2021年カレンダー絵画(9・10月)

京都御所紫宸殿

京都御所紫宸殿

井隼 慶人 作

季節:秋 エリア:上京区

月みれば 千々にものこそ かなしけれ
我が身ひとつの 秋にはあらねど
大江千里(古今和歌集一九三)
月をみていると、さまざまに悲しい思いがつのってくる。なにも、自分一人だけの秋ではないのに。
・月の優しい光に見とれていると、不思議と郷愁にかられるのは日本人特有の喜びだろうか。いつのまにか冷たくなった夜風を肌に感じた瞬間、うずき出す心の痛み。千々の悲しみと、ひとつの我が身との対比が、人間の孤独を強調しているようだ。