基本姿勢と目標
日本新薬は、自然資本から得られる資源が有限であることを認識し、再使用や共同利用を含めた資源使用量の削減を進めるとともに、リサイクル原料の活用にも目を向け、自社から排出するものは、リサイクル資源に回すことで資源循環を図ります。これらの総合指標として、廃棄物量の削減および最終処分量の縮減を掲げています。
医薬品・食品の製造には良質な水が必要不可欠であり、特に水不足はビジネス継続に影響を及ぼしかねないリスクであることから、水の使用量削減が重要な課題と認識しています。
また、生産事業所における冷却水をはじめとした利用水については、法令を遵守し、排水の水質管理を行います。
現状と実績
廃棄物量の推移
当社は、資源循環の推進取り組みについて、廃棄物管理として、2023年度~2025年度の3カ年で「①2025年度の最終処分量を2005年度実績比75%削減する(2005年の最終処分量14.5トン)、②2025年度の廃プラ再資源化目標を65%以上とする、③2025年度の再資源化率を60%以上にする」と3つの目標を掲げて活動しております。
限りある資源を有効に利用するため、廃棄物の3R(リデュース、リユース、リサイクル)に積極的に取り組んでまいります。
廃棄物の収集、運搬および処理の委託は、優良な委託業者を選定しています。電子マニフェストシステムにより適正な管理を行い、委託廃棄物処理業者へは定期的な実地査察を実施しています。
本社地区(京都)・東部創薬研究所においては、法規制が厳しい廃棄物の排出から処理、リサイクルにおける業務の効率化とコンプライアンスを実現する廃棄物総合管理サービス(ASPサービス)を利用しており、許可証と処理委託契約書、マニフェストの整合確認が取れた適切な運用を行っています。
廃棄物発生量
水の使用
2024年度の水の使用量は177千m3でした。当社は、第七次環境自主目標として「2021年度を基準に、2025年度の水使用量原単位を10%削減する」ことを掲げ、水資源の有効活用を推進しています。引続き節水に努めて水資源使用の効率向上を目指します。
なお、取排水に関する罰金を伴うような法令違反事例は発生しておりません。
水の使用量
水リスクの評価と対応
水リスクの把握のため、主要事業所である本社地区(京都)、小田原総合製剤工場および東部創薬研究所について世界的な環境研究機関である世界資源研究所(WRI)の水リスク評価ツールAQUEDUCT(4.0)※を基に分析を行いました。
小田原総合製剤工場および東部創薬研究所が中程度(Medium-high)の水リスク地域に該当しましたが、水リスクの高い地域(HighおよびExtremely high)に該当する事業所はありませんでした。
※世界資源研究所(WRI)が開発・発表した水リスクを評価するツール Aqueduct | World Resources Institute (wri.org)
WRI AQUEDUCT(4.0)を用いた水ストレス評価(2020年度~2024年度)
単位:千m3
| 水ストレスレベル | 拠点名 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 取水量 | 取水量 | 取水量 | 取水量 | 取水量 | ||
| Low (<10%) | なし | - | - | - | - | - |
| Low - Medium (10 - 20%) |
本社地区 (京都) |
30 | 30 | 25 | 24 | 33 |
| Medium - High (20 - 40%) |
小田原総合 製剤工場 |
129 | 133 | 138 | 127 | 113 |
| 東部創薬研究所 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | |
| High (40 - 80%) | なし | - | - | - | - | - |
| Extremely High (>80%) | なし | - | - | - | - | - |
| 合計 | 161 | 165 | 164 | 153 | 148 | |
主な取り組み
廃棄物の適正処理と活用
廃棄物処理法(廃棄物の処理および清掃に関する法律)と、各主要事業所が所属する自治体の条例に基づき適正に廃棄物を処理・管理を行い、金属の有価物化およびプラスチック廃棄物の分別回収を徹底しています。
本社地区と東部創薬研究所においては、廃棄物管理業務を適正かつ持続的に支援する廃棄物総合管理システム(ASPサービス)を導入し、処理業者による適正処理を確認しています。さらに、本社地区ではKESに準拠した環境マネジメントシステムに基づき、社内イントラで廃棄物に関する情報を適宜公開しています。
環境負荷を低減する包装資材の導入
当社は、医薬品の製品包装を通じて環境負荷低減への取り組みを進めています。
今後も環境に配慮した包装設計と資源リサイクルの両面から、持続可能な循環型社会の実現を目指します。
バイオマス素材の採用
バイアルの破瓶防止包装の保護材には、植物を原料とするバイオマスプラスチックを採用しています。

緩衝機能一体箱の採用
破損しやすい注射剤の包装には、プラスチック製の緩衝材は使用せず、緩衝機能一体箱を採用しています。

ラベル台紙の水平リサイクル
ラベル台紙(剥離紙)を「リサイクル専用台紙」に置き換える資源循環プロジェクトに参画しています。この取り組みにより可燃物の廃棄を減らし、CO₂排出量の削減に貢献しています。
※資源循環プロジェクト

個装箱 環境保全に配慮した紙資源の使用
製品の個装箱に使用する板紙には、管理された森林から得られた資源を使用し、環境に配慮した持続可能な森林管理をサポートすることで地球環境の保全に貢献しています。

「プラスチック・スマート」キャンペーン ~ ペットボトルごみ 1.2t削減
環境省が主催する海洋プラスチックごみを減らす取り組み「プラスチック・スマート」の考え方に賛同し登録しています。登録している「ブルースマイルプロジェクト」では、全社員に配布したマイボトルをオフィス、出張先、プライベートなどで積極的に使用することを推奨し「脱プラ化」を推進しています。併せて、本社地区の自動販売機のペットボトル飲料の販売を中止した結果、ペットボトルごみは「ゼロ」になりました。このことが高く評価され、プラスチックの削減について先進的に取り組みを進めている企業として京都市ごみ減量・分別リサイクル総合情報サイト「こごみネット」に、紹介されています。

グリーンパレットの導入
最終製品の輸送には、再生プラスチックを原料としたリサイクルパレットを導入し、その利用を拡大しています。
社外からの評価
「2R特別優良事業所認定制度」に基づく特別優良事業所認定
京都市は、2017年度よりさらなるごみ減量を目指し、独自性がある、先進的であるなど特に優れたリデュース(発生抑制)、
リユース(再使用)の2R取り組みを行う事業所を認定する「2R特別優良事業所認定制度」を実施しています。当社本社地区(京都)は、プラスチック・スマートキャンペーンへの賛同やブルースマイルプロジェクト登録などが評価された結果、京都市から2R特別優良事業所の認定を受けています。







