2020年カレンダー絵画(9・10月)

胴乱の幸助(柳馬場押小路)

胴乱の幸助(柳馬場押小路)

兼先 恵子 作

季節:秋 エリア:中京区

喧嘩の仲裁が唯一の楽しみだという割木屋の主人。喧嘩を仲裁しては酒をご馳走するのが大好きという変わり者。そんな幸助が稽古屋の前で浄瑠璃「お半長」の嫁いびりのくだりを耳にする。浄瑠璃のセリフとは知らず、稽古屋の表で京都での出来事だと聞かされ、三十石船に乗って京・柳馬場押小路へ向かう。たまたまそこには帯屋があったので仲裁するつもりで中に入って行くが、応対に出た番頭と話がかみ合わない…。
番頭がようやく浄瑠璃の「お半長」の話だと気づく。「お半長」とは、文楽「桂川連理柵」(かつらがわれんりのしがらみ)のこと。そこで番頭が「お半も長右衛門も、とうに桂川で心中しましたがな」と教えると、この世にフィクションというものが存在することを知らない幸助。「しもた~間に合わんかったか、三十石船より汽車で来たらよかった」。