経営環境が大きく変わる中、今回は4名の社外取締役に、日本新薬が持続的な成長を果たす上での今後の課題や期待することなどについて語っていただきました。
財務成果や新たなイノベーションにつながる戦略を、重要課題に反映していくことに期待

社外取締役櫻井 美幸
日本新薬は、今後のニューノーマル時代への対応や、DX推進による急激な社会の変容に迅速に対応し、一層の業容拡大をなし得ていくためのリーダーとして、新たに中井社長を選任しました。強いリーダーシップを発揮し、これからの日本新薬の成長、特にヨーロッパやアジアを含む海外戦略の成功へ導いていただきたいと思います。
現在、日本新薬では「サステナビリティ経営」や「ダイバーシティ経営」を持続的成長の実現、経営基盤強化につながる重要課題と位置づけ、重点的に施策に取り組んでいます。特に「サステナビリティ経営」については、CSR推進会議のもとE・S・Gの各分科会を設置し、重点項目を定めた上で具体的な活動に取り組み、さらに社内啓発・共有に努めていることは素晴らしいと思います。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、さまざまな角度からBCPを見直し、リモートワークの本格導入といった多様な働き方改革をはじめ、緊急事態を改革のチャンスと捉えて前向きに取り組むことができていることは、こうした企業姿勢の成果であると考えます。今後は、一歩踏み込み、財務成果や新たなイノベーションにつながることを意識した戦略などを立案し、重要課題に反映していくことを期待しています。
日本国内のみならず世界のトップランナーの地位確立に向けて

社外取締役和田 芳直
日本新薬は、社外取締役を議長とする指名委員会および報酬委員会を設置しており、また取締役会では4名の社外取締役から積極的な発言があるなど、形骸化することなく経営の透明性・客観性を高めています。このことから、日本新薬のガバナンスは概ね満足できるレベルにあると考えています。また、会長・社長に監督と執行をそれぞれ割り当てる新体制は、最高経営責任者への職務集中を改善することによりガバナンス強化につながります。一方で、取締役会の議題提案に至るまでの経過を含めた全体像を社外役員が把握するためには情報が不十分なこともあります。そのため、特に事前説明会においては事業リスクをどの範囲まで検討したか追加の補足資料をつけるなど、情報共有を充実いただくことで、取締役会において検討すべき論点が明確になり一層議論が深まると考えます。
日本新薬は、これまで伝統的に強みをもつ領域にとどまらず、希少疾患・難治性疾患に果敢にチャレンジし、「ヘルスケア分野で存在意義のある会社」と自他ともに認められるようになったと考えます。売上・利益のいずれにおいても数年にわたり黒字を達成していることは社員の努力の結果であり、敬意を評したいと思います。今後は、まず第一にパイプラインを充実させること、そして難病・希少疾患領域において存在意義を高めることで、日本国内のみならず世界のトップランナーになることを期待しています。
これまで以上に、製品に関する適切かつ積極的な情報発信の重要性が高まる

社外取締役小林 柚香里
私の責務は、グローバル企業で部門再編や企業買収・統合、ビジネスモデルの変換に伴う改革などを手がけた経験を生かし、日本新薬のさらなるグローバル展開を目指す改革プロジェクトが最短距離で目標達成できるよう支援することであると考えます。また、より多くの人が健康に暮らすための日本新薬が果たすべき役割に関する議論においても、業界内の方とは異なる視点を提供したいと考えます。
現在、新型コロナウイルスの発生を契機に、医療や医薬に関する関心が高まっています。一方で、各種メディアから発信されている情報には正しい情報とそうでない情報が入り混じり、情報の受け手が混乱する事態になっています。こうした状況の中、日本新薬の役割として、利用者が納得した上で最適な選択をできるように、これまで以上に製品に関する適切かつ積極的な情報発信に尽力することが求められていると考えます。また、健康寿命延伸のための予防医学的ヘルスケアという観点からも、製薬企業としての知見をもとに積極的に情報発信することで、より多くの人々が正しい健康知識に基づき自らの健康を管理できるような社会の一助となることを期待します。

社外取締役西 真弓
このたび取締役に就任しました西真弓でございます。重責を担うことになり、大変身の引き締まる思いです。私は薬学部を卒業後、がん研究所に勤務する中で、医学を学びたいという思いが強くなり、医学部に再入学しました。医学部卒業後は数年間の臨床経験を経て、神経内分泌学の基礎研究の道に進み、京都府立医科大学、奈良県立医科大学の解剖学教室にて30年余り研究・教育に携わってきました。
日本新薬のガバナンスに関しては、薬学部、医学部における経験を踏まえ、創薬に向けた研究開発への関与が私に求められていると思います。私はこれまで広い意味での神経科学研究に携わってきました。神経系の難病・希少疾患にはいまだ有効な治療薬のないものも多いので、日本新薬のこれまでの研究開発実績を活用し、さらにその分野での創薬を進めることを期待します。
今、製薬企業はAI創薬を中心に大きな転換期を迎えていると思います。また、日本新薬は大学や研究機関との連携を一層強化し、独自性の高い創薬を進める必要に迫られていると思います。その意味で、これまで私が培った研究者ネットワークが活用できないかと考えています。
私の研究者・医師としての視点および学会などで築いてきた人的ネットワークなどを活用し、日本新薬のより一層の発展に向け努力する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。