2025年カレンダー絵画(9・10月)

梨木神社

梨木神社

井隼 慶人 作

季節:秋 エリア:上京区

京都御苑の東に建つ清和院門の北に神社がある。明治維新の功労者、三条蒼誠(さねつむ)、実美父子が祭神で、三条家の旧宅があった梨木町の町名をとって梨木神社と名付けられた。九月には「萩まつり」が開かれる。
 

夕霧は紫の上に心奪われる

第二十八帖『野分(のわき)』
秋になり、六条院の秋好中宮の御殿では秋の草花が多彩に咲いていたが、一夜激しい野分(台風)が来て、草木や花も折れ伏してしまい、秋好中宮は落胆する。夕霧lま風邪のお見舞いに六条院の春の町を訪ねたとき、紫の上を垣間見、その気高い美しさに呆然とする。突然の出来事に夕霧は胸の高鳴りを覚え、光源氏が自分を紫の上から遠ざけていた理由が何となくわかったような気がした。その後、夕霧は光源氏のお供をして、秋好中宮の御殿から明石の君、玉鬘の部屋へと見舞いに回った。夕霧は光源氏が玉鬘に話しかけているので、そっと覗いてみた。いくら親子といっても、年頃の姫君に戯れる光源氏を見て不審を抱く。玉鬘の美しさは紫の上には及ばないにしても、八重山吹のように華やかであった。美しい女君に囲まれ、毎日を暮らす父を夕霧は羨ましくも妬ましくも思う。