IRニュース 2016

2016年11月09日 研究開発
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米国で開発中の核酸医薬品NS-065/NCNP-01、米国FDAよりファストトラック指定受理のお知らせ

 日本新薬株式会社は、米国で開発を進める国産初の核酸医薬品NS-065/NCNP-01(以下、本剤)※1について、その適応疾患となるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対し、米国食品医薬品局(FDA)からファストトラック指定を受理しましたのでお知らせします。

 ファストトラックとは、完治が難しい疾患に対し、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度です。日本発のアンチセンス核酸医薬品※2で、FDAからファストトラック指定を受けた薬剤は、本剤が初めてとなります。

 DMDは、男児に発症するもっとも頻度の高い遺伝性筋疾患で、ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞の骨組みを作るタンパク質の遺伝子に変異が起こり、正常なジストロフィンが作られなくなることで筋力低下を示す重篤な疾患です。現在、その進行を遅らせるステロイド剤以外に有力な治療法は存在せず、新たな治療法の開発が期待されています。

 本剤は、モルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸医薬品で、ジストロフィン遺伝子の一部の遺伝情報を読み飛ばすことにより筋機能の改善を期待するエクソンスキップ薬3として、本年3月より米国で第Ⅱ相臨床試験を開始しています。

 国内では、昨年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度4の指定を受け、本年1月から第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しています。なお、米国での開発は、当社の海外子会社のNS Pharma,Inc.(本社:米国ニュージャージー州、社長:松岡 正人)が実施しています。

 当社は、難病・希少疾患治療剤の開発に、使命感を持って積極的に取り組んでおり、病気に苦しむ患者さんの福音となる治療薬の一刻も早い製品化を目指しています。

 今回、優先審査の指定を受けたことで、NS-065/NCNP-01を早期にDMD患者さんに届けられることを期待しています。

 

【用語の説明】

※1 <NS-065/NCNP-01>
 本剤は、DMDに対する治療効果が期待されるモルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品であり、当社と国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(小平市、理事長:水澤 英洋、神経研究所長:武田 伸一)が共同で見出した、DMD治療における重要な選択肢として期待されている薬剤です。

 

※2<アンチセンス核酸医薬品>
 アンチセンス核酸医薬品は、標的とするメッセンジャーRNA(mRNA)と結合し、その遺伝子産物であるタンパク質の発現を制御することで治療効果を示す医薬品です。

 

※3<エクソン・スキップ薬>
 エクソン・スキップ薬は、アンチセンス核酸を用いて、タンパク質に翻訳されるmRNAの領域(エクソン)の一部を人為的に取り除く(スキップする)薬剤で、アミノ酸読み取り枠のずれを修正します。正常なジストロフィンタンパク質に比べると、その一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンタンパク質が発現し、筋機能の改善が期待できます。

 対象となるエクソンは、患者の変異形式に応じて異なりますが、本剤はエクソン53を対象としています。

 

※4<先駆け審査指定制度>
 先駆け審査指定制度は、有効な治療法がなく命に関わる疾患に対し、革新的医薬品等を世界に先駆けて日本発で早期に実用化すべく国内での開発を促進する制度です。本制度の目的は、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、日本における承認審査の期間を短縮することです。

 

               以上