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筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィーは筋肉が徐々に弱っていく病気で、国が指定する難病の一つです。

筋ジストロフィーでは、筋肉の形成・維持に必要な遺伝子に変異があります。
そのため、筋肉の中で必要なタンパク質が作られなくなったり、うまく機能しなくなったりして、筋肉が徐々に弱っていきます。

遺伝子に変異がある

日常の中で私たちは、立ったり歩いたり、物を持ち上げたり、運動したり、たくさんの動きをします。筋肉は日常生活だけでなく、心臓や肺など臓器の動きにも関わっていて、生命活動になくてはならない組織です。

運動する子供

筋肉の主な成分はタンパク質です。健康な人では、筋肉の形成・維持に必要な遺伝子からタンパク質が作られているため、筋肉は丈夫にできています。しかし、筋ジストロフィーでは、その遺伝子の一部に変異があるため、筋肉の中でタンパク質が作られない、もしくは、作られてもうまく機能しません。そのため、筋肉が壊れやすく、再生が追いつかなくなります。すると、筋肉が減って筋力が徐々に低下するため、日常生活にさまざまな影響が出るようになります。

健康な場合 筋ジストロフィーの場合

筋ジストロフィーは遺伝形式や発症年齢、臨床症状によっていくつかの種類に分類されます。

筋ジストロフィーにはたくさんの種類があります。種類によって、性別や発症年齢、臨床症状などさまざまです。下の表に、主な筋ジストロフィーを紹介していますが、その特徴などで、デュシェンヌ型、ベッカー型、先天性(福山型など)などに分類されます。 また近年では、各筋ジストロフィーの原因遺伝子が同定されてきたことで、原因遺伝子に基づいて分類されるようになってきました。

筋ジストロフィーの主な種類

病気の型 性別 症状が現れる年齢 有病率(人口10万人あたり)
デュシェンヌ型 主に男性 幼児(3~5歳ごろ) 4.8人*
ベッカー型 主に男性 小児~成人 1.5人**
先天性(福山型など) 男性・女性 新生児~乳児 0.4~0.8人***
肢帯 したい 男性・女性 小児~成人 1.5~2.0人***
顔面肩甲上腕がんめんけんこうじょうわん 男性・女性 小児~成人 2.0人***

*Andrew LaPelusa, Michael Kentris.: Muscular Dystrophy. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2020 Jan
**Mah JK, et al.: Neuromuscul Disord. 2014;24(6):482-91.
***難病情報センター 筋ジストロフィー(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4522 閲覧日;2020年11月)

小児期で最も多く発症する筋ジストロフィーはデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)で、主に男児にみられます。DMDの原因遺伝子はジストロフィン遺伝子です。ジストロフィン遺伝子に変異があるため、ジストロフィン(筋肉の構造を保つタンパク質)が作られず、筋力が徐々に低下します。症状は幼児期(3~5歳ごろ)から出始め、筋力の低下は体の中心に近いところから現れる特徴があります。

ベッカー型の原因遺伝子はデュシェンヌ型と同様にジストロフィン遺伝子ですが、健康な人より少ないながらもジストロフィンは作られています。主に男児にみられ、症状の出始めはデュシェンヌ型と比べて遅く、小児期から成人期に現れます。また、筋力低下の症状もデュシェンヌ型に比べて軽い傾向にあるため、大きくなるまでベッカー型であることに気づかずに運動し、心臓への負荷が心配されるケースが少なくありません。

福山型は小児期の筋ジストロフィーで2番目に多く、原因遺伝子はフクチン遺伝子です。筋肉の中でフクチン(筋肉に必要なタンパク質)が本来とは異なる形で作られるため、うまく機能せず、筋力が徐々に低下します。症状は男女問わず、新生児から乳児期ごろより現れます。

その他、顔面・肩甲・上腕筋の筋力低下から発症する 顔面肩甲上腕がんめんけんこうじょうわん型などがあります。

病気の型 原因遺伝子 関連するタンパク質
デュシェンヌ型 ジストロフィン遺伝子 ジストロフィン
ベッカー型 ジストロフィン遺伝子 ジストロフィン
先天性(福山型など) フクチン遺伝子 フクチン

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