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デュシェンヌ型
筋ジストロフィーの治療について

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の根本的な治療法はまだありませんが、運動機能の低下に対する治療や合併症に対する治療があります。また、一部の患者さんでは新しい治療法として「エクソンスキッピング療法」も行われるようになり、筋肉や運動機能への効果が期待されています。

運動機能の低下に対する治療

リハビリテーション

デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは運動するための筋力が少しずつ低下していきます。筋肉が動きにくくなると、関節が硬くなり、変形するようになります。そのため、症状の程度に応じて、筋力の維持や関節の変形などを防ぐためのトレーニングやストレッチ、マッサージなどを行います。
ただし、筋力を強くすることを目的とした筋力トレーニングは、筋肉を痛めるリスクがありますので勧められません。

リハビリテーションや治療は自己判断で行わず、必ず専門の医師や医療スタッフの指導を受けて行うようにしてください。

リハビリテーション

ステロイド療法

ステロイド内服薬を使用するステロイド療法は、これまでに世界中で数多くのデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者さんが受けられている治療法になります。ステロイド療法によって筋力の低下スピードを遅らせ、歩行が可能な期間を延長できるとされています。また、筋肉が使いづらくなって、関節が硬くなり変形するのを遅らせることも期待できます。ステロイド内服薬にも他のお薬同様に副作用があるので、専門医とよく相談して適切に使用することが大切です。
ステロイド療法は、一般的には5~6歳頃になって運動機能がピークに達したころに検討します。ステロイド療法を始める前には生ワクチンの予防接種を済ませておくことが望ましく、どのタイミングから始めるかは専門の医師と相談して決定します。

※生ワクチンの予防接種には、BCG、ポリオ、麻疹風疹混合(MR)、麻疹(はしか)、風疹などがあります。

ステロイド療法

合併症に対する治療

病気が進行して合併症がみられるようになった場合には、それぞれの合併症に対する対策や治療を行います。

呼吸機能の低下に対して

呼吸機能の低下は徐々に進行し気づきにくいため、症状がなくても定期的な検査を行い、早期に異常を見つけて治療を受けることが大切です。日中の眠気が強い、ぼーっとする、頭が痛い、などの症状がある場合には、呼吸が不十分で全身に十分な酸素が行き届いていない可能性があります。そのまま放置しておくと、痰のからみが続いたり、時には肺炎や無気肺(肺の一部または全体に空気がなく、肺がつぶれた状態)を引き起すことがあります。気になる症状がある場合は早めに専門医に相談するようにしましょう。
呼吸機能の低下を防ぐためには、呼吸法のトレーニングや、痰を除去する排痰法などの呼吸理学療法を行います。呼吸機能の低下が強くなった場合には、マスク型の呼吸器や排痰補助装置などを使用して呼吸をしやすくします。

心臓機能の低下に対して

心臓機能の低下は徐々に進行して気がつきにくいため、症状が出ていない段階から定期的な検査を受けることが大切です。異常が見つかった場合には、アンジオテンシン転換酵素阻害薬、β遮断薬等で早期に治療を開始します。
心臓機能の低下が進むと、心不全の症状として息切れやむくみの症状があらわれたたり、不整脈がみられる場合があります。そのような場合には、循環器の専門医と連携して治療を行います。

摂食・嚥下機能の低下に対して

飲み込む力の程度に合わせて、飲み込みやすい食べ物を取るようにします。食べ物や飲み物が、気管に入ってしまった場合( 誤嚥 ごえん )には、肺炎の一種である「誤嚥性肺炎」を起こすことがあり大変危険ですので、食事の際には十分に注意をしましょう。誤嚥性肺炎は口の中の雑菌が少ないほど起こる確率は低くなるので、歯磨きを丁寧に行い日頃から口の中を清潔にすることが大切です。また、可能であれば専門的な口腔ケアを定期的に受けることも望ましいです。
飲み込む力がさらに弱くなった場合には、鼻から管を通して栄養を補給したり、おなかに小さい孔を開けて胃に直接栄養を補給したりします。

消化管機能の低下に対して

嘔吐や食欲不振がみられた場合には、できるだけ消化しやすい材料を選んだり、フードプロセッサーなどで細かく刻んだり、一度に食べ過ぎないなど、食べ方を工夫するようにします。便秘がある場合には、食物繊維の多い食べ物を選ぶといった食事の工夫だけではなく、下剤や浣腸などを使用することもあります。必要に応じて、消化器の専門医と連携して治療を行います。

食事の工夫
  • 食べるときの姿勢を整えましょう
  • 食材の大きさ・硬さは均一に
  • 一口量は少なめにしましょう
  • 食事に集中しましょう
  • 一度に食べ過ぎないようにしましょう
  • 口の中をいつも清潔にしましょう

背骨の変形( 側弯症 そくわんしょう

病気が進行し、歩行が難しくなると背骨が曲がる「側弯症」がみられるようになります。「側弯症」では、座りにくくなったり、呼吸がしにくくなることがあるため、ひどくならないように定期的に体位を調整するなどして同じ姿勢を長時間取らない工夫をしたり、クッションやテーブルの位置を調整をすることで背骨への負荷を和らげるような工夫を行います。必要に応じて整形外科で手術を行うことがあります。

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療

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