医薬品アクセスの向上

基本的な考え方

日本新薬は、「人々の健康と豊かな生活創りに貢献する」という経営理念のもと、研究開発をはじめ、各部門が一体となって、医療アクセスの改善に取り組みます。社員一人ひとりが常に独自性の追求と特長のある製品の創造を目指し、他社が手掛けない領域での研究開発の推進、高品質な医薬品を迅速かつ安定的に供給する体制の整備、医療関係者への適正な情報提供に努めます。
当社は、すべての活動において常に高い倫理性と透明性を確保し、社会の信頼に応えるため、「日本新薬グループ コード・オブ・プラクティス」を制定しています。加えて、「日本製薬工業協会」「日本製薬団体連合会」「関西医薬品協会」「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」「くすりの適正使用協議会」「日本医薬品情報センター(JAPIC)」「医薬品企業法務研究会」「一般社団法人日本QA研究会」など、多数の業界団体に参加しており、各団体が規定する関連コードやガイダンスを元に、社内規程を定め、社内研修を通じて、徹底を図っております。

取り組み

希少疾患に対する医薬品開発

現在、有効な治療法が未確立な難病・希少疾患は7,000種以上存在し、実際に多くの方が罹患されているといわれています。日本新薬では、早くからこれらの難病・希少疾患に注目した研究開発を進めるとともに、製品の価値を高めるPLCM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)、他社からの導入活動やオープンイノベーション活動を推進しています。また、これまでに実施してきた臨床試験データを活用して承認が取得可能な国々への承認申請を検討していきます。

地域特性を考慮した医薬品アクセスの向上

必要とされる医薬品の提供に際し、知的財産権を行使するにあたっては、各国規制等の諸事情を考慮します。
また、各国の医療制度、保険制度、国民の生活水準等を考慮し、適正な価格により販売することを考慮します。

製品の品質保証と安定供給

安全確保と適正使用の推進、偽造医薬品への対応

高品質な製品を国内外に供給するため、グローバル基準による品質システムを確立し、製品の品質を確保するとともに、マネジメントレビューを通して、継続的な改善に取り組みます。また、製品の開発段階から市販後に至るすべての期間で、国内外の安全報告(副作用情報など)を収集し、評価・検討を行い、安全確保のために必要な情報を、速やかに医療従事者、患者さんに提供します。

安全な医療環境の実現に向け、偽造医薬品対策として、規制当局や他の製薬企業との連携、生産・物流における対策を進めています。規制当局や他の製薬企業と連携するとともに、生産・物流における偽造防止、不正流通防止対策を講じ、偽造および不正医薬品の撲滅に取り組んでいます。

倫理的なプロモーション活動

日本新薬では、適正なプロモーションを行うため、プロモーションコードを定めるとともに、関係法規と自主規範を遵守するための社内体制を整備しています。その活動を行う組織が営業部門であるか否かは問わず、プロモーションとみなされる活動について、同様に適用しています。また、グループ会社にも本コードを遵守させるとともに、医薬品の販売・プロモーションの提携を行う場合には、その提携先に対し、本コードを遵守するよう要請しています。
プロモーションに使用する印刷物や専門誌(紙)における広告、医療関係者向けのWEBサイト、動画等の資材は、医薬情報の重要な提供手段であることを認識しています。その記載内容については、医薬品医療機器等法および社内で定める基準に従い、科学的根拠に基づく正確、公平かつ客観的なものとし、社外委員を含む社内委員会にて審査・承認を経て使用しています。
ウェブサイトを通じて医療関係者に製品関連情報を提供する場合には、医療関係者向けの情報であることを明記して提供します。
なお、国外の医療関係者に提供する医薬情報についても、国際的に一貫性のあるものを、当該国の薬事法規およびコードに従って提供します。
適切なプロモーション活動を実施するため、定期的に研修し、担当者の意識及び専門性の向上を図っています。

*社内で定める基準

  •   (1)効能・効果、用法・用量等は承認を受けた範囲を逸脱して記載しない。
  •   (2)有効性、安全性については、虚偽、誇大な表現または誤解を招く表示・レイアウト、表現を用いない。とくに「副作用が少ない」等安全性を特徴(特性)のひとつとする場合には、限定条件なしには用いず、その根拠となるデータの要約を付記する。
  •   (3)有効性に偏ることなく、副作用等の安全性に関する情報も公平に記載する。
  •   (4)他剤との比較は、客観性のあるデータに基づき、原則として一般的名称をもって行う。
  •   (5)他社および他社医薬品を中傷・誹謗した記載をしない。
  •   (6)例外的なデータを取り上げ、それが一般的事実であるかのような印象を与える表現はしない。
  •   (7)誤解を招いたり、医薬品としての品位を損なうような写真・イラスト等を用いない。
  •   (8)品名のみを主体とする広告では、記載事項は名称(販売名)、薬効分類名(製品タイトル)、規制区分、一般的名称、薬価基準収載の有無とし、併せて当該製品に関する資料請求先を明示する。
  •   (9)プロモーション用の印刷物および広告等は、その原稿について事前に社内委員会の承認を得なければならない。
  • (10)海外向けのプロモーション用の印刷物および広告等については、国内向けプロモーション用の印刷物および広告等の内容に準拠して作成し、社内委員会の承認を受けたものを使用する。また、海外の代理店等が作成するプロモーション用の印刷物および広告等についても、社内委員会の承認を受けるものとする。

医療環境整備

疾患啓発および患者支援プログラム

臨床試験は、限られた国、限られた期間で実施されており、参加できる患者さんは限定的です。そのことから、治療の選択肢がない患者さんのために、未承認国において医薬品の提供プログラムを展開しています。また、特定の専門医のみならず非専門医にも疾患および治療剤に関する情報を提供しています。患者さんがスムーズに専門医による診療にたどり着けるよう、専門医と非専門医の連携の強化を図るとともに、患者さんに向けた疾患啓発サイトや医療機関情報の提供サイトの設置、患者サポートプログラムを提供しています。

公募研究助成

日本新薬創立100周年事業として、企業活動関連の医学・薬学領域のサイエンス発展への貢献を目的とした「日本新薬株式会社 公募研究助成」制度を開始しました。本制度では、若手研究者を支援するために研究テーマを募集し助成を行うことを旨としています。

疾患啓発活動

Webサイトによる啓発活動

日本新薬では、早期受診、早期診断ならびに早期治療による患者さんのQOL向上と、診断された患者さんへ疾患理解を深めていただくことを目指して、Webサイトを通じた疾患啓発と情報提供を行っています。
2017年に開設した「肺高血圧症治療サポート」では肺高血圧症の疾患、治療の解説、医療費や制度などの紹介および専門医からの動画配信を実施し、より肺高血圧症への理解を深めていただける情報を提供しています。さらに、肺高血圧症の中でも見逃されがちな強皮症に伴う肺高血圧症を注意喚起するために「知ってる?強皮症の合併症 息切れとPH」を2020年に開設、強皮症と、それに伴い発症する肺高血圧症に関する症状や検査、治療について発信しています。
また、小児神経領域では、2021年にデュシェンヌ型筋ジストロフィーの専門情報サイト「DMDを知る」を、2022年には、「ドラベ症候群と、ともに」を開設し、指定難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーならびにドラベ症候群のお子さんを持つご家族の方に向けて疾患の知識や治療、日常生活のサポートなどの情報を提供しています。
そのほか、血液の病気の一つである骨髄異形成症候群の疾患、分類、予後、診断ならびに治療について解説した「骨髄異形成症候群(MDS)を知る」、アルコール依存症の紹介・断酒成功の体験記などを掲載した「アルコール依存症治療ナビ」、子宮内膜症・月経困難症の早期受診を促す「おしえて☆生理痛」、ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)に関する誤解を解き、受診への心理的抵抗を和らげるとともにED治療薬の偽造品に関わる情報提供・注意喚起も行う「EDケアサポート」、男性の「前立腺」に関する疾患情報をまとめた「前立腺の病気を知る~前立腺肥大症、前立腺炎、前立腺がん~」、痛みを主訴とし再発の多い疾患である尿路結石症を解説した「尿路結石症を知る」などのWebサイトを運営しています。

レア・ディジーズ・デイ( Rare Disease Day )への参画

日本新薬は、2月最終日の「Rare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)」に合わせて、難病・希少疾患への理解を深める活動を実施しています。

難病をテーマに、専門医との対談や学生と専門医との座談会を実施し、その内容を新聞紙面で紹介しています。

市民公開講座

日本新薬では、さまざまな領域の健康トラブルについて公開講座を行っています。専門医による病気の予防や治療に対するわかりやすい解説を聞くことができます。患者さんの支援活動について、肺高血圧症や筋ジストロフィーでのWEB市民公開講座や交流イベントを継続して開催する予定です。

メディアセミナー

業界の最新情報やわかりづらい専門的な知識を伝えるために、有識者や専門医を招いて行うメディア向けの勉強会です。 疾患に関する詳細情報を理解いただき紹介されることにより、一般の方に向けた啓発活動につなげています。