研究開発

研究開発基本方針

注力領域において、特長のあるくすりを患者さんに1日も早く提供する

経営理念である「人々の健康と豊かな生活創りに貢献する」のもと、医薬品事業では、自社が得意とする領域をターゲットに、病気でお困りの患者さんにとって福音となる、高品質で特長のある医薬品を提供する会社となることを目指しています。

2022年度の概況

注力領域のパイプライン拡充

2016年にファーマコスモス社より導入した鉄欠乏性貧血治療剤モノヴァー(開発記号:NS-32、一般名:デルイソマルトース第二鉄)は、2022年3月に製造販売承認を取得し、2023年3月に発売しました。
2016年に発売した肺動脈性肺高血圧症治療剤ウプトラビ(開発記号:NS-304、一般名:セレキシパグ)は、小児適応の取得を目指し、第Ⅱ相試験を実施中です。また、閉塞性動脈硬化症を対象とした後期第Ⅱ相試験を実施中です。
2020年に日本および米国で発売したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療剤ビルテプソ(開発記号:NS-065/NCNP-01、一般名:ビルトラルセン)は、国際共同治験にて第Ⅲ相試験を実施中です。
ヒト化抗CD20モノクローナル抗体ガザイバ(開発記号:GA101、一般名:オビヌツズマブ)は、2022年12月に中外製薬が慢性リンパ性白血病の適応追加承認を取得し、ループス腎炎を対象とした国内第Ⅲ相試験を2022年6月に中外製薬と共同で開始しました。また、小児特発性ネフローゼ症候群を対象とした第Ⅲ相試験を2023年3月に中外製薬と共同で開始しました。
2019年にユーシービー社(旧ゾジェニックス社)と日本国内における独占的販売契約を締結したドラベ症候群に伴うてんかん発作治療剤フィンテプラ内用液2.2mg/mL(開発記号:ZX008、一般名:フェンフルラミン塩酸塩)は、ユーシービー社が2022年9月に製造販売承認を取得し、当社が2022年11月に販売を開始しました。
NS-161およびNS-025は、それぞれ炎症性疾患および泌尿器疾患を対象として、国内第Ⅰ相試験を開始しました。

ライセンス活動の推進

2023年2月に、米国のカプリコール・セラピューティクス社とDMDを期待適応症とするCAP-1002について、日本国内における独占的な販売提携契約を締結しました。今回の契約は、2022年1月に締結した米国内における独占的な販売提携契約に続くものです。本剤は、ヒト心筋から製造される細胞医療製品であり、遺伝子変異の種類によらず、幅広いDMD患者層に効果が期待されます。現在、カプリコール・セラピューティクス社は米国において第Ⅲ相試験を実施中です。

2023年度の取り組み

難病・希少疾患領域については、ビルテプソに続くDMD治療剤(NS-089/NCNP-02、NS-050/NCNP-03、NS-051/NCNP-04)に加え、炎症性疾患を対象としたNS-229およびNS-161などの開発を進めます。
血液がん領域は、高リスク急性骨髄性白血病治療剤(NS-87)や骨髄線維症治療剤(NS-018)を、婦人科領域は子宮内膜症治療剤(NS-580)を、泌尿器科領域はNS-025の開発をそれぞれ推進し、日本新薬の注力領域・分野における開発を推進します。
ライセンス活動においても、研究開発活動を補完する特長ある製品・開発品の導入を推進し、研究開発パイプラインを拡充させていきます。

注力領域

研究開発では、泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患(肺動脈性肺高血圧症、筋ジストロフィーなど)、婦人科の4つの注力領域をターゲットに、経営資源を重点的に投入することで、研究開発の促進と製品の価値最大化に取り組んでいます。

基盤技術

低分子医薬品の「ウプトラビ」を生み出した創薬基盤に、核酸医薬品や遺伝子治療などの新規創薬モダリティ、核酸DDS技術などを加えることで、他社にはない独自の創薬力を強化しています。オープンイノベーション活動を推進し、社内外の資源を最大限活用しています。

CMC研究

探索研究において見出された候補化合物を医薬品として患者さんに届けるためには、医薬品原薬を大量に作る技術(“プロセス研究”)や品質を保証するための“分析研究”、患者さんに製品として使用していただくための“製剤開発”といった“CMC研究”が必要となります。