尿路結石症を知る

尿路結石って何?

尿路結石とは

尿の中に含まれている物質が腎臓の中で結晶をつくり、タンパク質などの有機物質と結合し、固形化したものを尿路結石といいます。結石は当初は小さいものですが、次第に雪ダルマ式に大きくなり、腎臓にとどまるか、腎臓から離れて尿管から膀胱へと移動します。移動した場所によりそれぞれの名称がつけられています。日本人ではほとんどが腎臓や尿管にできる結石です1)

1)Terai A, Yoshida O. Epidemiology of urolithiasis in Japan, in Akimoto M, Higashihara E, Orikasa S. (Eds):Recent Advances in Endourology 3. Springer:2001, voL.3, pp 23-36.

外科的治療
尿路結石とは

疫学

日本人が生涯のいずれかの時期に結石を患う比率は、男性で15.1%、女性で6.8%(男性の7人に1人、女性の15人に1人の割合)で、結石患者さんはこの40年間で約3倍に増加しています2)。男性に多く、好発年齢は40歳代、女性では閉経後に多く発症します2)。尿路結石は生活習慣病やメタボリックシンドロームの病態の1つと考えられ、高カロリー、高脂肪の食生活がその要因です。高血圧、糖尿病、痛風、脂質異常症などの患者さんには尿路結石の合併がみられます。特に、肥満との関連は密接です。

2)井口正典,安井孝周,郡健二郎.尿路結石の病態から見た再発予防法:疫学から再発予防を考える.泌尿器外科2008 ; 21(5) : 655-61.

結石ができる原因は?

約7千年前のミイラに膀胱結石が発見されており、古代ギリシャ時代(紀元前500年)にすでに膀胱結石の手術が行われたとも言われています。
このように尿路結石存在の歴史は大変古いのですが、科学の発達した現代でも、結石発生の原因は実に複雑で十分に解明されておりません。
結石形成の原因の80%は原因不明ですが、結晶化の促進には抑制物質(クエン酸、ピロリン酸など)の減少や、促進物質(ヒアルロン酸、オステオポンチンなど)の増加が関与していると考えられています。その他に、尿流停滞、尿路感染、長期臥床、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム尿症、尿酸代謝異常、高シュウ酸尿症、薬剤(緑内障や骨粗鬆症治療薬、ステロイドなど)による高カルシウム血症、尿細管アシドーシス、シスチン代謝異常などがあげられます。

尿路結石は夜中につくられる