DX推進に向けた取り組み

当社では、各業務部門でAI、IoT、RPAなどの活用拡大に取り組んでいますが、全体最適を実現し、競争優位性を高めるためには、組織的に全社のDX推進を加速させる必要があります。その一つのマイルストーンとして、「DX認定」および「DX銘柄」の認定取得を目指しており、デジタルビジョン・デジタル戦略の策定、DX推進体制・ガバナンスの構築を進めています。

また、デジタルを活用した全社の生産性向上や働き方改革、コスト最適化および新規ビジネスの創出などを本格的に進めるため、組織のあり方や人材配置を柔軟に見直していきます。デジタル人材の育成面では、大学の育成プログラムへの参加、学習・資格取得支援などを実施しており、今後もスペシャリストの育成と全社員のITリテラシー向上を実現していく方針です。

※ RPA:「Robotic Process Automation」の略。「デジタルレイバー」や「仮想知的労働者」とも言い換えられており、パソコン上で行う業務を自動化するソフトウェア型のロボットツール

デジタルの力でウェルビーイングの実現を目指す

CSR・経営管理担当取締役(デジタル担当取締役)
CSR・経営管理担当取締役(デジタル担当取締役)高谷尚志

私の担当部門には、情報システム部門に加え、人事部門や総務部門、健康経営部門、ESG推進部門などが含まれています。そのため、デジタル活用を検討する際には、社員の働きやすい職場環境や健康経営、エンゲージメント、ステークホルダーのウェルビーイングの向上などを常に考えています。なぜなら、デジタルにはこれらを実現する力や可能性があるからです。今後、デジタル活用を本格化させ、ウェルビーイングを向上していきます。

DX推進体制およびデジタル人材育成戦略

現在は、デジタル企画推進課が中心となり、最新デジタル技術の情報収集や導入、各業務部門のニーズ把握、デジタル人材の育成などを行っています。一方、全社的なDX推進を加速させるには、機能や権限を強化した組織・体制が必要であると認識しており、DX推進プロジェクトでは今後のDX推進体制についても議論しています。
デジタル人材の育成については、全社員を対象として、選抜型のDXスペシャリスト育成教育と、全社員のITリテラシー向上施策を二本の柱として実施しています。

DX推進体制

【図2】DX推進体制

デジタル人材育成

選抜型DXスペシャリスト育成教育
データサイエンティスト育成教育
ジェネラリスト育成教育
データエンジニア育成教育
※ 各5名選抜のオンライン集合型研修
【図1】デジタル人材育成
全社員ITリテラシー向上施策
社内デジタルWeb講演会(10回開催、延べ参加者数 約1,500人)
Webスキル向上セミナー(2回開催)
社内デジタル情報誌発行(社内ポータル)
(毎月3~4回発行、全42刊発行)
ITパスポートなど資格取得推進プログラム(129名参加)
リバース・メンタリング(1回開催)
ITよろず相談会(約20件)など
※(  )内は2020年度実績

DX取り組み事例

【事例1】デジタルソリューションの導入・利活用

変化の激しい不確実な現代においては、これまで以上に的確かつ速やかにニーズを捉え、柔軟にデジタルソリューションを導入し利活用することが求められます。そこで、当社はニーズを把握する業務部門を主体とし、情報システム部門が技術的にサポートする方法でデジタルソリューションの検討・導入を行っています。これにより、導入後のデジタルソリューション利活用の最大化につなげています。これまでに、くすり相談業務におけるAIによる音声からの文字変換、製品に関する社内問い合わせにおけるAIチャットボット、工場におけるIoT防虫管理などを導入しており、また創薬や臨床開発分野では「LINC(ライフインテリジェンスコンソーシアム)」などのコンソーシアムへ参加しAIの活用を検討しています。 RPAによる定型業務の自動化については、部門や業務を問わず全社的に拡大しています。2020年度には全社で約100個の業務をRPAで自動化し、およそ1万時間の定型業務を自動化しました。RPAにより、定型業務からの解放と創造的な業務へのシフトを実現でき、社員のモチベーション向上にもつながっています。また、RPAのさらなる導入拡大や利活用に向けて、RPAの社内説明会や開発サポート会、業務部門が開発したロボットのコンテストなどを開催し、全社員を巻き込む活動を継続展開しています。

全社員が利用するデジタルソリューションとしては、2020年度に「いつでも、どこでも、だれとでもつながる」をテーマとした情報共有基盤を構築しました。全社員の柔軟な働き方や生産性向上を目指して、Microsoft365やTeamsの導入に加え、iPhoneの全社員配布と固定電話の原則廃止、クラウドのファイル共有サービスBoxの導入を実施しました。これにより、テレワークでもオフィス勤務と遜色ない業務遂行が可能となり、新型コロナウイルス感染予防対策にも貢献しています。

【事例2】楽しく参加するデジタル人材育成プログラム

2020年度から全社ITリテラシー向上施策として、最新デジタル技術や社内デジタル関連活動を紹介する「社内デジタルWeb講演会」を月1~2回の頻度で開催しています。本講演会はWebで開催しているため、全国の事業所からでもスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスから、業務時間を調整して手軽に参加できます。今後も月1回以上の開催を継続して実施し、全社員が常にデジタル情報に触れる機会を公平に提供することで、全社員が楽しく前向きにDXに取り組む環境を構築していきます。

また、デジタルを題材としたリバース・メンタリングも2020年度より開始しました。デジタルに強い若手社員が普段接する機会が少ない経営層に対して、デジタルスキルや最新トレンドなどを指導・提供する取り組みとして、継続開催しています。

DXは「目的」ではなく「手段」である

DXは業務変革や生産性向上、新規ビジネス創出などの「手段」の1つであり、DX自体が「目的」ではありません。そのため、全社員を巻き込んでDXを推進することは、全社の風土変革や人材育成の大きなチャンスと考えています。デジタルソリューション導入やデジタル人材育成を実施することをきっかけとして、自身の担当業務や業務プロセスを見直し、ビジネスマンとしてのスキル開発に前向きに取り組むようになることが、当社の財産になり今後の持続的な成長につながると考えます。