プレスリリース・お知らせ

当社のプレスリリース・お知らせには医療用医薬品や開発品に関する情報が含まれている場合がありますが、
これらは当該品のプロモーション、広告、医療上のアドバイスを目的としたものではありません。

NEWS 2016

2016年05月17日 研究開発
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当社が創薬したセレキシパグの、導出先企業による 欧州委員会の販売承認取得のお知らせ

 日本新薬が創製し、平成20年4月にアクテリオン社(本社:スイスAllschwil、最高経営責任者:Jean-Paul Clozel, M.D.)に導出したセレキシパグ(開発記号:NS-304、欧州での商品名:Uptravi®)について、このたびアクテリオン社が欧州委員会から販売承認を取得しましたのでお知らせします。

 アクテリオン社の承認取得に伴い、当社では、平成29年3月期第1四半期に一時金収入が発生しますが、平成28年5月12日に発表した、平成29年3月期の通期業績見通しに修正はありません。

 以下のリリース文は、アクテリオン社のプレスリリースを参考までに和訳したものです。内容については、アクテリオン社のオリジナルの英文が優先することをご了承ください(アクテリオン社のWEBサイトでご確認ください)。

【以下、ご参考:アクテリオン社のリリース文和訳】

アクテリオン社、肺動脈性肺高血圧症治療薬Uptravi(セレキシパグ)について欧州委員会から販売承認を取得

  • 2016年5月12日に欧州委員会から販売承認を取得
  • 近くEU市場で上市予定
     

スイス アルシュヴィル発2016517‐アクテリオン社(SIX: ATLN)は、経口投与可能なIP受容体選択的作動薬であるUptravi®(セレキシパグ)について、肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬としてのEUにおける販売承認を欧州委員会から取得したことを本日お知らせします。

 Uptraviの適応は、WHO機能分類II度‐III度のPAH成人患者に対する長期治療であり、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)とホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬の両方またはいずれか一方による治療では管理不十分な患者に対する併用療法として、あるいはERAやPDE-5阻害薬による治療対象とはならない患者に対する単剤療法として使用することができます。その有効性は、特発性および遺伝性PAH、結合組織病に伴うPAH、修復済み単純先天性心疾患に伴うPAHなどのPAH患者集団において示されました。

 日本新薬が創製したUptraviのEUにおける添付文書は、第3相GRIPHON試験を根拠の一部としており、試験の主要結果は2015年12月にNew England Journal of Medicine誌に発表されました。PAHを対象とする過去最大のプラセボ比較試験であるGRIPHON試験において、WHO機能分類II度‐III度のPAH患者におけるUptraviの有効性、安全性および忍容性が立証されました。

 GRIPHON試験においてセレキシパグは、主要評価項目である治療期間終了までのPAH関連合併症や理由を問わない死亡のイベント発生リスクをプラセボ比で40%低下させました(p<0.001)。治療効果は、発生イベントの81.9%を占める入院および病態悪化において主に認められました。セレキシパグの有用性は、PAHの病型、WHO機能分類、試験参加時点におけるERAおよびPDE-5阻害薬の併用(376例、32.5%)を含むPAH治療薬の使用など、既定の部分集団においても一貫して認められました。

 ダブリンのメーター・ミザリコーディアエ病院の呼吸器内科顧問医師Sean Gaine教授は以下のように述べています。
 「長年、プロスタサイクリン経路がPAH治療の鍵となりうることはわかっていました。しかし、既存薬の投与方法が大きな負担であるために、プロスタサイクリン経路は十分活用されてきませんでした。PAH治療中にプロスタサイクリンを投与される患者はわずか20%ほどでした。今、長期予後の成績に裏付けられた革新的な経口薬であるUptraviによって、3つの確立された治療経路全てを標的とする併用療法が可能になります。」

 ボローニャ大学循環器研究所の肺高血圧センター長Nazzareno Galiè教授は以下のように言い添えています。
 「Uptraviの承認は欧州のPAH関係者にとって非常に良いニュースです。Uptraviによって、他の経路を標的とする1剤または2剤との併用の顕著な臨床的有用性が初めてもたらされます。忍容性も良好であり、Uptraviは多くの患者のPAH治療に大きな変化を起こす治療選択肢となるでしょう。」

 アクテリオン社CEO のJean-Paul Clozel MDは以下のように述べています。
 「アクテリオン社は、一連のPAH治療において長期予後を改善する広範囲の製品ポートフォリオを有しています。本日の欧州委員会によるUptravi承認を非常に喜ばしく思います。基礎治療中の患者においても長期予後を改善するこの素晴らしい経口薬を欧州のPAH患者に提供できるようになります。私たちは、UptraviをEUの患者に一刻も早く届けられるよう、最善を尽くします。」

 セレキシパグの安全性は、症候性PAH患者1,156例が参加して実施された第3相長期プラセボ比較試験において評価されました。平均投与期間は、セレキシパグ投与患者が76.4週間(中央値70.7週間)、プラセボ投与患者が71.2週間(63.7週間)でした。セレキシパグの投与期間は最長で4.2年間に達しました。

 Uptraviの薬理学的作用に関連のある副作用のうち、最もよく観察されたものは頭痛、下痢、吐き気および嘔吐、顎の痛み、筋肉痛、四肢の痛み、関節痛、顔面紅潮でした。これらの副作用は用量漸増期間において、より頻繁に観察されました。これらの副作用の大部分は軽度あるいは中等度のものでした。

 当社は一刻も早くUptraviをEU全域に届けられるよう努力し、近くドイツから販売を開始します。フランスでは、UptraviはコホートATUで承認されており、ERAならびにPDE-5阻害薬の併用で管理不十分な患者への提供が始まっています。

 


各国におけるセレキシパグの審査状況
 これまでに米国(2015年12月21日)、カナダ(2016年1月21日)、ニュージーランド(2016年3月17日)、オーストラリア(2016年3月18日)、韓国(2016年5月11日)および欧州委員会(2016年5月12日)で承認されています。その他各国の保健当局への承認申請も継続して進めており、日本、スイス、台湾、トルコでは審査中です。


Uptravi®セレキシパグについて
 日本新薬が創製したUptravi(セレキシパグ)は、PAHにおいてプロスタサイクリン経路をターゲットとする経口IP受容体選択的作動薬として唯一承認されています。
 Uptraviとその主要代謝物は、プロスタサイクリン受容体(IP受容体)に選択的に作用します。IP受容体は5つの主要なプロスタノイド受容体(IP、EP、DP、TP、FP)のうちの1つです。プロスタサイクリンはIP受容体を活性化し、血管拡張を誘導し、血管平滑筋の増殖を阻害します。


GRIPHON 試験について
 
GRIPHON試験はグローバルピボタル第3相試験であり、セレキシパグ投与により病態悪化・死亡が最初に発生するまでの期間がプラセボ比で延長されることを実証し、ならびに、PAH患者におけるセレキシパグの安全性を評価するためにデザインされました。
 合計1,156例の患者が無作為化され、プラセボまたはセレキシパグを投与されました。患者個別の用量まで漸増する投与方法を用い、1回あたり200 µgを1日2回投与から開始し、1週毎に200 µgずつ増量し、最高で1回あたり1600 µgを1日2回投与しました。患者がある用量を耐容できない場合、1つ前の耐用量に減量されました。主要評価項目イベントは397例、プラセボ群の41.6%、セレキシパグ群の27.0%に発生しました(プラセボ群に対するセレキシパグ群のハザード比0.60、99%信頼区間0.46‐0.78、P<0.001)。病態悪化および入院がイベントの81.9%を占めました。
 試験参加時点で、全体の80%の患者がERA、PDE-5阻害薬のいずれか、あるいは両方のPAH治療薬を服用していました。主要評価項目におけるセレキシパグの効果は、試験参加時点でPAH治療薬を服用していなかった部分集団と、すでにPAH治療薬(ERAおよびPDE-5阻害薬の併用を含む)を服用していた部分集団で同様でした。
 プラセボ群よりもUptravi群においてより高頻度(3%以上)に発生した副作用は、頭痛、下痢、顎の痛み、吐き気、筋肉痛、嘔吐、四肢の痛み、顔面紅潮、関節痛、貧血、食欲減退、発疹でした。これらの副作用は、用量漸増期間においてより高頻度に認められました。甲状腺機能亢進症がセレキシパグ群の1%(8例)に発生しましたが、プラセボ群にはそのような副作用は認められませんでした。


プロスタサイクリン経路の役割
 プロスタサイクリン経路は、PAHの病態生理ならびに治療に関連する、最も良く特徴が分かっている3つの経路のうちの1つです。プロスタサイクリンはプロスタノイドであり、人体においてシグナル分子として働いています。プロスタサイクリンは、他の血管作動性物質と同様に、内皮細胞により産生されます。プロスタサイクリンは血管拡張作用、細胞増殖抑制作用、抗炎症作用ならびに血小板凝集抑制作用を持ちます。特定の疾患においては、内皮細胞によるプロスタサイクリン産生が損なわれ、結果として過剰なエンドセリンやトロンボキサンによる有害な作用が現れます。


アクテリオン社と日本新薬の提携について
 2008年4月、アクテリオン社と日本新薬は全世界における独占提携契約を締結しました。本契約に基づき、アクテリオン社は日本を除く全世界におけるセレキシパグの開発および販売に責任を持ち、日本では両社は共同開発および共同販売を行います。日本新薬は、開発段階に応じたマイルストーン、販売マイルストーンおよびセレキシパグの販売に対するロイヤルティを受領します。

 

               以上