血液のがんは、血液をつくっているさまざまな血液細胞が「がん化」して起こります。血液のがんには、「悪性リンパ腫」や「白血病」などがあります。
悪性リンパ腫は白血球の成分の1つであるリンパ球が「がん化」して起こる病気です。がん化したリンパ球がリンパ節などで塊となり、腫れやしこり(腫瘤:しゅりゅう)をつくります。
悪性リンパ腫には100種類以上の病型(病気のタイプ)があるといわれますが、がん化するリンパ球の種類によって「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に大きく分けられます。日本人の悪性リンパ腫の約95%が「非ホジキンリンパ腫」です1-3)。さらに「非ホジキンリンパ腫」は、がん化する細胞の種類によって「B細胞リンパ腫」、「T/NK細胞リンパ腫」に分けられます。「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)」はB細胞リンパ腫に分類されます。
1)日本血液学会編, 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)(https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_soron.html).
2)新津望編, 悪性リンパ腫診療ハンドブック. 2010, p86, 南江堂.
3)伊豆津宏二監修, もっと知ってほしいリンパ腫のこと 2019年版, 2019, p6, NPO法人キャンサーネットジャパン. より作成
非ホジキンリンパ腫は、進行のスピードによって、「インドレントリンパ腫」、「アグレッシブリンパ腫」、「高度アグレッシブリンパ腫」にも分けられます。
| インドレントリンパ腫 (低悪性度) |
年単位で、ゆっくり進行するタイプ |
|---|---|
| アグレッシブリンパ腫 (中悪性度) |
週~月単位で、速く進行するタイプ |
| 高度アグレッシブリンパ腫 (高悪性度) |
日~週単位で、進行が極めて速いタイプ |
伊豆津宏二監修, もっと知ってほしいリンパ腫のこと 2019年版, 2019, p6, NPO法人キャンサーネットジャパン. より作成
白血病は血液細胞が「がん化」して起こる病気です。がん化した異常なリンパ球が骨髄で増えるのが特徴です。がん化した血液細胞が増えるスピードによって、急激に増える「急性白血病」とゆっくり増える「慢性白血病」に分けられます。
また、がん化した血液細胞の種類によって「骨髄性白血病」、「リンパ性白血病」にも分けられます。
| 急性白血病 | 急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia) |
|---|---|
| 急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoblastic Leukemia) | |
| 慢性白血病 | 慢性骨髄性白血病(CML:Chronic Myeloid Leukemia) |
| 慢性リンパ性白血病(CLL:Chronic Lymphocytic Leukemia) |
鈴宮淳司監修, もっと知ってほしい慢性リンパ性白血病のこと 2021年版, 2021, p4, NPO法人キャンサーネットジャパン. より作成
CLLは悪性リンパ腫と同様に「リンパ球」が関係し、リンパ球の1つである「B細胞」ががん化して起こる白血病です。がん化したB細胞は血液やリンパ節、骨髄に多くみられますが、肝臓や脾臓にもみられることがあります。
SLLはがん化したB細胞がリンパ節で増え、かたまりをつくることでリンパ節の腫れがみられます。
がん細胞が増える場所に違いはありますが、CLLとSLLは同じ病気とされています1)。
1)日本血液学会編, 造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)(https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_5.html#soron).
日本では、1年間に約15,000人*が新たに白血病を発症しています1)。白血病のうちCLL/SLLの割合は少なく、全白血病の約3%2)といわれており、がん登録のデータから年間の発症数は1,400人程度と推計されます。なお、欧米においてCLL/SLLは成人白血病の20~30%を占め、発症率は日本の約10倍です3)。
*2021年には14,808人(男性 8,597人、女性 6,211人)が白血病と診断されました1)。
1)国立がん研究センターがん情報サービス がん統計(https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/27_aml.html).
2)Chihara D, et al. Br J Haematol. 2014; 164(4): 536-545.
3)鈴宮淳司監修, もっと知ってほしい慢性リンパ性白血病のこと 2021年版, 2021, p4, NPO法人キャンサーネットジャパン.
| 発症年齢 | 65歳以上に多い |
|---|---|
| 男女比 | 2:1(男性に多い) |
| 人種差 | 白人に多く、アジア人には少ない |

鈴宮淳司監修, もっと知ってほしい慢性リンパ性白血病のこと 2021年版, 2021, p4, NPO法人キャンサーネットジャパン. より作成
