米国で開発中の核酸医薬品NS-065/NCNP-01、米国FDAより希少小児疾患指定受理のお知らせ
日本新薬は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象に米国で開発を進めている核酸医薬品NS-065/NCNP-01(以下、本剤)※1について、このたび、米国食品医薬品局(FDA)よりRare Pediatric Disease(希少小児疾患)指定を受理しましたのでお知らせします。
希少小児疾患指定は、米国で18歳までに発症し、患者数が20万人未満の希少疾患がその対象となります。このたびの指定により、本剤がFDAから販売承認を取得した際、今後承認申請を行った別の開発品について、優先審査を受けられる可能性があります。
なお、本剤は既に、FDAより昨年10月にファストトラック指定※2を、今年1月にはオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定※3を受けています。
DMDは、男児に発症するもっとも頻度の高い遺伝性筋疾患で、ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞の骨組みを作るタンパク質の遺伝子に変異が起こり、正常なジストロフィンが作られなくなることで筋力低下を示す重篤な疾患です。現在、その進行を遅らせるステロイド剤以外に有力な治療法は確立されておらず、新たな治療法の開発が期待されています。
本剤は、モルフォリノ化合物で合成された日本発のアンチセンス核酸医薬品で、ジストロフィン遺伝子の一部の遺伝情報を読み飛ばすことにより筋機能の改善を期待するエクソンスキップ薬※4として、2016年3月より米国で第Ⅱ相臨床試験を開始しております。一方、国内においては、厚生労働省より先駆け審査指定制度※5の指定を受け、2016年1月から第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始しています。
なお、米国での開発は、当社の海外子会社のNS Pharma, Inc.(本社:米国ニュージャージー州、社長:松岡正人)が実施しています。
当社は、難病・希少疾患治療剤の開発についても使命感を持って積極的に取り組んでおり、病気に苦しむ患者さんの福音となる治療薬の、一刻も早い製品化を目指しています。
【用語の説明】
※1 本剤は、DMDに対する治療効果が期待されるモルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品であり、当社と国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(小平市、理事長:水澤英洋、神経研究所長:武田伸一)が共同で見出した、DMD治療における重要な選択肢として期待されている薬剤です。
※2 ファストトラック指定は、重篤または生命を脅かす疾患でアンメットメディカルニーズを満たす可能性がある開発品に対して開発や審査を促進する制度です。指定されると、FDAとの面談回数を増やすことや承認申請の際、資料が全て揃うまで待つのではなく、順次、提出可能になった資料から提出し審査する「ローリング・レビュー」を受けられる可能性があります。
※3 オーファンドラッグ指定は、米国内の患者数が20万人未満の希少疾患または、患者数が20万人以上の場合でも、その治療薬の開発や販売にかかる費用の回収が困難と考えられる場合に指定の対象となります。オーファンドラッグ指定により、本剤には7年間の排他的先発販売権が付与され、税制上の優遇措置も受けることができます。
※4 エクソンスキップ薬は、アンチセンス核酸を用いて、タンパク質に翻訳されるmRNAの領域(エクソン)の一部を人為的に取り除く(スキップする)薬剤で、アミノ酸読み取り枠のずれを修正します。正常なジストロフィンタンパク質に比べると、その一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンタンパク質が発現し、筋機能の改善が期待できます。
対象となるエクソンは患者の変異形式に応じて異なりますが、本剤はエクソン53を対象としています。
※5 先駆け審査指定制度は、有効な治療法がなく命に関わる疾患に対し、世界に先駆けて革新的医薬品等を日本発で早期に実用化すべく、国内での開発を促進する制度です。本制度の目的は、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、日本における承認審査の期間を短縮することです。
以上