年代別
NEWS 2016
デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤NS-065の第Ⅰ/Ⅱ相 臨床試験開始についてのお知らせ
日本新薬は、国産初の核酸医薬品であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療剤であるNS-065の第Ⅰ/Ⅱ相 臨床試験について、このたび独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届書を提出しましたのでお知らせいたします。
DMDは、男児に発症するもっとも頻度の高い遺伝性筋疾患で、ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞の骨組みを作るタンパク質の遺伝子に変異が起こり、正常なジストロフィンが作られなくなることで、重篤な筋力低下を示します。現在、その進行を遅らせるステロイド剤以外に有力な治療法は存在せず、新たな治療薬の開発が期待されています。
当社と国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(小平市、理事長:樋口輝彦、以下NCNP)が共同研究により見出したNS-065は、ジストロフィン遺伝子の一部の遺伝情報を読み飛ばすことにより(エクソン53スキップ(注))、筋機能の改善が期待できます。
当社は、NCNPで実施された医師主導の早期探索的臨床試験(2013年6月~2015年3月)で良好な結果を得たことから、このたび第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験へ進むことにしました。
なお、本薬は2015年10月27日、厚生労働省より先駆け審査指定制度の指定を受けています。
当社は、難病・希少疾患治療剤の開発に、使命感を持って積極的に取り組んでいます。そして、病気に苦しむ患者さんの福音となる治療薬の、一刻も早い製品化を目指しています。
(注):NS-065の臨床試験は、エクソン53スキップにより治療効果を示す可能性がある患者さん(ジストロフィン遺伝子のエクソン42-52, 43-52, 45-52, 47-52, 48-52, 49-52, 50-52, 52が欠失した遺伝子のタイプの患者さん)を対象としています。
【用語の説明】
<デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)とエクソン・スキップ治療>
DMDは、男児に発症するもっとも頻度の高い遺伝性筋疾患で、ジストロフィンと呼ばれる筋肉の細胞の骨組みを作るタンパク質の遺伝子に変異が起こり、正常なジストロフィンが作られなくなることで、重篤な筋力低下を示します。現在、その進行を遅らせるステロイド剤以外に有力な治療法は存在せず、新たな治療薬の開発が期待されています。
「エクソン・スキップ治療」は、アンチセンス核酸と呼ばれる短い合成核酸を用いて、遺伝子の転写産物(メッセンジャーRNA)のうち、タンパク質に翻訳される領域(エクソン)の一部を人為的に取り除くことで(スキップすることで)、アミノ酸読み取り枠のずれを修正する治療法です。正常なジストロフィンタンパク質に比べると、その一部が短縮するものの、機能を保ったジストロフィンタンパク質が発現し、筋機能の改善が期待できます。この治療の対象となるエクソンは、患者の変異形式に応じて異なり、NS-065は、エクソン53を対象としています。
<NS-065>
NS-065は、DMDに対する治療効果が期待される、モルフォリノ化合物で合成されたアンチセンス核酸と呼ばれる核酸医薬品です。本薬は、ジストロフィン遺伝子のエクソン53スキップに応答する遺伝子変異を有するDMDの患者さんを対象に開発した薬剤であり、DMD治療における重要な選択肢として期待されています。
<核酸医薬品>
核酸医薬品は、遺伝子の構成成分である核酸の構造を持ち、疾患の原因になる遺伝子を標的とする薬剤です。その遺伝子から作られるタンパク 質の産生を止める、又は調節することで効果を発揮します。従来の低分子医薬品では難しかった疾患の治療が可能になると期待されており、特異性が高く安全性の面にも優れることから、次世代の医薬品と言われています。
<先駆け審査指定制度>
先駆け審査指定制度は、有効な治療法がなく命に関わる疾患に対し、革新的医薬品等を世界に先駆けて日本発で早期に実用化すべく国内での開発を促進する制度です。①優先的な相談、②事前評価(審査の前倒し)、③優先審査(12カ月→6カ月)、④審査パートナー制度、⑤再審査期間の延長と言った内容を含む。本制度の目的は、薬事承認に関する相談・審査で優先的な取扱いをすることで、日本における承認審査の期間を短縮することです。
以上