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デュシェンヌ型
筋ジストロフィーとは

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、「ジストロフィン」というタンパク質が作られないため、筋力が低下します。

筋肉を構成するタンパク質には多くの種類があり、それぞれの働きを持っています。なかでも「ジストロフィン」と呼ばれるタンパク質は、筋肉の構造を保つために重要な役割を持っています。
筋細胞の表面を覆っている膜は、弱い構造であるうえに、筋肉が伸び縮みすることによるストレスがかかるため、壊れやすい状況にあります。この筋細胞膜が壊れると、筋肉自体も壊れてしまいます。ジストロフィンは、筋細胞膜が壊れないように、細胞外の頑丈な基底膜のタンパク質と、細胞内にある骨格(アクチン)を橋渡しするだけでなく、細胞膜の内側に張りついて細胞膜を支えています。

ジストロフィンがある場合 ジストロフィンがない場合

デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、ジストロフィンの設計図となる「ジストロフィン遺伝子」に変異が起きているため、ジストロフィンを体内で作ることができません。ジストロフィンが無くなると細胞内骨格アクチンと基底膜のタンパク質との継がりが遮断され、筋細胞膜が壊れやすくなります。そのため、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、筋肉が壊れやすく、再生が追い付かずに、徐々に筋力が低下していきます。

ジストロフィン遺伝子の変異

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因遺伝子であるジストロフィン遺伝子はX染色体上に存在しています。

タンパク質の設計図となる遺伝子は私たちの体の中で「染色体」という形で存在しています。染色体の1つに性別を決定する性染色体(X染色体とY染色体)があり、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ、女性はX染色体を2本持っています。

染色体

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは主に男性で発症します。ジストロフィン遺伝子はX染色体上に存在しています(下図の緑色)。
男性の場合、X染色体が1つしかないため、X染色体上のジストロフィン遺伝子に発症原因となる変異(下図のオレンジ色)があるとジストロフィンが作られず、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを発症します(Y染色体上にはジストロフィン遺伝子がないため)。
女性の場合、X染色体が2つあるため、ジストロフィン遺伝子も2つあります。片方のジストロフィン遺伝子に発症原因となる変異があっても、もう片方には何も起きていないことが通常のため、小児期は男性で認められるような症状を示すことはほとんどありません。ただし、高齢になると筋力低下や心筋症を示す割合が通常より高いことが知られています。詳細は、「専門医があなたに届ける筋ジストロフィーの正しい医療情報 MD Clinical Station(外部サイト)」をご参照ください。

遺伝子変異

遺伝子の変異が起こる原因として、親が持つ遺伝子変異を受け継ぐ場合と、子どもの世代で新たに生じる場合があります。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、どちらのパターンも見られますが、国内では前者が6割、後者が4割と報告されています(難病情報センター 筋ジストロフィー 指定難病113)。
国内でのデュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者さんの数に関する正確な統計はありませんが、出生男児の約5,000~6,000人に1人が発症すると言われています。

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