IRニュース 2015

2015年12月22日 研究開発
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当社が創薬したセレキシパグの、導出先企業による販売承認取得のお知らせ

 日本新薬が創製し、平成20年4月にアクテリオン社(本社:スイスAllschwil、最高経営責任者:Jean-Paul Clozel, M.D.)に導出したセレキシパグ(開発記号:NS-304、米国での商品名:Uptravi)について、このたびアクテリオン社が米国において販売承認を取得しましたのでお知らせします。

 アクテリオン社の承認取得に伴い、当社では、平成28年3月期第3四半期に一時金収入が発生しますが、平成27年11月6日に発表した、平成28年3月期の通期業績見通しに修正はありません。

 以下のリリース文は、アクテリオン社のプレスリリースを参考までに和訳したものです。内容については、アクテリオン社のオリジナルの英文が優先することをご了承ください。

 

【ご参考:アクテリオン社のリリース文和訳】

アクテリオン社、肺動脈性肺高血圧症治療薬Uptravi®(セレキシパグ)について米国FDAから承認を取得

2015年12月22日

  • Uptraviは肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHOグループ1)の病態悪化を遅延させ、入院のリスクを低減するPAH治療薬として承認された
  • Uptravi は2016年1月上旬に米国で発売予定
  • UptraviはPAH治療における重要な選択肢となり、Opsumit®ならびにVeletri®と共にアクテリオンの製品ポートフォリオを補完する

 

アルシュヴィル、スイス– 2015年12月22日– アクテリオン社(SIX: ATLN)は、日本新薬が創製した、経口で有効なIP受容体選択的作動薬であるUptravi(セレキシパグ)が本日、PAH治療薬としての使用を米国食品医薬品局(FDA)から承認されましたことをお知らせします。

Uptraviの適応は、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHOグループ1)の病態悪化の遅延および入院のリスク低減です。

その有効性は、WHO機能分類II-IIIのPAH患者を対象とした長期臨床試験で立証されました。試験に参加した患者は、特発性および遺伝性PAH(58%)、結合組織病に伴うPAH(29%)、シャント修復済み先天性心疾患に伴うPAH(10%)でした。

ミシガン大学循環器内科肺高血圧プログラム部長のVallerie McLaughlin, MDは以下のように述べています。

「プロスタサイクリン経路は、ずっと以前から、PAHにおける重要な治療ターゲットであると考えられてきました。しかし、今日に至るまで、十分に活用されてきたとは言えません。それは一つには、既存のプロスタノイド治療には、患者や患者をサポートする人々に対し、極めて大きな負担が生じていたためです。説得力ある長期予後の成績をもつUptraviの承認により、より多くの患者がこの治療ターゲットの恩恵を受け、もっと早い段階で治療を受けることができるようになるでしょう。」

アクテリオンCEO のJean-Paul Clozel MDは以下のように述べています。

「本日のFDAによるUptravi承認は、アクテリオンにとってもう一つの画期的な出来事です。我々のパートナーである日本新薬と共に、プロスタサイクリン経路を標的とする優れた経口治療薬を提供できることを誇りに思います。Uptraviの添付文書には、ERA、PDE-5阻害薬、そして - PAH領域において初めて - ERAとPDE-5阻害薬の2剤併用などの前治療の種類に関わらず、上乗せ投与によりPAHに伴う入院リスクの低減といった長期予後の改善が認められることが記されています。」

「Uptraviの登場により、Opsumitなどの基礎的薬剤による治療の開始後、そして疾患後期にVeletriを使用するよりかなり前に、疾患の進行を遅らせる選択肢が増えます。アクテリオンは、長期有効性と安全性、そして利便性を併せ持ち、一連のPAH治療を網羅する、類いまれな治療薬のポートフォリオを持つことになります。」

Uptraviの安全性は、症候性PAH患者1,156例が参加して実施された長期プラセボ比較試験(GRIPHON試験)において評価されました。本試験における治験薬の投与期間は、最長4.2年、中央値1.4年でした。

プラセボ群よりもUptravi群においてより高頻度(3%以上)に発生した有害事象は、頭痛、下痢、顎の痛み、吐き気、筋肉痛、嘔吐、四肢の痛み、顔面紅潮、関節痛、貧血、食欲減退、発疹でした。これらの有害事象は、用量漸増期間においてより高頻度に認められました。甲状腺機能亢進症がUptravi群の1%(8例)に発生しましたが、プラセボ群にはそのような有害事象は認められませんでした。

アクテリオンは、2016年1月上旬に米国内でUptraviが使用可能になると見込んでいます。米国以外の地域においては、アクテリオンは引き続き規制当局と連携し、Uptraviの承認取得を目指します。

GRIPHON試験の成績

Uptraviの承認根拠の一部に、1,156例の患者において最長4.2年の投与を行った長期グローバルPIII試験であるGRIPHON試験の成績が含まれています。試験に参加した被験者は、80%以上が既存のPAH治療薬の投与を受けていました。GRIPHON試験において、セレキシパグは主要評価項目である死亡や病態悪化の発生リスクをプラセボ比で40%低下させました(p<0.0001)。

セレキシパグの有用性は、PAHの病型、機能分類や、ERAとPDE5阻害薬の併用療法を含むPAH基礎治療など、既定の部分集団においても一貫して認められました。

忍容性に基づいてセレキシパグを個別維持用量まで漸増することで、検討された用量範囲において長期予後ベネフィットを得ることができました。GRIPHON試験において、治験薬の投与は1回あたり200μgを1日2回から開始され、1週おきに200μgずつ増量し、最高で1回あたり1600μgを1日2回投与しました。最大耐用量へ漸増することで、低用量群(200、400μgを1日2回)、中用量群(600、800、1000μgを1日2回)、高用量群(1200、1400、1600μgを1日2回)のいずれの既定の部分集団においても、セレキシパグの有用性は一貫して認められました。

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各国における審査状況

アクテリオンは2014年12月に米国FDAおよび欧州EMAに申請資料を提出しました。欧州では現在も審査が続いています。その他各国の保健当局への承認申請も継続して進めており、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、韓国、スイス、台湾では審査中です。

UPTRAVI® (セレキシパグ)について

Uptravi (セレキシパグ)は、日本新薬が創製した、強力かつ経口投与可能なIP受容体選択的作動薬です。

Uptraviとその主要代謝物は、プロスタサイクリン受容体(IP受容体)に選択的に作用します。IP受容体は5つある主要なプロスタノイド受容体(IP、EP、DP、TP、FP)のうちの1つです。プロスタサイクリンはIP受容体を活性化し、血管拡張を誘導し、血管平滑筋の増殖を阻害します。

GRIPHON試験

GRIPHON試験(Prostacyclin (PGI2) Receptor agonist In Pulmonary arterial HypertensiON)は、多施設共同プラセボ対照二重盲験無作為化試験であり、PAH患者におけるセレキシパグ経口投与の長期有効性と安全性を評価しました。

GRIPHON試験は、PAHを対象とする過去最大の無作為化比較試験であり、北南米、欧州、アジア太平洋の39カ国181施設で実施され、1,156例のPAH患者が参加しました。患者はセレキシパグあるいはプラセボを1日2回服用し、加えて、3か月以上投与量が安定している場合に限り、基礎治療としてPAH治療薬の服用を継続することが可能とされました。試験参加時点で、全体の80%の患者がERA、PDE-5阻害薬のいずれか、あるいは両方のPAH治療薬を服用していました。

このピボタルなイベント観察型の試験は、セレキシパグ投与により病態悪化・死亡が最初に発生するまでの期間がプラセボ比で延長されることを実証し、ならびに、PAH患者におけるセレキシパグの安全性プロファイルを評価するためにデザインされました。試験において医師より報告された全ての病態悪化・死亡のイベントは、3人で構成される独立重要イベント委員会にて盲験下で審査されました。

以上