尿路結石症を知る

再発と予防

再発

この病気は再発が多いことで知られています。初めてカルシウム結石が治療された人では、その後再発する可能性は1年で10%、5年で45%、10年で60%という報告があります4)。最初の治療で結石を完全に取り除くことが絶対条件ですが、治療が終わっても再発予防の対策をしなければなりません。そのためには食生活の改善が大切です。

4)Strohmaier WL. Course of calcium stone disease without treatment. What can we expect? Eur Urol. 2000 ; 37 : 339-44.

結石を予防する食事

食生活の基本として、シュウ酸などを増やす肉類などの動物性タンパク質の量を控え、野菜類を多くした和食中心のメニューを取り入れるようにします。
これまで尿路結石の再発予防にはカルシウムの制限が大事であると言われてきましたが、カルシウム不足によりシュウ酸の腸管からの吸収と尿中への排泄が増加して結石形成を促進するために、今日ではカルシウムの制限よりもシュウ酸の制限が重要視されています。カルシウムの摂取量は一日当たり600mg~800mgをとる必要があります。この量は牛乳パック(200ml)で3個分です。ただし、過量の摂取は避ける必要があります。
尿中のシュウ酸の濃度を下げるには、シュウ酸を多く含む食品(ホウレン草、タケノコ、大根、チョコレート、コーヒー、紅茶など)の制限が必要です。シュウ酸を含む食品を食べる際には、カルシウムを含む食品を同時にとることが大切です。この点は、昔から生活の知恵に生かされています。
尿酸を含む結石には、動物性タンパク質(肉、魚など)の少ない食事が推奨されます。酒類(特にビール)も尿中の尿酸濃度を高めます。
野菜、穀物、海草はいずれも尿中クエン酸やマグネシウムを増加させ、サンマやイワシなどの青魚は尿中カルシウムの排泄を低下させ結石形成を抑制する役目を果たします。以上より、食生活を改善することで結石再発の予防効果は歴然としています。
また、水分を十分にとることは、すべての種類の結石に対する予防法として効果的です。そして、就眠中は一日の内で最も結石のできやすい環境にあるので夕食は軽めにして、夜遅くにはとらないようにすることが大切です。生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防にもなります。

シュウ酸を含む食品と
カルシウムの摂取
シュウ酸を含む食品とカルシウムの摂取
結石を予防する食事
結石を予防する食事