2020年カレンダー絵画(11・12月)

三十石(三条大橋)

三十石(三条大橋)

内藤 英治 作

季節:冬 エリア:中京区

伊勢参りの帰路、京都見物を終えた喜六と清八。大阪の八軒家まで三十石の夜船に乗ろうと、寺田屋の浜までやってきた。船宿は大勢の客が待ち、いよいよ出発の時刻。土産売りの声や乗り合い連中のやりとりも賑やかに、船は静かに岸を離れていく。船頭さんの「女中さん一人乗せてやって」といわれ、乗客「乗れないよ、これ以上」。喜六と清八のふたりは「お女中さんだったらいいよ」。「まず荷物だけ来たよ。荷物を頭の上に乗せておけよ。お女中はまだ来ないぞ」。船頭さん「行ったよ、すぐそばに」。なんとお女中とは、お婆さんだった。すっかり若い女性だと思っていたのに当てが外れ、さらに荷物はおかわ(携帯便器)だった。船頭さんの舟唄に揺られ、夢の中で長い旅を終える。