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NEWS 2016
導出先による「セレキシパグ」 のドイツでの販売開始のお知らせ
日本新薬が創製し、2008年4月にアクテリオン社(本社:スイスAllschwil、最高経営責任者:Jean-Paul Clozel, M.D.)に導出したセレキシパグ(一般名、開発記号:NS-304)について、アクテリオン社が「Uptravi®」の商品名で、本日よりドイツでの販売を開始しましたのでお知らせします。
セレキシパグは本年5月、アクテリオン社が欧州医薬品庁の医薬品委員会から販売承認を取得しましたが、欧州での本剤の発売国は、ドイツが最初となります。
以下のリリース文は、アクテリオン社のプレスリリースを参考までに和訳したものです。内容については、アクテリオン社が発表したオリジナルの英文が優先することをご了承ください。(アクテリオン社のWEBサイトをご確認ください)
【以下 ご参考:アクテリオン社のリリース文和訳】
2016年6月15日
アクテリオン社、ドイツにおけるUptravi(セレキシパグ)の発売を発表
・2016年5月12日に欧州委員会から肺動脈性肺高血圧症治療薬としての販売承認を取得
・2016年6月15日にドイツにおいてUptraviを発売
ドイツ フライブルク、およびスイス アルシュヴィル発‐2016年6月15日‐アクテリオン社(SIX:ATLN)は本日、日本新薬が創製した経口投与可能なIP受容体選択的作動薬であるUptravi®(セレキシパグ)の、肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬としてのドイツにおける発売について発表しました。
Uptraviの適応は、WHO機能分類II度‐III度のPAH成人患者に対する長期治療であり、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)とホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE-5i)の両方、またはいずれか一方による治療では管理不十分な患者に対する併用療法として、あるいはERAやPDE-5iによる治療対象とはならない患者に対する単剤療法として使用することができます。その有効性は、特発性および遺伝性PAH、結合組織病に伴うPAH、修復済み単純先天性心疾患に伴うPAHなどのPAH患者集団において示されました。
UptraviのEUにおける添付文書は、第3相GRIPHON試験を根拠の一部としており、試験の主要結果は2015年12月にNew England Journal of Medicine誌に発表されました。PAHを対象とする過去最大のプラセボ比較試験であるGRIPHON試験において、WHO機能分類II度‐III度のPAH患者におけるセレキシパグの有効性、安全性および忍容性が立証され、セレキシパグは病態悪化・死亡のイベント発生リスクを40%低下させました。
ドイツのギーセン大学病院のH. Ardeschir Ghofrani教授は以下のように述べています。
「Uptraviはプロスタサイクリン経路を効果的に標的とし、PAHの進行を顕著に遅らせる経口薬です。ERAまたはPDE-5iとの併用、あるいはERAおよびPDE-5iの両方との併用においても、臨床成績に基づく強固なエビデンスがあります。より多くの患者の長期予後を改善することが証明されており、病態の進行初期から経口薬併用療法を推進する道が開かれます。」
アクテリオン社ドイツ法人ジェネラルマネージャーMichael Danzlは以下のように述べています。
「Uptraviの発売は、ドイツのPAH患者にとって画期的な出来事です。これまでドイツではプロスタサイクリン経路を標的とする治療薬の選択肢が限られており、患者の負担となっていました。今、Uptraviが発売され、3つの確立された治療経路全てにおける経口薬の選択肢が揃います。」
肺高血圧症登録社団のHans Dieter Kulla代表は以下のように言い添えています。
「この新製品の発売は、ドイツのPAH患者に可能な限り最良の治療を提供するための大きな一歩です。Uptraviが多くの患者の長期予後をますます改善し、さらには患者の家族や介護提供者の助けにもなることを期待しています。」
Uptraviの安全性は、症候性PAH患者1,156例が参加して実施された長期プラセボ比較試験(GRIPHON試験)において評価されました。本試験におけるUptraviの投与期間は最長4.2年、中央値1.4年でした。試験期間中、プラセボ群よりもUptravi群においてより高頻度(3%以上)に発生した有害事象は、頭痛、下痢、顎の痛み、吐き気、筋肉痛、嘔吐、四肢の痛み、顔面紅潮、関節痛、貧血、食欲減退、発疹でした。これらの有害事象は、用量漸増期間においてより高頻度に認められました。甲状腺機能亢進症がUptravi群の1%(8例)に発生しましたが、プラセボ群にはそのような有害事象は認められませんでした。
Uptraviの市販製剤は以下のとおりです。
200 μg [淡黄色の錠剤、表面に2の刻印]、400 μg [赤色、4の刻印]、600 μg [淡紫色、6の刻印]、800 μg [緑色、8の刻印]、1000 μg [オレンジ色、10の刻印]、1200 μg [暗紫色、12の刻印]、1400 μg [暗黄色、14の刻印]、1600 μg [茶色、16の刻印]。医療従事者向けの処方に関する全ての情報はwww.actelion.comにてご覧になれます。
各国におけるセレキシパグの審査状況
これまでに米国(2015年12月21日)、カナダ(2016年1月21日)、ニュージーランド(2016年3月17日)、オーストラリア(2016年3月18日)、韓国(2016年5月11日)および欧州委員会(2016年5月12日)で承認されています。その他各国の保健当局への承認申請も継続して進めており、日本、スイス、台湾、トルコでは審査中です。
Uptravi®(セレキシパグ)について
日本新薬が創製したUptravi(セレキシパグ)は、強力かつ経口投与可能なIP受容体選択的作動薬です。Uptraviとその主要代謝物は、プロスタサイクリン受容体(IP受容体)に選択的に作用します。IP受容体は5つの主要なプロスタノイド受容体(IP、EP、DP、TP、FP)のうちの1つです。プロスタサイクリンはIP受容体を活性化し、血管拡張を誘導し、血管平滑筋の増殖を阻害します。
GRIPHON 試験について
GRIPHON試験(Prostacyclin (PGI2) Receptor agonist In Pulmonary arterial HypertensiON)は、多施設共同プラセボ対照二重盲験無作為化試験であり、PAH患者におけるセレキシパグ経口投与の長期有効性と安全性を評価しました。
GRIPHON試験は、PAHを対象とする過去最大の無作為化比較試験であり、北南米、欧州、アジア太平洋の39カ国181施設で実施され、1,156例のPAH患者が参加しました。患者はセレキシパグあるいはプラセボを1日2回服用し、加えて、3か月以上投与量が安定している場合に限り、基礎治療としてPAH治療薬の服用を継続することが可能とされました。試験参加時点で、全体の80%の患者がERA、PDE-5iのいずれか、あるいは両方のPAH治療薬を服用していました。
このピボタルなイベント駆動型の試験は、セレキシパグ投与により病態悪化・死亡が最初に発生するまでの期間がプラセボ比で延長されることを実証し、ならびに、PAH患者におけるセレキシパグの安全性プロファイルを評価するためにデザインされました。試験において医師より報告された全ての病態悪化・死亡のイベントは、3人で構成される独立重要イベント委員会にて盲験下で審査されました。
GRIPHON試験での安全性および忍容性について
試験全体で、プラセボ投与患者のうち41例(7.1%)、セレキシパグ投与患者のうち82例(14.3%)が有害事象により治験薬投与を早期に中止しました。セレキシパグ投与群における投与中止の原因となった有害事象のうち、最も多かったもの(セレキシパグとプラセボの差が1%超)は、頭痛(3.3%)、下痢(2.3%)、吐き気(1.7%)でした。甲状腺機能亢進症が8例のセレキシパグ投与患者にみられ、うち1例が治験薬投与を中止しました。セレキシパグ投与群により高頻度に発生する重篤な有害事象(セレキシパグとプラセボの差が1%超)はありませんでした。プロスタサイクリン特有の有害事象は用量漸増期間においてより頻繁に観察されましたが、これら有害事象は個別の最大耐用量を決定する際の指標として使われました。
プロスタサイクリン経路の役割
プロスタサイクリン経路は、PAHの病態生理ならびに治療に関連する、最も良く特徴が分かっている3つの経路のうちの1つです。プロスタサイクリンはプロスタノイドであり、人体においてシグナル分子として働いています。プロスタサイクリンは、他の血管作動性物質と同様に、内皮細胞により産生されます。プロスタサイクリンは血管拡張作用、細胞増殖抑制作用、抗炎症作用ならびに血小板凝集抑制作用を持ちます。特定の疾患においては、内皮細胞によるプロスタサイクリン産生が損なわれ、結果として過剰なエンドセリンやトロンボキサンによる有害な作用が現れます。
アクテリオン社と日本新薬の提携について
2008年4月、アクテリオン社と日本新薬は、全世界における独占提携契約を締結しました。本契約に基づき、アクテリオン社は日本を除く全世界におけるセレキシパグの開発および販売に責任を持ち、日本では両社は共同開発および共同販売を行います。日本新薬は、開発段階に応じたマイルストーン、販売マイルストーンおよびセレキシパグの販売に対するロイヤルティを受領します。
以上