CMC研究

探索研究において見出された候補化合物を医薬品として患者さんに届けるためには、医薬品原薬を大量に作る技術(“プロセス研究”)や品質を保証するための“分析研究”、患者さんに製品として使用していただくための“製剤開発”といった“CMC研究”が必要となります。当社は、これらの開発研究への挑戦を続け、低分子医薬品だけでなく“核酸医薬品”にチャレンジするとともに、効能追加・剤形追加などを通じた“PLCM”にも積極的に取り組んでいます。

製品開発のイメージ

プロセス研究

創薬研究の上流で見出された有用性の高い候補化合物を高品質な医薬品原薬として安定的に供給するために、製造方法のスケールアップを含め、商業生産に適した合成法の開発を行います。

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分析研究

製造販売承認取得に向けて候補化合物の物理的化学的性質の把握を行い、医薬品としての品質評価の方法と基準を作ります。また、医薬品開発における非臨床試験や臨床試験の信頼性を確保するために、それらの試験研究に使用される原薬や製剤の品質評価を行っています。

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製剤開発

有効成分の効果が十分に発揮できる剤形や製剤機能性の研究、目的とする品質の製剤を製するための製造工程の開発、医療従事者や患者さんにとって使いやすい製剤仕様(形状、色調、表示など)の検討を行っています。

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核酸医薬品

当社は、従来からの低分子化合物だけでなく、核酸による医薬品開発にも注力しています。国産初の核酸医薬品「ビルテプソ」の開発は、CMC研究においても大きなチャレンジでした。特に、核酸医薬品開発に関するガイドラインが整備されていない中、どのように医薬品としての品質を保証していくかは大きな課題でした。「ビルテプソ」の開発で培った技術やノウハウを活かし、さらなる核酸医薬品の上市を目指し、研究開発を進めています。

PLCM(プロダクト・ライフ・サイクル・マネジメント)

ひとつの薬剤に対して、効能・効果や剤形の追加、利便性の改善など行い、患者さんや医療従事者の皆さんのニーズに応えていくことをPLCM(プロダクト・ライフ・サイクル・マネジメント)といいます。PLCMにより健康文化に貢献していくことは、画期的新薬を生み出すことと並んで時代や社会の要請に応える意義のある取り組みです。
当社は、小型化や口腔内崩壊錠(OD錠)による服薬の容易化、適応拡大によるより幅広い疾患への対応、放出制御や製剤安定化による有用性の向上など、高い技術を用いてPLCMに積極的に取り組んでいます。

【事例 1】OD錠の開発

2014年に発売したがん疼痛、慢性疼痛治療薬トラマールOD(口腔内崩壊錠)は、有効成分であるトラマドール塩酸塩の苦みを特殊なマスキング技術を用いて抑えたうえ、水なしでも服用できるため、高齢者や嚥下機能の低下した患者さん、水分摂取制限のある患者さんの使用において役立っています。

【事例 2】セレキシパグの効能追加

当社は、自社創製品である肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療剤「ウプトラビ錠」の販売を2016年に開始しました。有効成分であるセレキシパグは、PAHだけでなく、他疾患にも有用な治療薬となることが期待され、現在取り組んでいるのは慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)、閉塞性動脈硬化症(ASO)、腰部脊椎管狭窄(LSS)の3疾患です。これらの効能追加を通じてセレキシパグをより幅広い患者さんに使用して頂くことを目指しています。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH) 肺動脈において器質化した血栓により閉塞が起こり、血流が阻害されることで生じる肺高血圧症で、日本では難病に指定されています。当社は、2016年にはCTEPHを適応とした希少疾病用医薬品指定を取得しています。
閉塞性動脈硬化症(ASO) 動脈硬化病変が末梢に形成され四肢の循環障害が起こる疾患で、歩行中に下肢のしびれ、痛みなどが起こって歩けなくなるが、しばらく休むとまた歩けるようになる間歇性跛行を主な症状としています。患者の多くは動脈硬化が全身に進行しており、心筋梗塞や脳梗塞のために死亡する確率も高い疾患です。
腰部脊椎管狭窄(LSS) 腰部の骨の変形などにより、慢性的な圧迫を受け神経を覆っている脊柱管が狭窄する疾患です。これにより馬尾神経および神経根が圧迫され、腰痛、下肢痛およびASOと同じく間欠跛行などの神経症状が発現します。

【事例 3】ワントラム錠の開発

2015年に発売した持続性がん疼痛・慢性疼痛治療剤「ワントラム錠100mg」は、導入先のエンド社(アイルランド)独自の放出制御技術を適用した日本で初めての徐放性トラマドール製剤です。2010年に1日4回製剤「トラマールカプセル25mg」を発売していましたが、「ワントラム錠100mg」はその有効成分であるトラマドール塩酸塩の放出機能を周辺部分と中心部分で変えた二重構造の錠剤で、薬効の即効性と持続性を両立させて1日1回投与としています。長時間の疼痛コントロールが必要な患者さんに対して服薬回数低減のメリットは大きく、服薬アドヒアランス(患者の治療に対する意欲)の向上につながっています。