な経口投与用ピペット 1本
(3mL用または6mL用)
経口投与用ピペット
保管方法
  • 本剤は、室温で保存してください。
  • 白濁または凍結する可能性があるため、冷蔵または冷凍しないようにしてください。
  • 本剤は、開封後3ヵ月以内に使用してください。
  • お子様の手の届かない場所に保管してください。
  • 保管の際はキャップをしっかりと締め、液漏れを防ぐため、逆さにせず、立てた状態にしてください。
次のことを必ず守りましょう
  • 服用時の経口投与用ピペットなどの操作は、清潔な手で行ってください。
  • 乾いた経口投与用ピペットを使用してください。
  • 必ず付属の経口投与用ピペットを使用して、正確な量を量り取ってください。
  • 薬液は、頬の内側に沿ってゆっくりと口腔内に流し込んでください。
  • 付属の経口投与用ピペットは、使用後は水道水で洗浄してしっかりと乾燥させてください。
    繰り返し使用できます。
  • 他の飲料、食品および他のお薬とは混合せずに服用してください。
薬の計量と服用方法
❶ ボトルの開封

キャップを押し下げて左回り(反時計回り)に回し、
ボトルを開封します。

※本剤はお子様には開けにくいチャイルドレジスタンスボトルを採用しています。

※キャップは捨てないでください。

❷ アダプターの確認

アダプターがボトルに装着されていることを確認します。

※アダプターが装着されていない場合は、装着してください。
また、アダプターは必ずボトルに装着したままにしておきます。

❸ ピペットの挿入

ボトルを平らな面の上に置き、ピペットのプランジャーを
奥まで差し込んだ状態で、ピペットの先端部をアダプターに
押し込みます。

※必ず専用のピペットをご使用ください。

❹ 薬液の吸引

ピペットとボトルを一緒に持ち、上下逆さにします。
ピペットのプランジャーをゆっくり引き、投与量の薬液を
吸引します。

薬液が少なくなった場合

ボトルにピペットを差し込んだまま、上下逆さの状態を保持し、1~3分程度静置します。
その後、ピペットのプランジャーをゆっくり引き、投与量の薬液を吸引します。

❺ 薬液の調整と確認

プランジャーの先端が、ピペットの投与量の目盛りの位置に
くるように合わせます。
ピペットの先端部分に気泡が発生しますが、抜く必要は
ありません。

薬液を過量に吸引した場合

ピペットを上下逆さにして元の位置に戻します。
ピペット内の気泡を上(プランジャーの先端)に上げて、プランジャーの先端を指示された投与量に押し下げてください。

❻ ピペットの取り外し

再び上下逆さにして、ピペットとボトルを元の位置に戻し、
ピペットを取り外します。
プランジャーの先端が、ピペットの投与量の目盛りの位置と
一致していることを確認します。

投与量と一致しない場合、もう一度からやり直して、正しい量を量り取ってください。

❼ 薬液の投与

ピペットの先端部を頬の内側にあてます。プランジャーを
やさしく押し、ピペット内の薬液を投与してください。
投与後、ピペット先端部分に薬液が残っている場合、再度
プランジャーを引いて、先端部分の薬液を投与してください。

※薬液の誤嚥を防ぐため、薬液を喉の奥に向け、勢いよく噴出させたり、
強く押したりしてはいけません。

❽ ボトルの閉栓

キャップをボトルに戻し、右回り(時計回り)に回して
しっかりと締めます。

※アダプターはボトルに装着したままにしておきます。

※閉栓の際は、キャップを押し下げる必要はありません。

ピペットの洗浄
  • ピペットの使用後は毎回、水道水で洗浄します。
    ピペットの内側とプランジャーが洗浄されたことを必ず確認してください。
  • 次回の使用まで、ピペットとプランジャーを乾燥した状態で保管してください。

上記内容が動画でもご覧いただけます。

服用するときに注意すること

フィンテプラ®による治療を受ける前に、次のような方は、必ず主治医や薬剤師に申し出てください。

  • 心臓弁膜症※1や肺動脈性肺高血圧症※2の合併症・既往歴のある方
  • 閉塞隅角緑内障※3の合併症・既往歴のある方
  • 肝臓の機能が低下している方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 2歳未満の方
  • 高齢の方

※1 心臓弁膜症 : 加齢や感染症などの問題で、心臓の弁が正常に機能しなくなる状態で、息切れやむくみなどが生じます。

※2 肺動脈性肺高血圧症 : 心臓から肺に血液を送るための血管(肺動脈)の圧力(血圧)が異常に上昇する状態で、息苦しさなどが生じます。

※3 閉塞隅角緑内障 : 眼から水分を排水する場所(隅角)が閉塞して生じる緑内障の一種で、急な視力低下や眼の痛みが生じます。

次のようなお薬で治療中または治療後14日以内の方は、フィンテプラ®を服用することはできません。

お薬の相互作用により、感情が激しくなったり、熱や震えが出たりするセロトニン症候群を発症することがあるためです。

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
  • セレギリン塩酸塩(エフピー®
  • ラサギリンメシル酸塩(アジレクト®
  • サフィナミドメシル酸塩(エクフィナ®
次のようなお薬で治療中の場合は、併用に注意が必要なため、服用を始める場合、または、服用している場合には、あらかじめ主治医や薬剤師に申し出てください。
  • スチリペントール(ディアコミット®
  • セロトニン作動薬
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
  • トリプタン系薬剤
  • L-トリプトファンを含有する製剤
  • リチウム製剤
  • トラマドール塩酸塩など
  • 三環系抗うつ薬(TCA)
  • セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
  • CYP1A2またはCYP2B6の誘導薬(リファンピシン、カルバマゼピンなど)
  • CYP1A2阻害剤(フルボキサミン、シプロフロキサシンなど)
  • CYP2D6阻害剤(パロキセチン、キニジンなど)
  • セロトニン受容体拮抗薬(リスペリドン、アリピプラゾール、クエチアピンなど)