「がん患者さんの家族は第2の患者」とも言われ、大切な人のがんの闘病によって大きな影響を受けます。闘病を長く支えるためには、患者さんを支えるご家族など、周囲の方々も自身を大切にすることが必要です。
自分の心身の健康を守る
あなたが自分自身を大切にし、心身ともに健康でいることが闘病中の人を支えるのに最も大切なことの1つです。
リラックスする時間を作る
ちょっとした気分転換を。以前から続けている趣味を中断せずに続けるのもおすすめです。
感情を表に出すのも大事
うれしかったこと、つらいことをノートに書くだけでも気持ちが楽になります。
がん治療において、治療選択や高いQOL(生活の質)を維持するためには、情報の質と量が大事になります。担当医や看護師、薬剤師の話をじっくり聞くほか、がんの種類ごとに作成されている診療ガイドラインや、書籍、根拠のあるホームページなども参考になります。
患者さんの周囲の方々は、患者さんの状況について「自分が一番知っている」「こうするほうが絶対にいい」などと思ってしまうことがあります。しかし、治療を実際に受けるのは患者さん自身であるため、治療や生活について意思を決定する際には、患者さん自身を尊重しながら一緒に考えていきましょう。治療や病気に関する適切な情報を集めて上手に伝え、患者さんの懸念を解消できるように手伝いましょう。また、患者さんとの関係により求められる役割が違うこと、病状や過ごしている場所によって、患者さんと自分の役割も変化することを意識しておきましょう。
患者さんの状況や気持ちを考えて、患者さんの生活を支えていきましょう。
治療や病気について適切な情報を集めて、患者さんの懸念を解消しましょう。
患者さんとの関係により、求められる役割が異なることを意識しておきましょう。
治療や日常生活では「やるべきこと」「できればやるべきこと」の優先順位をつけてみると良いでしょう。誰でも時間や体力には限界があるので、無理せず誰かに支えてもらいましょう。そのことを患者さんが嫌がっても、共倒れを避けるには休息も援助も必要です。自分がすべきことと人に頼めることを分けることが大切です。
患者さんとの関係や経済的な問題などで悩んだときには気軽に医療従事者や患者団体などに相談しましょう。疲れが取れない、眠れないといった状態が続いているときには、精神的に疲れているのかもしれません。このような場合には自分ひとりで抱え込まずに医療従事者や他の家族などへ相談しましょう。
患者さんの療養生活を支えるために、家族や周りの人ができることはいろいろあります。患者さんに起こりやすい状況を理解し、それに上手に対応するポイントを知りましょう。
体調管理の基本は「規則正しい生活」「バランスの取れた食事」「十分な休養と睡眠」ですが、治療中や治療直後は体調の変化が激しく、気分が落ち込んだり、不安を抱えていたりと生活も不規則になりがちです。このような体調に波があるときには休養を勧めましょう。また、体調や症状で気になることは早めに担当医に相談するように勧め、患者さんの体力が回復し動けるようになったら、少しずつ規則正しい生活に戻していきます。
こんな状態が続くときは
担当医への相談を勧めましょう
休養や十分な睡眠を取っても疲れやだるさが続く
眠れない、眠りが浅い
むくみが強くなり、尿の量が減る
息苦しい症状が続く
熱が急に出た、熱が続く
痛みが強い
吐き気が強く、食欲がない
精神的な悩みや不安が強い
下痢や便秘がひどい
告知の直後や手術前、再発を知った後のタイミングでは、患者さんも周囲の人も混乱した状態であることが多いので、担当医に聞くことリストなどを作成し、情報を整理した形で共有するのが良いです。1冊のノートに書きこむのもおすすめです。
担当医などの医療関係者とお話をする際には、緊張などから聞きたいことを忘れてしまいがちです。
こちらのリストに聞きたいことをあらかじめメモし、担当医など医療関係者との面談にお役立てください。
大西秀樹、若尾文彦監修, もっと知ってほしい 大切な人ががんになったとき すべてのがん 2018年版. 認定NPO法人キャンサーネットジャパン. より作成
がん治療は多くの場合、複数の専門家がそれぞれの専門性を発揮する「チーム医療」が行われます。がんと闘う大切な人を支えるには、どのような専門家がかかわるのかを知ることも大切です。専門家には医療従事者のほか、専門介護者やがん相談支援センターなどがあるので、状況に応じて相談しましょう。
「がん相談支援センター」は、「がん情報サービス」のサイトから探すことが可能です。
また、悪性リンパ腫患者さんならびにそのご家族を対象とした患者会などもあります。そちらもあわせて参考にしてください。
専門介護者には、看護師など看護の資格を持っている専門家やケアマネジャー、ホームヘルパーなど介護の資格を持っている人がいます。がん患者だけでなく、「患者さんの闘病を支える人々」にも支援やアドバイスを提供してくれる専門家のことです。
ケアマネジャー
介護を必要とする人が介護保険サービスを受けられるように、ケアプランの作成やサービス事業者との調整を行う、介護に関するスペシャリスト
ホームヘルパー
自宅で暮らすがん患者さんなどの要介護者の日常生活の援助を行う介護スタッフ
治療の決定に際し、セカンドオピニオンを受けたい場合には担当医に申し出て、紹介状や検査結果、検査画像などを出してもらいます。そして、セカンドオピニオンを終えたら、その結果を持ち帰って、担当医に報告し、よく話し合って治療法を選択しましょう。セカンドオピニオンを実施する病院はがん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターで紹介しています。セカンドオピニオンは健康保険の適用外で、医療機関が定めた料金を支払うことになります。