2025年カレンダー絵画(11・12月)
大原野神社
春日井 路子 作
季節:秋 エリア:西京区
大原野は、西山の峰々の一つ小塩山の麓に広がり、のどかな風情がまだ残っている。平安遷都後、この地に藤原氏の祖神である、奈良春日大社の分霊を祀る大原野神社が創建された。藤原氏が隆盛を誇った平安期には、天皇の行幸もたびたびおこなわれた。
玉鬘、冷泉帝の麗姿に心が揺れる
第二十九帖「行幸(みゆき)」
十二月に、冷泉帝が洛西の大原野に行幸された。人々に混じって見物に出かけた玉鬘は、目の前を通りかかる冷泉帝の端然とした美しさに目を奪われる。初めて目にした実父・内大臣の風姿も、蛍の宮や鬚黒右大将の装いを凝らした姿も、帝の前ではまるで霞んで見えた。それほど玉鬘はすっかり冷泉帝の美しさに魅かれ、光源氏が勧める尚待(ないしのかみ)出仕の件に心を動かされはじめる。光源氏はそんな玉鬘の気持ちを確認して、いよいよ尚侍就任への決意を強く促す。そのためには玉鬘の素性を明らかにする必要がある。夕霧と雲居の雁のことでわだかまりのある光源氏と内大臣だったが、お互い若き日のことを語り合い、昔の気持ちに帰り、ようやく打ち解けるのだった。六条院の女君など方々から立派な贈り物が届けられ、内大臣を腰緒い役にして玉鬘の裳着(もぎ)が盛大におこなわれた。