2020年カレンダー絵画(1・2月)

はてなの茶碗(清水寺音羽の滝)

はてなの茶碗(清水寺音羽の滝)

春日井 路子 作

季節:冬 エリア:東山区

清水寺音羽の滝のそばにある茶店で、京都一の目利きとして知られる衣棚の茶道具屋の金兵衛、通称茶金さんが飲み終わった茶碗をひねくり回して、首をかしげ「はてな?」といって立ち去った。それを見ていた担ぎの油屋が「きっと値打ちものに違いない」と大儲けを企み、大金を叩いて手に入れたが、実はお茶が漏るだけの安茶碗だった。茶金さんに千両で買ってくれと持ち込むが無茶な話。
この話が関白鷹司公、さらに帝の耳にまで入り、「はてな」の箱書きがついたので千両で売れた。茶金さんは五百両を油屋へ与え、残りは貧しい人に施しをする。ある日のこと、「油屋が十万八千両の銭儲けや」とやってくる。茶金さんがどうしたんや、と聞けば「水がめの漏るやつ見つけてきた」。単純な男で、一獲千金を夢見る油屋の本名は与兵衛。