プレスリリース・お知らせ

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これらは当該品のプロモーション、広告、医療上のアドバイスを目的としたものではありません。

NEWS 2015

2015年03月26日 医薬品
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肺動脈性高血圧症治療剤「オプスミット®錠10mg」の製造販売承認取得のお知らせ

 日本新薬が、アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:田中論、以下「アクテリオンジャパン」)と共同で国内PⅢ試験を実施した肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療剤「オプスミット®錠10mg」(開発番号:ACT-064992 一般名:マシテンタン 以下、本剤)が、本日、製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。

 本剤はエンドセリン受容体拮抗薬に分類され、日本で実施されたPⅢ臨床試験と、海外で実施されたPⅢ臨床試験(SERAPHIN試験)の結果、両試験において、肺血管抵抗、6分間歩行距離及びWHO機能分類クラスの改善が認められました。また、SERAPHIN試験においては、本剤1日10mgの治療では、プラセボと比較してmorbidity/mortality複合エンドポイントのリスクを45%減少させました(p <0.0001)。

 当社社長の前川重信は、以下のように述べています。
「現在、国内の臨床現場で汎用されているPAH治療剤は、3種類の異なる作用機序(エンドセリン受容体拮抗薬、IP受容体作動薬、PDE5阻害薬)に分類できますが、当社では、既に発売中の「アドシルカ®錠20mg」と現在開発中のセレキシパグに本剤が加わることで、これら3種類すべての作用機序のPAH治療剤を品揃えできることになり、大変喜ばしく思っています。当社は、難治性の疾患であるPAHに対する薬物治療の選択肢が広がることで、患者様やそのご家族の皆様の大きな福音となることを願っています。」

 なお本剤は、2013年10月に米国FDAから、同年12月に欧州委員会から承認されています。米国、欧州、オーストラリア、カナダ及びスイスでの市場導入と共に、発売に向けての活動は急速に進んでいます。   
 当社は、アクテリオンジャパンと共同販促することで、本剤を確実にいち早く患者さんにお届けします。

<補足説明>
肺動脈性肺高血圧症(PAH)

 PAHは患者の心臓及び肺の間の動脈の血圧が異常に高いことによって特徴づけられる慢性かつ生命を脅かす疾患です。PAHの症状は非特異的であり、日常生活における軽度の息切れ及び疲労感といったものから、右心不全及び身体活動の厳しい制限、そして最終的には平均余命の短縮など様々です。
 PAHは肺高血圧症(PH)の分類の中の一つのグループです。このグループには特発性PAH、遺伝性PAH、及び結合組織病、HIV感染症並びに先天性心疾患などにより引き起こされるPAHがあります。
 最近の10年間でPAHの病態生理学的な理解が大きく前進し、治療ガイドライン及び新しい治療法の開発が平行して行われています。PAHの病因として確立されている3つの機序を標的とした薬剤として、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)、IP受容体作動薬(プロスタサイクリン誘導体)及びPDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ-5阻害薬)があります。PAHの治療は、10年前の運動耐容能の症状に基づいた改善から、今日では病気の進行を遅らせることに変わりました。PAHに対する認知度の向上及び無作為化比較試験成績をもとに作成されたエビデンスに基づいたガイドラインは、早期治療介入、治療目標指向の治療及び併用治療の必要性を強調しています。

オプスミット®(マシテンタン)について 
 本剤は、全く新しいデュアルエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)であり、有効性及び安全性に取り組み、ERAの開発を標的とした独自の創薬プロセスの結果として見いだされました。

エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)について
 血管を収縮させる働きを持つ体内物質エンドセリンは、エンドセリン受容体に結合することで作用し、肺高血圧症の患者さんの体内に多く存在しています。ERAは、このエンドセリンとエンドセリン受容体との結合を阻害する薬剤です。エンドセリン受容体にはAとBの2種類があり、AとBの両方の受容体を阻害するマシテンタン、ボセンタンと、A受容体を阻害するアンブリセンタンがあります。

IP受容体作動薬について
 IP受容体は、プロスタサイクリン(PGI2)が結合することによって血管拡張等に働きます。肺高血圧症の患者さんではこの働きが弱まっています。IP受容体刺激薬は、この働きを強める薬剤です。

PDE5阻害薬について
 PDE5と呼ばれる酵素は、肺の血管に多く分布しており、血管を拡張させる体内物質サイクリックGMP(cGMP)を分解します。PDE5阻害薬は、このPDE5によるcGMPの分解を阻害し、cGMPの働きを強めて肺の血管を拡張させる薬剤です。

SERAPHIN試験について
 SERAPHIN(Study with an Endothelin Receptor Antagonist in Pulmonary arterial Hypertension to Improve cliNical outcome:PAHにおける臨床的転帰を改善するエンドセリン受容体拮抗薬による試験)は明確に定義されたmorbidity/mortalityを主要評価項目にしたPAH患者における大規模かつ長期間の無作為化比較試験です。この主要なフェーズⅢ試験は、独自の創薬プロセスの結果として見いだされた全く新しいデュアルエンドセリン受容体拮抗薬である本剤の有効性及び安全性を症状を有するPAH患者において最初のmorbidityイベント発現までの時間及び全ての理由の死亡を主要評価項目として評価するためにデザインされました。
 世界的な患者登録は2009年12月に計742例の患者で完了しました。患者は2つの本剤の用量(1日3 mg又は10 mg)又はプラセボを服薬するよう1:1:1に無作為化されました。患者は試験期間中、PDE-5阻害薬又は経口/吸入プロスタノイドのどちらかのPAH基礎治療を服薬することが許されました。このイベント駆動型試験は北アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカの約40ヵ国151施設で実施され、287例の患者のイベント発現確認とともに2012年上半期に完了しました。

SERAPHIN試験データについて
 患者はプラセボ(n=250)、本剤3 mg(n=250)または本剤10 mg(n=242)に無作為化されました。主要評価項目イベントはこれらの群においてそれぞれ患者の46.4%、38.0%及び31.4%に発現しました。プラセボに対する本剤3 mgのハザード比は0.70(97.5%信頼区間, 0.52~0.96; p=0.0108)、及びプラセボに対する本剤10 mgのハザード比は0.55(97.5%信頼区間, 0.39~0.76; p<0.0001)でした。PAHの悪化は最も多く発現した主要評価項目イベントでした。この評価項目における本剤の効果はPAHに対する基礎治療に関係なく認められました。

安全性及び忍容性プロファイルについて
 SERAPHIN試験において3%を超える頻度で報告された本剤投与による有害事象は、鼻咽頭炎、頭痛、貧血、気管支炎、尿路感染症、咽頭炎及びインフルエンザでした。

引用文献
1.  Pulido T et al. Macitentan and Morbidity and Mortality in Pulmonary Arterial Hypertension.
    N Engl J Med 2013;369:809-18.
2.  Bolli MH et al. The Discovery of N-[5-(4-Bromophenyl)-6-[2-[(5-bromo-2-pyrimidinyl)oxy]ethoxy]
      -4-pyrimidinyl]-N'-propylsulfamide (Macitentan), an Orally Active, Potent Dual Endothelin Receptor
      Antagonist. J Med Chem. 2012; 55:7849-61.
3.  Iglarz M. et al. Pharmacology of macitentan, an orally active tissue targeting dual endothelin
      receptor antagonist. J Pharmacol Exp Ther. 2008;327(3):736-745.

以上