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NEWS 2017

2017年08月23日 研究開発
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糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体「オビヌツズマブ」の 製造販売承認申請について

 日本新薬および中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治 以下、中外製薬)は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫」を対象として国内で共同開発を進めておりました糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体「オビヌツズマブ(遺伝子組換え)」(一般名)について、本日、中外製薬が製造販売承認申請を厚生労働省に行いましたことをお知らせいたします。

 日本新薬 執行役員研開企画統括部長の森 和哉は、「共同開発を進めてきたオビヌツズマブが、製造販売承認申請に至ったことを大変喜ばしく思います。当社が注力する血液がん領域の治療薬を、今後新たに製品ラインナップに加えることで、医療現場からのニーズにお応えするとともに、患者さんの治療により一層貢献したいと考えています」と述べています。

 中外製薬 上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブと化学療法の併用は、標準治療として長く行われてきました。新たな治療選択肢となるオビヌツズマブは、濾胞性リンパ腫の治療において、これまでのリツキシマブを上回る有用性が確認されました」と述べるとともに「私たちは国内でも本剤をいち早く患者さんへお届けし、より良い治療の実現に貢献できるよう尽力してまいります」と語っています。

 今回の申請は、ロシュ社が実施し国内からも参加した国際共同第III相臨床試験(GALLIUM試験)等の成績に基づいています。

 GALLIUM試験は、1,401名の未治療のCD20陽性進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫患者さんを対象に、リツキシマブと化学療法を併用した導入療法後にリツキシマブの維持療法を継続した群(リツキシマブ群)に対する、オビヌツズマブと化学療法を併用した導入療法後にオビヌツズマブの維持療法を継続した群(オビヌツズマブ群)の有効性と安全性を比較した非盲検ランダム化国際共同第III相臨床試験です。GALLIUM試験の主要評価項目は主治医評価による濾胞性リンパ腫患者さん(1,202名)における無増悪生存期間でした。
 なお、副次的評価項目は独立評価委員会判定による無増悪生存期間、全生存期間、および安全性等でした。

 主要評価項目については、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群と比較して濾胞性リンパ腫患者さんにおける病勢進行・再発・死亡のリスクを34%、統計学的に有意に減少させました[ハザード比:0.66(95%信頼区間:0.51-0.85)、P=0.0012(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日]が、無増悪生存期間の中央値は未達でした。副次的評価項目については、独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中央値は未達でしたが、病勢進行・再発・死亡のリスクは29%減少しました[ハザード比:0.71(95%信頼区間:0.54-0.93)、P=0.0138(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日]。全生存期間は両群ともイベント数が少なく中央値は未達でした。安全性については、GALLIUM試験において両群で発現した有害事象はこれまでに報告されたものと同様でした。オビヌツズマブ群でリツキシマブ群に比べ5%以上高く認められたGrade 3以上の有害事象は、好中球減少(43.9%対37.9%)でした。

 オビヌツズマブは、非ホジキンリンパ腫の治療薬として国内外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗体です。オビヌツズマブは、標的となるB細胞を直接かつ体内の免疫系とともに攻撃して破壊するようデザインされています。

 国内では、2012年の悪性リンパ腫の罹患者数は約2.7万人、死亡者数は約1.1万人と報告されています1, 2)。国内では悪性リンパ腫に占めるホジキンリンパ腫の割合が8~10%程度と報告されていることから3)、非ホジキンリンパ腫の罹患者数は約2.4万人、死亡者数は約1.0万人と推定されています。悪性リンパ腫の罹患者数、死亡者数は近年増加傾向にあり1, 2)、非ホジキンリンパ腫の罹患者数、死亡者数も増加傾向にあると考えられています。

 日本新薬および中外製薬は、CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫の患者さんならびに医療従事者に新たな治療選択肢となるオビヌツズマブを早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。

1. 国立がん研究センターがん対策情報センター 地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2012年)http://ganjoho.jp/

2. 国立がん研究センターがん対策情報センター 人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2015年)http://ganjoho.jp/

3. 日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン(2013年版)第1.2版 http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/table.html

以上