コンプライアンス・
リスクマネジメント

コンプライアンス

コンプライアンスへの取り組み

日本新薬グループでは、「法令等の社会的規範や企業倫理ならびに日本新薬グループ内各社にて制定された社内規則の遵守」をコンプライアンスと定義しています。グループ共通の倫理基準である「日本新薬グループ行動規範」を制定するとともに、その実効性を高めるための見直しを定期的に行いながら遵守・実践に努めています。そして、コンプライアンスの実践を確保するための仕組みを「コンプライアンス態勢」としてコンプライアンスの強化向上に努め、日々の業務を通じて社会に貢献し、信頼される会社を目指しています。

コンプライアンス体制

日本新薬グループは、「コンプライアンス態勢運用規程」を定めるとともに、コンプライアンス担当の取締役をコンプライアンス統括責任者とし、コンプライアンス推進活動を統括する専任部門を設置しています。また各部門では、担当取締役をコンプライアンス推進の部門責任者とし、それぞれの部門の管理職がコンプライアンスの推進に努めています。

コンプライアンス体制図

コンプライアンス推進・啓発活動

グループ全体でのコンプライアンス推進・啓発活動は、コンプライアンス推進会議の助言を受け、コンプライアンス統括部門が企画・立案し、全社員のコンプライアンス意識の浸透と高揚を目的に実施しています。
当年度の推進・啓発活動の実施状況および次年度の計画は、代表取締役社長を委員長、全社内取締役を委員とするリスク・コンプライアンス委員会の場で報告・審議し、委員会による監督のもと、コンプライアンス推進・啓発活動を行っています。
また、毎年グループの全社員を対象にコンプライアンス意識調査を実施し、結果をグループ内で公開しています。相対的にスコアが低かった部門に対しては個別に研修を行うなど、コンプライアンスリスク顕在化の防止に取り組んでいます。

主な研修・啓発活動など

研修・啓発活動 内容
トップメッセージの発信 社長から、「コンプライアンスの徹底」を要請するメッセージを発信
経営陣向けコンプライアンス研修 「企業のコンプライアンス」等をテーマに、経営陣に対して実施する研修
コンプライアンス部門研修 各部門にて毎月実施する、会社共通テーマおよび部門独自テーマの研修
リスク・コンプライアンス通信 リスク・コンプライアンスに関するタイムリーな情報をイントラネット上で発信
e-ラーニング コンプライアンス部門研修やリスク・コンプライアンス通信の振り返りとして、全社員を対象に年2回実施
入社時研修 4月の新卒入社者およびキャリア採用等の中途入社者を対象として、「行動規範」を中心としたコンプライアンスの概念や遵守事項などを説明し、コンプライアンスの重要性を認識させる研修
新任管理職研修 新任管理職者を対象とした、コンプライアンスに関連した管理職の心得などを習得するための研修
コンプライアンス標語の募集・ポスター作成 コンプライアンスに関する標語を募集し、優秀作品を選定。最優秀作品を用いて、コンプライアンス啓発ポスターを作成し、各職場に掲示

内部通報制度(ほっとライン)

日本新薬グループでは、グループ内部通報制度に基づく内部通報窓口を設置・運用しています。
同制度は、倫理基準である「日本新薬グループ行動規範」を逸脱した行為をはじめ、法令違反行為またはそのおそれがある行為を対象にしており、贈収賄、インサイダー取引、横領、人権の侵害など、あらゆる種類の腐敗行為を含みます。
通報窓口は社内および社外に置き、専用電話またはメールによる通報・相談を受け付けており、匿名での通報・相談も可能です。
なお、窓口の利用は日本新薬グループ内に限らず、取引先の役員・従業員等もその対象としております。

(コンプライアンス違反等が特定された場合の措置)
通報内容について、コンプライアンス上の問題などが疑われる場合には、調査担当者が直ちに調査を行います。調査の結果、違反行為等が確認された場合は、違反行為を行った者および関係部門に対する改善等の指導、就業規則に則った懲戒処分など、適切に対処します。

(通報者の保護)
通報者の保護については、守秘義務などの必要な措置、通報を理由として不利益な取り扱いを行わないことなどを内部通報制度運用規程に明記し、万全を期して適正な運用に努めています。

(制度の実効性を高めるための取り組み)
グループ共通の倫理基準である「日本新薬グループ行動規範」において、「国内外の法令や業界自主規範、社内規則などの違反、または違反の疑いを発見した場合は、内部通報制度(ほっとライン)に基づく窓口に通報または相談」することを行動のポイントとして明記しています。また、制度に関する情報発信を行うことで、内部通報制度の周知と利用しやすさの向上に努めています。

ほっとラインに寄せられた通報・相談実績は以下の通りです。

単位 2022年度 2023年度
法令・社内規則 9 6
人事関連(処遇・制度) 3 1
職場環境 7 7
その他 5 4
24 18

ハラスメント防止への取り組み

ハラスメントは、個人の人権や尊厳を傷つける重大な問題ととらえています。日本新薬グループでは、あらゆる形態のハラスメントの発生を防止し、良好な職場環境を維持することを目的としてハラスメント防止規程を制定し、ハラスメント防止委員会を設置・運用しています。また、コンプライアンス研修・管理職研修を実施するほか、ハラスメント防止啓発冊子を電子化して、会社貸与のモバイルパソコンやスマートフォン上で場所を問わず閲覧できる環境を整備するなど、年間を通してさまざまな啓発活動を行っています。

コンプライアンスに関する外部からのお問い合わせ

日本新薬グループでは、一般のお客さまを含め、様々なステークホルダーの方々からご質問・ご意見を承る窓口をWEB上に設置しています。人権やハラスメントに関する内容も当窓口にて受け付けており、匿名によるお問い合わせも可能です。また、お問い合わせ内容について守秘義務など必要な措置を取るとともに、窓口の利用を理由に不利益な取り扱いが行われないよう、適正な運用に努めています。

労働基準の取組み

「日本新薬グループ行動規範」において、「私たちは、個人の人権・人格を尊重し、安全で快適な職場環境を維持します。」ことを掲げ、さらに「人権の保護について」・「公正な人事評価の実施と人材育成について」・「安全衛生について」・「職場風土について」を行動のポイントに明記しています。
入社時にはグローバル全従業員へ行動規範研修を行い、研修後には行動規範を理解・実践する旨の宣誓を提出することとしています。
行動規範については冊子を電子化して、会社貸与のモバイルパソコンやスマートフォン上で場所を問わず閲覧できる環境を整備しています。
また、年間を通して全従業員へのコンプライアンス研修・e-ラーニング研修を実施しています。

腐敗防止への取り組み

日本新薬グループは、グループの倫理基準である「日本新薬グループ行動規範」において、法令および社内規則などの遵守、政治、行政、取引先などとの健全かつ適正な関係の保持、公正・透明で自由な競争の実践など、腐敗の助長につながる行為を行わないことを明記しています。10項目からなる行動規範および、これを遵守・実践するための要点を記した行動のポイントは、法制度改正や社会情勢、当グループを取り巻く事業環境の変化などに応じて適宜改訂しており、改訂の際は取締役会にて決議または報告することとしております。
また、2020年1月には、国連グローバル・コンパクトに署名し、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組んでいます。

(贈収賄の防止)
公務員等に対する贈賄行為の一切を禁止した「日本新薬グループ 公務員等贈賄防止ガイドライン」を制定・運用しているほか、「日本新薬グループ行動規範」では「政治・行政に対し、透明かつ公正な関係を維持し、不正な贈答、接待、その他の便宜供与、利益供与」を行わないことを行動のポイントとしています。

(腐敗行為の防止)
「日本新薬グループ行動規範」の中で、「金融商品取引法の定めるインサイダー取引規制を遵守」することや、「反社会的勢力や団体からの不当・不法な要求には応じ」ないなど、腐敗の防止や、腐敗の助長につながる行為を行わないことを明記しています。
また、贈収賄や腐敗行為を事業活動に影響を与える重要なリスクとして認識し、当該リスクの責任部門において毎年予防策などを策定したうえで、リスクの顕在化の防止に取り組んでいます。
取引先との関係については「日本新薬グループ サステナビリティ調達方針」において、取引先の選定は公平・公正な評価に基づいて実践することや、各国の諸法規を遵守し、企業倫理、社会規範に則った取引を実践することなどを定めています。

(腐敗防止に向けたグループ内での啓発と教育)
「日本新薬グループ行動規範」は会社貸与のパソコン、スマートフォンからグループ全社員が閲覧することができるほか、改訂時や入社時には「日本新薬グループ行動規範」研修を行い、研修後には行動規範を理解・実践する旨の宣誓を取得し、腐敗行為の抑止につなげています。
また、グループ全社員を対象に実施しているコンプライアンス部門研修では毎年実施している行動規範をテーマとした研修の中で、腐敗防止についても説明し、一人ひとりの腐敗行為の防止に対する理解を促進する取り組みを行っています。

(腐敗行為による従業員の処分および解雇事例)
日本新薬グループでは、2023年度において、該当する事例はありませんでした。

(腐敗に関連した罰金・課徴金・和解金)
日本新薬グループでは、2023年度において、腐敗に関連する行為による重大な法令違反はなく、腐敗に関連した罰金・課徴金・和解金もありませんでした。

(政治献金等について)
日本新薬グループでは、政治団体の活動にかかわる支援を行う場合、政治資金規正法、公職選挙法などの関係法令に則り、適切に対応します。

リスクマネジメント

リスクマネジメント体制

日本新薬グループでは、「リスクマネジメント基本規程」を定めるとともに、人事・総務・リスク・コンプライアンス・DX担当取締役をリスクマネジメント統括責任者とし、リスクマネジメントを統括する部門を設置しています。
リスクマネジメントの推進にあたっては、事業活動において想定されるリスクの洗い出しを行い、大分類として「ガバナンス」「戦略と計画」「経営インフラ」「業務運営」「サプライチェーン」「開示と報告」の6つに分類しました。そして、これをさらに中分類、小分類へと細分化し、例えば「不正対策」「CSR計画・環境保全の取組み(温室効果ガス等)」「労働と人権」といった個別の具体的なリスクに整理するとともに、影響度と発生可能性の2軸からなるリスクマトリクスを用いてリスクの重要度を「高」「中」「低」に分類したうえで、それぞれのリスクに関連する部門が規程・委員会など、既存の仕組みを踏まえてリスクマネジメントを行っています。そして既存の仕組みでコントロールできないリスクについては、個別にリスク管理シートを作成し、当該リスクを顕在化させないための予防策と、顕在化した場合の対応策を策定しています。なお、作成したリスク管理シートは社内イントラネットを通じて公開し、全社で共有しています。
また毎年、リスク顕在化の未然防止を目的として、グループ全体や各部門においてESGリスクを含む重要度の高いリスクテーマを選定し、1年間のアクションプランを立て、その予防策の強化などに取り組んでいます。当年度の取り組み結果および次年度に取り組む重要リスクテーマについては、社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会の場で報告・審議するとともに、取締役会はその内容について報告を受け、リスクマネジメントの実施状況および実効性を確認することで、その監督を行っています。
グループ全社員に対しては、一人ひとりのリスクに対する意識の確認を目的に、リスクマネジメントセルフチェックを毎年実施しています。そして分析して得られた結果から留意すべき事項を洗い出し、コンプライアンス部門研修を通じて浸透を図ることで、リスクに対するさらなる啓発を行っています。

リスクマネジメント体制
リスクマネジメント体制

顕在化したリスク(事件・事故)への対応

事件・事故などが発生した場合、リスクマネジメント統括部門から報告を受けたリスクマネジメントの担当取締役は、その事件・事故などが事業活動に及ぼす影響度を見極めます。
軽微であると判断した場合は、そのリスクの所管部門に対応を指示し、重大であると判断した場合は、ただちに社長に報告するとともに対策本部を設置し、事件・事故などの早期収拾、対応に努めます。事件・事故などの解決後は、再発防止策を策定し、関係部署はそれを実行することとしています。

リスク発生時の連絡体制図

情報セキュリティへの取り組み

日本新薬は世界から注目される研究成果を上げており、その情報資産の保護は最優先課題です。情報セキュリティに対する取り組み姿勢を示す基本方針と基本規程を定め、これらに基づいて情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS*1)を運用し、その推進組織としてISMS推進委員会を設置しています。
情報セキュリティに対する取り組みとして、SOC*2が24時間365日、ネットワークやコンピューターなどで不審な挙動が発生していないかを監視しているほか、サイバーセキュリティ攻撃による情報セキュリティ事故が発生した際、迅速に対応するための社内体制(NS-CSIRT*3)を構築しています。NS-CSIRTでは、実際の攻撃を想定した訓練を定期的に実施し、各部門の対応手順の確認や修正などを行い、運用体制面を強化しています。また、USBデバイス接続制御システムやセキュアなクラウドストレージサービスを導入することで、マルウェア感染や情報漏洩を防止し、業務やデータ管理の効率化も実現しています。
一方で、情報セキュリティ事故を起こすのは最終的には“人”であるという考えのもと、人的リスクへの対策も強化しています。採用時に情報セキュリティ研修を行うほか、継続的にeラーニングシステムを利用した教育を実施し、情報セキュリティに関する意識や知識の向上を図っています。
今後も、情報セキュリティリスクから日本新薬の情報資産を保護するため、外部機関などとも連携しながら、情報セキュリティの対策と強化に取り組んでいきます。

  • *1 Information Security Management System
  • *2 Security Operation Center
  • *3 NS-Computer Security Incident Response Team

災害・感染症などへの対策(BCP)

日本新薬では、地震・風水害などの自然災害や、感染症、その他の有事の際に備えたオールハザード型のBCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)として、事業存続のために行うべき業務に係るBCP関連行動マニュアルを策定しています。
また、患者さんへの医薬品の提供が途切れることのないように、医薬品の生産拠点である小田原総合製剤工場においては、震度6強の地震を想定したシナリオに基づくBCPを策定しており、製品欠品リスク回避のためのBCP品目と共に毎年見直しを実施しています。製品在庫の保管場所や関係会社との支援関係の強化を図っており、今後も必要に応じ、BCPにおける活動を一層推進していきます。